拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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変転

PHASE-32

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 グルガルといえば、卸問屋のラゴットがある。
 エクスペンダブルズと名を変える前の粗悪タリスマンの事を調べている時に、結果は監視ということで、グルガルの警務局にお願いしたけど、一切の連絡はなかったな。
 結局、ラゴットが非を認めてしまったから解決になってしまったけど、この子爵は守銭奴っぽいからな、ラゴットと繋がりがあったりして。
 警務局に圧力をかけて、監視も捜査も子爵が許さなかった可能性がある。
 
 ――――試してみるか。

「子爵はラゴットと繋がってるんだろ?」

「だからなんだ」
 おう、はたして正にか。
 ――――しかも、僕が推測していたことを頼みもしていないのにペラペラと喋ってくれる。
 口には高価な油でも塗ってるんだろうな。滑りがいいよ。

「子爵も騒乱罪で裁かないといけませんね」

「私が――――」

「――法って言いたいんだろ。もう聞き飽きたよ」
 返してやると、舌打ちで返してきた。まったく、並んで立ってる二人は、スケール以外は似たもの同士だ。
 
 ノムロのおっさんは、子爵が国盗りを考えていることを聞かされていなかったのか、驚いている。
 落ち着きなく、僕たちと向こうサイドに顔を往復させている。
 わからんではない。反乱が失敗すれば、自分も裁かれる立場になるからな。
 流石に今回の事は自分の考えの及ばない次元の内容みたいだ。
 小者としては、いま正に、人生の分水嶺に立ってるわけだ。

「こんな事は成功しないからな!」
 言ってやれば、ノムロのおっさんの肩がビクリと動く。挙動がさらに激しくなってる。

「うるさい蝿だ。誰ぞさっさとアレを殺せ!」
 ハハハハ――――。
 笑える。ついつい笑って、それを目にした子爵が更に不機嫌になっている。
 だって仕方ない。お前の下男であるノムロのおっさんは、僕を蛆虫野郎と評したからね。
 対して雇い主である子爵は蝿。
 子爵の方が評価高いぞ。

「余裕だね。もうあの程度の存在では、ピート君の心胆を寒からしめることは出来ないみたいだね」
 その通りですよ。リューディアさん。
 現在、僕が心底怖いと思うのは、ヴィン海域のサイコパスさん達だけです。
 
 ラゴットで暗躍している子爵。それらを利用し策動していたヘルム。
 向こうの勢力の中心がこの二人。で、ヘルムは子爵を利用しているから、いい時宜で見捨てるんだろうな。まあ、いいけど。どのみち失敗させてやるし。

「向こうの首魁どもは理解できた。ほれ、最終決断で転進と決めたのじゃ。ここは引くぞ」
 踵を返して、走り出す魔王さん。
 偉そうに大言しておいて逃げるのか! みたいな子爵の罵倒を背中で受けつつ、リューディアさんが王蛍火ハイルークスを唱えて、相手の視界を遮ってくれる。
 その間に、まずは大通りを目指して全力疾走。
 
「兄さん。また会えるのを心待ちにしているよ~。子爵様と共にね~」
 と、楽しげにヘイターがこちらに語りかけたが、ゲイアードさんは返答することなく、僕と併走する。

 ――。

「追いかけてきませんね」
 道中、語りかければ、いま子爵の兵は移動の状態との事。
 空間移動魔法から展開が済んで、次ぎに陣形を整える。そこから進軍だからまだ余裕はあると、ケーシーさんが教えてくれる。
 てっきり、アルコンなんかは追走してくると思ったんだけど、留まったみたいだな。
 無駄に追撃戦を行って、手柄をとるつもりがカウンターを見舞われて、手痛い目にあうという可能性があるという事を、念頭に置いているようだ。
 直情のようで、存外、戦術に秀でてるのかもな。
 経験を長く積んでるだけはある。
 
 ――――ドォォォォォォォォォン!
 
 背後からの爆音。二発目が結界に着弾。
 二度目も耐えてくれる結界に、感動しているよ。僕は。
 邪神に感謝だよ。

「アレも役に立つ事があるのじゃな」
 認めたくないと思いつつも、小さな体で、僕なんか相手にならない快足にて先を行く魔王さんが、振り向いて僕に言ってくる。
 少しは歩み寄って欲しいよ。元々はヘルムが言うように、貴方たち兄妹が事の発端ですからね。
 勇者に兵仗を与えないで、戦女神が邪神とタイマン張ればよかったんですよ。
 人類に、配下の方々も巻き込まないでさ!
 
 ――――。


 大通りを通過し、東門へと到着。

「うわ~凄いな……」
 びっしりと人が門の前に集まっている。
 着の身着のままだ。
 誘導しているのは警務局、王都の兵の皆さん、魔道開発局の面々もいれば――――、
「ロールさん!」

「ピート君!」
 お互いの無事を喜んで、強く強く抱きしめたいけども、僕と触れる一歩前でちゃんと止まる……。
 ロールさん越しに見れば、整備局員も他の局と連携して、誘導を手伝っていた。
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