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集結
PHASE-01
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――――。
一日が経過して、迅速に行動しなければならないからと、現在、集まってくれた方々の中で、リーダー的な立ち位置の方々と、僕たち公務員が男爵様の館に隣接する迎賓館に集められた。
もちろんサージャスさんの姿もある。
装飾品なんかがあったのだろうが、全てが撤去され、だだっ広くなったエントランスにて、大公様の話を聞く事になる。
広い空間だけども、立つ位置は壁際だ。
理由は、中央の床にでかでかと、どうやって用意したのか、モルドーから王都にかけての地図と、王都の内部地図が敷かれていた。
大公様の横に立つ男爵様を見れば、頬に手、高そうな服にインクが付着している……。
描かせたのかよ……。
二人の後ろに立つ王様は、男爵様に目を向けて、なんとも申し訳なさそうな表情だ。
「王がおられるが、ここは私、前王の弟であるラゼン・ギル・ダロスが取り仕切らせていただく。意見があるならば今のうちに」
語末に進むにつれ、ドスをきかせてくる。反論は許さないと暗に示してるようだ。
結局は自分のしたいようにするんじゃないか。
まあ、意見はしないけども……。
「この私が考案するモルドーより王都への侵略――――もとい、奪還を――――」
ああ……。侵略ね。それが本心だな。
男爵がモルドー領主である事を耳にして、領土の位置が王都の南と知った会食時の悪い顔を思い出した。
なるほどな、あの時から王都への侵攻を考えていたんだろうな。
王都に不死王軍の旗を立てようと考えてたに違いない。
大公、叔父としてではなく。不死王幹部として。
恐ろしい年寄りである……。
まあ、その侵攻案が今回は活かされるって事なんだろうけども。
活かすために、前日まで王様と大公様、両名の名が記入された高級羊皮紙、金の箔押しからなる瀟洒な檄文を各地へと飛ばし、魔王さんも、魔王軍に招集をかけるために、方々に連絡。
モルドーへと兵力を集わせるために、トップの方々、ここ数日は不眠不休だったようだ。
その内の一人が地図の上をつかつかと足音を立てて歩きつつ、モノクルのレンズを煌めかせて、指揮棒を要所要所に指していく。
各城門に地下道、そして運河を上り北門から王城跡へと攻め上がるという、多方向からの同時進行で敵の数を分散させる大公様の計画。
「正攻法の攻め方であるが、これに意見はないかな?」
いやいや、おかしいでしょ。
気になったので挙手してみる。
この場にて意見をする第一号だな僕。
冒険者や兵士からじゃなく、戦いの素人で、整備局員一年目の僕に対して、空気を読め的な苦笑をしつつ、
「述べてみよ。ウィザースプーン」
と、発言を許してくれる。
「ここでこそ、空間移動魔法でしょう」
子爵が王都に入り込んできたのがそれなんだから、こっちもそれを使用して一気に懐に入り込めばいいじゃん。
「阿呆」
また、淡々と言いやがって。だから僕は賢い方なんだよ! 叩き割るぞ! そのモノクル。
周り見て見ろ。僕の発言に確かにって表情だよ。
なのに阿呆とか言いやがって!
「そんな事はとっくに試している」
「あ、そうですか……」
「だが、入りこめん。王都から半径一里半。そこが空間移動魔法での移動限界だ」
使用しても、それ以上になると、魔力による強力な障壁にぶつかり、空間移動魔法で入り込めないようになっていると、斥候より連絡があったそうだ。
しかも、連絡を行うための魔法である伝達もノイズが入って聞き取るのに難儀しているらしい。
魔石鏡も同様だそうだ。
だからこそ、全体で足並みを揃えるために、通常の移動方法で、陸や運河を、馬、船、自らの足で踏破するとの事。
また先遣隊は、空間移動魔法の限界移動地点である、王都から一里半の位置で展開し、偵察および、陽動のための破壊発動を主とする遊撃隊からなる編制を予定しているそうだ。
「問題は、相手の戦力ですね」
後ろから王様が口にすれば――――、
「おい、隅っこで丸くなっている才槌よ」
「ハ、ハヒッ!?」
ノムロのおっさん、呼ばれてるんだ……。
子爵の下男だからな。内情は誰よりも知っているから当然といえば当然か。
横に目を向ければ、ロールさんはおっさんの登場が嫌なのか、唇を少し尖らせていた。
吸い付きたくなる唇である。
呼ばれると、足早に大公様の前に移動。
子爵が王都に投入した兵力と、後詰めの兵力を大公様が問い、
――――答えるおっさん。
今回、投入されたのは一万五千ほど、王都に五千。ケルプト山に一万。
ヘルムの企てもあり、ケルプト山の一万はかなり間引かれているだろう。
企ての事はモルドーまでの道のりで、ブールさんに報告済み。
