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集結
PHASE-02
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今一度ノムロのおっさんに問えば、クラーク領の常在兵力は四万。
展開した兵を差し引けば、領地には二万五千ほどが残っているという事になる。
加えてラゴットにいる冒険者崩れの存在もある。
でも、何よりも――――、
「仮面の男。ヘイターが使用する亡者の数は?」
「それは自分では分かりません」
流石にヘイターの情報は知らないと、ペコペコと頭をさげて謝罪している。
「さがれ、役立たずめ!」
「は、はい!」
終始、震えた声で応対し、足早に元の場所に戻ると、誰にも気付かれないようにとばかりに、体を小さく丸めてふさぎ込んでしまった。
でも、可哀想だとは一切思わない。
「ゲイアードよ」
今度はヘイターの兄であるゲイアードさんに問えば――――、
「申し訳ありません」
と、自分も分からないと返した。
未知数の兵力とぶつかる事こそが一番の脅威だと述べる大公様。
過小評価して手痛い目に遭うよりも、こちらの士気が下がろうとも、過大評価して対応した方が身も引き締まると考えた結果、
「亡者は百万はいると思うように」
流石に言い過ぎだ。
物理攻撃が聞かないのが百万もいたらたまったもんじゃない。
半ば冗談で耳にする皆さんだけど、もしかしたらとも考えているのか、笑みを見せるって事はなかった。
「亡者の相手は不死王軍に任せていただきたい!」
うわ~い。エントランスの気温が一気に高くなったような気がする。
豪快な声が玄関先から聞こえてくる。
声の主は不死王さん。
お久しぶりだけど、相変わらず質素で色あせた白い麻製の服だ。
紫色の肌をした大男の登場と、その方の豪快な声に、近くにいる方々は気圧されている感じだ。
「お待ちしておりました! 我が主!」
聞いた? ねえ、皆さん聞きましたか? 大公様が不死王さんに、我が主ってはっきりと言ってましたよ。
大公なんて呼ばなくていいよね。この人は魔王軍の幹部なんだから。
「古都は全戦力を投入します」
「!? よいのですか」
「民の心配もありますが――――」
この場にいた皆がビクッっと肩を震わせた。
原因は、大公様と話している不死王さんが、矢庭に涙を流したからだ。
「――――民は皆。古都を空ける事を心配だと言えば、有事が起これば、一丸となって、古都を守ると……。我々が帰ってくる場所を必ず守ると……」
「お……おお……」
ああ……、大公様もつられている。もちろん他の幹部の方々も……。
――……うん。泣いてる。
アンデッドと初老が一カ所に集まって泣き始めた……。
ある意味、地獄絵図だな……。
しっかし、本当によく泣くな不死王さん。本気で名水百選にでも選ばれようとしているのだろうか。
「なんと素晴らしい民に恵まれたのか! 帰りを待ってくれる民のためにも、我々は勝利せねばなりません!」
「全くもってその通りです我が主!」
――……感情の温度差が激しすぎるんだよ。
周囲を見ろ。全くついていけてないから。どん引きだから。
暑苦しいよ……。自然とつなぎのファスナーを下ろしてる自分がいる。
「むさ苦しいのじゃ!」
小さな体で不死王さんの腿に跳び蹴りをする魔王さん。
「主よ。お元気そうで何よりです」
「そんな事はよい。お前の登場で話が進まん!」
ゲシゲシと蹴られ続けている。
魔王さんには絶対に逆らえないんだな。
笑顔でただ受け続けてる。
「よくぞ来てくださいました」
魔王さんの両脇に手を回してヒョイと持ち上げ、不死王さんから離す王様。
不死王さんの登場で、高くなった気温が急激に低下する。
ピシリと凍りつくといっても過言ではないくらいだ。
なんたって、不死王さんが原因で、前王様が都から脱出する羽目になったんだからね。
怨敵でもあるわけだ。
