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変転
PHASE-19
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「お前は!」
「いいでしょう」
「なにがいい!」
ゲイアードさんからは想像が出来ないくらいの、怒りに染まった大音声だ。
「兄さんが悪いんだよ。親父殿も母様も、お兄ばかり溺愛してさ……」
震えてる。嫉妬しているのだろうか。
「――――って感じで、拗ねてる弟を演じてみました♪」
何とも思っていないタイプのようだ……。
「ぼくちんの考えを理解しないのが悪いんだよね~」
ころころと変わる一人称。
自己中心的で危険な考えの持ち主。
罪悪感がないから、手加減もない。やっかいな存在だ。
手加減を知っているなら、ここまで亡者を召喚しないだろうし。
ヴィン海域にいる方々よりも、精神がねじ曲がったサイコパスだ。
無尽蔵に出現しているのでは? と思える亡者を、ケーシーさんがアルコンを相手にしながら倒していく。汗一つ流さずの姿は、安心できる強さ。
だから、ゲイアードさんもヘイターに集中できるんだろう。
「さあ、折檻タイムだよ」
「お前は!!」
――……集中できていても、怒りの感情が先行しすぎているよ……。
「ノイエ……眠らせてくれ」
「父さん……」
「なに言ってるの! ダメダメ。僕の指示に従って! はい、パンチ♪ まったく、生前は優秀な死霊魔術師だったから、亡者になっても意思があるから困るよね――――」
術者の指示に従い、意に反するように、拳をゲイアードさんに見舞う。
防げたはずだけど、顔を殴られて眼鏡が飛んだ。
「――――まあその分、強いんですけど」
語末で声の調子を上げるところが、人を不快にさせるな。
「はい母様、追撃で魔法。まったく! 息子に指示されないと動けないとか、親としてどうなの」
雷系の魔法が、頭上から襲いかかる。
直撃だ……。スーツからプスプスと煙が上がっている。
ダメージは受けていないのか、膝をつくことなく佇んでいる。でも、沈黙だ。大丈夫かな。
「はい、続けて」
「やめて……」
「やめてとか言わないの! 母様、次ぎ!」
「貴様ぁぁぁぁぁぁ」
佇んでいたところに、怒りで拳が震えだし、本日一番の怒号。
声が届くと、耳がビリビリとする。それくらい怒りに充ち満ちていた。
「まずいぞ」
と、シュパーブ君。
怒りに我を忘れて、ゲイアードさんがヘイターに向かって驀地している。
「Welcome」
ヘイターが片足で軽く石畳を踏めば、
「!?」
ゲイアードさんの足下から、巨大な牙だらけの口が現出。
――……食べ……られた…………。
「蟒蛇が見事にきまって、パックンチョされたね♪」
嘘だろ……。
「はぁ……、こんなにもダメダメになってるなんて。オイラの兄ちゃんが、弱くなっていたよ……」
くそ! 馬鹿にした言い方だ! 一矢報いてやる。
魔弾を装填して銃口を向けて――――、ボンッ! と、大きな破裂音。
――――僕ではない。まだ引き金は引いていない。
眼前で、召喚された大きな口が吹き飛んだ音だった。
肉片がぼとぼとと石畳に落ちてきて、目の前にいびつな形をした牙がゴトリと転がる。
「もう少し、上手い具合に対処できんのか。不快な物を妾に見せるな」
苦情が先かよ……。僕は安堵してるのに。
無事だったことに対しての言葉を発してほしいですよ。魔王さん……。
大きな口が吹き飛んだ中心には、見るだけで温かい気持ちになれる黄金色の光。
側にはゲイアードさんが立っている。あれだけの破裂だったのに、返り血も浴びていない。
「すまな――――いたい!」
あ、神々しい光に頭を叩かれてる……。
「ルネアと会話を始めてから、心が乱れすぎだよ」
「本当にすまない……」
謝罪している。それにしても、なんだあの光の中から現れた美人様――――、ふむん、僕より年下にも見えるような。美少女のほうが適切かな? いやだが、大人っぽいような……。
