拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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公務員が接待するけど私的なら関係ないよねっ 

PHASE-06

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「トリップ中にすまないが、コイツなんかむかつくから凍らせていいか、ボーイ?」
 耳打ちの内容は恐ろしいものだ。

「お願いだから、問題は起こさないでね。僕が責任者として逮捕されるから」

「命なんてリセットがきくんだ。痛い目に遭わせて、従順にさせるのが効果的だぞ」
 この思考がヴィン海域出身の恐ろしいところ。
 王都に来たんだから、その考え方は修正させないとね。

「各地の状況は、収拾に手を焼いています。やはり大口である王都でもクエストを」

「だ~か~ら~。それをどうにかするのは我々でなく、調査員の貴男でしょ」
 責任転嫁も甚だしいな。王都でクエストを再開させればいいだけだろ。
 討伐はまだしも、採掘、探索は問題ないだろう。

「報酬の二重払いなども発生してるんです」

「知りませんよ。そんなのはそこのギルド受付の対応力の無さでしょ。それを指導するのも貴男の仕事ですね。我々より多くの給金をもらってるんですから、それに見合った仕事をしてください」

「いや、そちらは今、見合った仕事してないでしょ」
 ――……しまった……。僕が言うことじゃなかった。本当に勝手に動く口だ。
 引きつった笑みを向けてくるバイジャンさん。

「公務員の方は、口を出さないでいただけますか」

「すみません……」
 余計な発言でお兄様に迷惑をかけてしまったかな……。

「せめて、探索クエストなんかはどうにかなりませんか」
「なりませんよ。今は」
「なぜです」
「依頼がないんですよ。ない以上、我々がクエストを冒険者にお願いできるなんて出来ないでしょう」
「本当にないのでしょうか」
「ありませんよ!」
 ここで、声を荒らげるバイジャンさんは、勢いよく立ち上がる。

「落ち着いてください。冒険者の活躍が、大陸の経済にとって大きいのは理解されてますよね?」
「馬鹿にしてるんですか。当たり前でしょう」
「なので、王都でも――――」
「ですから、それがないから困ってるんですよ! それとも、我々の怠惰だと疑ってるんですか!」
「そういうつもりは……」
「我々だって困ってるって言ってるでしょ! 付き合ってられないよ!」
 ふんっと、荒い鼻息と共に体を反転させて、応接室から出て行ってしまった。
 なぜか、僕を睨んでいったけど、やはり口を出したのが不快だったのかもしれないな。
 今日は睨まれる日だな。

「――――食えないヤツだな」

「なんで?」

「怒る素振りを見せて、この場を離れたんだよ。追及を逃れたいがために、話を無理矢理に終わらせる。存外、馬鹿ではないな」
 小っさいけど、百六十四年の歳月を過ごしているだけあるんだな。

「どうしたボーイ。俺ちゃんを感心した目で見ているな。軍を率いさせてくれれば、ボーイに勝利と栄達を与えるぞ」

「僕、公務員だから栄達は欲しいけど、戦いで勝利とかいらない」
 渋い声で得意げに言っちゃてるよ。まあ、困ったらその知恵をお借りしましょうかね。

 ――――。

 ふう、あっという間のやり取りだった。結局は確信も得られなかったし、お役に立てなかったな。
 
 通用門を歩けば、足音が反響。入る時は気にもしてなかったけど、帰りは耳朶によく届く。
 入る時は、話を聞かせてもらうって事に傾倒していたから、足音なんて気にも留めなかったんだろうな。

「ふう……」
 お兄様の嘆息。同僚であるのに、木で鼻を括る応対だからね。他のギルドでもこういう応対ばかりだったんだろうな。
 胃がエメンタールチーズみたいにならない事を祈ります。
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