皆さんそれを理解しているから、生唾を飲んで、これからどうなるかと、心配そうに状況を窺う――――。
展開した兵を差し引けば、領地には二万五千ほどが残っているという事になる。
加えてラゴットにいる冒険者崩れの存在もある。
でも、何よりも――――、
「仮面の男。ヘイターが使用する亡者の数は?」
「それは自分では分かりません」
流石にヘイターの情報は知らないと、ペコペコと頭をさげて謝罪している。
「さがれ、役立たずめ!」
「は、はい!」
終始、震えた声で応対し、足早に元の場所に戻ると、誰にも気付かれないようにとばかりに、体を小さく丸めてふさぎ込んでしまった。
でも、可哀想だとは一切思わない。
「ゲイアードよ」
今度はヘイターの兄であるゲイアードさんに問えば――――、
「申し訳ありません」
と、自分も分からないと返した。
未知数の兵力とぶつかる事こそが一番の脅威だと述べる大公様。
過小評価して手痛い目に遭うよりも、こちらの士気が下がろうとも、過大評価して対応した方が身も引き締まると考えた結果、
「亡者は百万はいると思うように」
流石に言い過ぎだ。
物理攻撃が聞かないのが百万もいたらたまったもんじゃない。
半ば冗談で耳にする皆さんだけど、もしかしたらとも考えているのか、笑みを見せるって事はなかった。
「亡者の相手は不死王軍に任せていただきたい!」
うわ~い。エントランスの気温が一気に高くなったような気がする。
豪快な声が玄関先から聞こえてくる。
声の主は不死王さん。
お久しぶりだけど、相変わらず質素で色あせた白い麻製の服だ。
紫色の肌をした大男の登場と、その方の豪快な声に、近くにいる方々は気圧されている感じだ。
「お待ちしておりました! 我が主!」
聞いた? ねえ、皆さん聞きましたか? 大公様が不死王さんに、我が主ってはっきりと言ってましたよ。
大公なんて呼ばなくていいよね。この人は魔王軍の幹部なんだから。
「古都は全戦力を投入します」
「!? よいのですか」
「民の心配もありますが――――」
この場にいた皆がビクッっと肩を震わせた。
原因は、大公様と話している不死王さんが、矢庭に涙を流したからだ。
「――――民は皆。古都を空ける事を心配だと言えば、有事が起これば、一丸となって、古都を守ると……。我々が帰ってくる場所を必ず守ると……」
「お……おお……」
ああ……、大公様もつられている。もちろん他の幹部の方々も……。
――……うん。泣いてる。
アンデッドと初老が一カ所に集まって泣き始めた……。
ある意味、地獄絵図だな……。
しっかし、本当によく泣くな不死王さん。本気で名水百選にでも選ばれようとしているのだろうか。
「なんと素晴らしい民に恵まれたのか! 帰りを待ってくれる民のためにも、我々は勝利せねばなりません!」
「全くもってその通りです我が主!」
――……感情の温度差が激しすぎるんだよ。
周囲を見ろ。全くついていけてないから。どん引きだから。
暑苦しいよ……。自然とつなぎのファスナーを下ろしてる自分がいる。
「むさ苦しいのじゃ!」
小さな体で不死王さんの腿に跳び蹴りをする魔王さん。
「主よ。お元気そうで何よりです」
「そんな事はよい。お前の登場で話が進まん!」
ゲシゲシと蹴られ続けている。
魔王さんには絶対に逆らえないんだな。
笑顔でただ受け続けてる。
「よくぞ来てくださいました」
魔王さんの両脇に手を回してヒョイと持ち上げ、不死王さんから離す王様。
不死王さんの登場で、高くなった気温が急激に低下する。
ピシリと凍りつくといっても過言ではないくらいだ。
なんたって、不死王さんが原因で、前王様が都から脱出する羽目になったんだからね。
怨敵でもあるわけだ。
皆さんそれを理解しているから、生唾を飲んで、これからどうなるかと、心配そうに状況を窺う――――。
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