とにかく、十七歳くらいの美少女がいきなり現れた。
「いいでしょう」
「なにがいい!」
ゲイアードさんからは想像が出来ないくらいの、怒りに染まった大音声だ。
「兄さんが悪いんだよ。親父殿も母様も、お兄ばかり溺愛してさ……」
震えてる。嫉妬しているのだろうか。
「――――って感じで、拗ねてる弟を演じてみました♪」
何とも思っていないタイプのようだ……。
「ぼくちんの考えを理解しないのが悪いんだよね~」
ころころと変わる一人称。
自己中心的で危険な考えの持ち主。
罪悪感がないから、手加減もない。やっかいな存在だ。
手加減を知っているなら、ここまで亡者を召喚しないだろうし。
ヴィン海域にいる方々よりも、精神がねじ曲がったサイコパスだ。
無尽蔵に出現しているのでは? と思える亡者を、ケーシーさんがアルコンを相手にしながら倒していく。汗一つ流さずの姿は、安心できる強さ。
だから、ゲイアードさんもヘイターに集中できるんだろう。
「さあ、折檻タイムだよ」
「お前は!!」
――……集中できていても、怒りの感情が先行しすぎているよ……。
「ノイエ……眠らせてくれ」
「父さん……」
「なに言ってるの! ダメダメ。僕の指示に従って! はい、パンチ♪ まったく、生前は優秀な死霊魔術師だったから、亡者になっても意思があるから困るよね――――」
術者の指示に従い、意に反するように、拳をゲイアードさんに見舞う。
防げたはずだけど、顔を殴られて眼鏡が飛んだ。
「――――まあその分、強いんですけど」
語末で声の調子を上げるところが、人を不快にさせるな。
「はい母様、追撃で魔法。まったく! 息子に指示されないと動けないとか、親としてどうなの」
雷系の魔法が、頭上から襲いかかる。
直撃だ……。スーツからプスプスと煙が上がっている。
ダメージは受けていないのか、膝をつくことなく佇んでいる。でも、沈黙だ。大丈夫かな。
「はい、続けて」
「やめて……」
「やめてとか言わないの! 母様、次ぎ!」
「貴様ぁぁぁぁぁぁ」
佇んでいたところに、怒りで拳が震えだし、本日一番の怒号。
声が届くと、耳がビリビリとする。それくらい怒りに充ち満ちていた。
「まずいぞ」
と、シュパーブ君。
怒りに我を忘れて、ゲイアードさんがヘイターに向かって驀地している。
「Welcome」
ヘイターが片足で軽く石畳を踏めば、
「!?」
ゲイアードさんの足下から、巨大な牙だらけの口が現出。
――……食べ……られた…………。
「蟒蛇が見事にきまって、パックンチョされたね♪」
嘘だろ……。
「はぁ……、こんなにもダメダメになってるなんて。オイラの兄ちゃんが、弱くなっていたよ……」
くそ! 馬鹿にした言い方だ! 一矢報いてやる。
魔弾を装填して銃口を向けて――――、ボンッ! と、大きな破裂音。
――――僕ではない。まだ引き金は引いていない。
眼前で、召喚された大きな口が吹き飛んだ音だった。
肉片がぼとぼとと石畳に落ちてきて、目の前にいびつな形をした牙がゴトリと転がる。
「もう少し、上手い具合に対処できんのか。不快な物を妾に見せるな」
苦情が先かよ……。僕は安堵してるのに。
無事だったことに対しての言葉を発してほしいですよ。魔王さん……。
大きな口が吹き飛んだ中心には、見るだけで温かい気持ちになれる黄金色の光。
側にはゲイアードさんが立っている。あれだけの破裂だったのに、返り血も浴びていない。
「すまな――――いたい!」
あ、神々しい光に頭を叩かれてる……。
「ルネアと会話を始めてから、心が乱れすぎだよ」
「本当にすまない……」
謝罪している。それにしても、なんだあの光の中から現れた美人様――――、ふむん、僕より年下にも見えるような。美少女のほうが適切かな? いやだが、大人っぽいような……。
とにかく、十七歳くらいの美少女がいきなり現れた。
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