王都の五千と、子爵が自領に温存した兵力がどれほどかが気になるところ――――。
一日が経過して、迅速に行動しなければならないからと、現在、集まってくれた方々の中で、リーダー的な立ち位置の方々と、僕たち公務員が男爵様の館に隣接する迎賓館に集められた。
もちろんサージャスさんの姿もある。
装飾品なんかがあったのだろうが、全てが撤去され、だだっ広くなったエントランスにて、大公様の話を聞く事になる。
広い空間だけども、立つ位置は壁際だ。
理由は、中央の床にでかでかと、どうやって用意したのか、モルドーから王都にかけての地図と、王都の内部地図が敷かれていた。
大公様の横に立つ男爵様を見れば、頬に手、高そうな服にインクが付着している……。
描かせたのかよ……。
二人の後ろに立つ王様は、男爵様に目を向けて、なんとも申し訳なさそうな表情だ。
「王がおられるが、ここは私、前王の弟であるラゼン・ギル・ダロスが取り仕切らせていただく。意見があるならば今のうちに」
語末に進むにつれ、ドスをきかせてくる。反論は許さないと暗に示してるようだ。
結局は自分のしたいようにするんじゃないか。
まあ、意見はしないけども……。
「この私が考案するモルドーより王都への侵略――――もとい、奪還を――――」
ああ……。侵略ね。それが本心だな。
男爵がモルドー領主である事を耳にして、領土の位置が王都の南と知った会食時の悪い顔を思い出した。
なるほどな、あの時から王都への侵攻を考えていたんだろうな。
王都に不死王軍の旗を立てようと考えてたに違いない。
大公、叔父としてではなく。不死王幹部として。
恐ろしい年寄りである……。
まあ、その侵攻案が今回は活かされるって事なんだろうけども。
活かすために、前日まで王様と大公様、両名の名が記入された高級羊皮紙、金の箔押しからなる瀟洒な檄文を各地へと飛ばし、魔王さんも、魔王軍に招集をかけるために、方々に連絡。
モルドーへと兵力を集わせるために、トップの方々、ここ数日は不眠不休だったようだ。
その内の一人が地図の上をつかつかと足音を立てて歩きつつ、モノクルのレンズを煌めかせて、指揮棒を要所要所に指していく。
各城門に地下道、そして運河を上り北門から王城跡へと攻め上がるという、多方向からの同時進行で敵の数を分散させる大公様の計画。
「正攻法の攻め方であるが、これに意見はないかな?」
いやいや、おかしいでしょ。
気になったので挙手してみる。
この場にて意見をする第一号だな僕。
冒険者や兵士からじゃなく、戦いの素人で、整備局員一年目の僕に対して、空気を読め的な苦笑をしつつ、
「述べてみよ。ウィザースプーン」
と、発言を許してくれる。
「ここでこそ、空間移動魔法でしょう」
子爵が王都に入り込んできたのがそれなんだから、こっちもそれを使用して一気に懐に入り込めばいいじゃん。
「阿呆」
また、淡々と言いやがって。だから僕は賢い方なんだよ! 叩き割るぞ! そのモノクル。
周り見て見ろ。僕の発言に確かにって表情だよ。
なのに阿呆とか言いやがって!
「そんな事はとっくに試している」
「あ、そうですか……」
「だが、入りこめん。王都から半径一里半。そこが空間移動魔法での移動限界だ」
使用しても、それ以上になると、魔力による強力な障壁にぶつかり、空間移動魔法で入り込めないようになっていると、斥候より連絡があったそうだ。
しかも、連絡を行うための魔法である伝達もノイズが入って聞き取るのに難儀しているらしい。
魔石鏡も同様だそうだ。
だからこそ、全体で足並みを揃えるために、通常の移動方法で、陸や運河を、馬、船、自らの足で踏破するとの事。
また先遣隊は、空間移動魔法の限界移動地点である、王都から一里半の位置で展開し、偵察および、陽動のための破壊発動を主とする遊撃隊からなる編制を予定しているそうだ。
「問題は、相手の戦力ですね」
後ろから王様が口にすれば――――、
「おい、隅っこで丸くなっている才槌よ」
「ハ、ハヒッ!?」
ノムロのおっさん、呼ばれてるんだ……。
子爵の下男だからな。内情は誰よりも知っているから当然といえば当然か。
横に目を向ければ、ロールさんはおっさんの登場が嫌なのか、唇を少し尖らせていた。
吸い付きたくなる唇である。
呼ばれると、足早に大公様の前に移動。
子爵が王都に投入した兵力と、後詰めの兵力を大公様が問い、
――――答えるおっさん。
今回、投入されたのは一万五千ほど、王都に五千。ケルプト山に一万。
ヘルムの企てもあり、ケルプト山の一万はかなり間引かれているだろう。
企ての事はモルドーまでの道のりで、ブールさんに報告済み。
王都の五千と、子爵が自領に温存した兵力がどれほどかが気になるところ――――。
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