拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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PHASE-04

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「炎竜王軍、不死王軍、バルの王軍。そしてここに集った者達を合わせれば二、三万にはなるかの~。後はシズク、キド、テトか――――これなら単純な兵力は勝るの」

「ヘイターの存在がある限り、十分――――とは言えませんな。しかし、拙速で事を進めねばなりません」
 相手の大軍勢と、最強の兵仗である捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデが王都以外に向かって動き出す事だけは避けなければと危惧する大公様。
 どこかに、領土とか防衛のしがらみに囚われない、一大勢力を有している集団がいればいいのだけれども。
 一騎当千とか言ってた割には、魔王さん、今のままでは頼りないといった視線を、ここに集まった方々に向けている。
 正直、失礼だけども、実力ある冒険者一行が数パーティーいても意味が無いのは確か。
 頼りの不死王軍は亡者の相手に集中しなければならないし。
 ンダガランさんに、後に合流するであろうキドさん達も、そちらのサポートもしつつ、通常戦闘もこなさないといけないだろう。
 となれば、兵力差でこちらが押されるな……。

 本当、どっかに都合のいい集団がいれば――――、
 ――――いるじゃないか。
 一大勢力を有し、尚且つ領土とかのしがらみもないのが。
 元々、その兵仗と相対していた存在と、それを崇める集団が。
 信仰はどこででも出来るからね。というか信仰対象が目の前にいるからね。

「はい」
 隅っこから僕が挙手をすれば、
「申してみよ」
 二度目なので、フランクに応対してくれる大公様。手にした指揮棒を僕へと向けてくる。
 全体の視線が一気に僕の方に向くことで、緊張してしまった。
 それを整えて、 
「邪神の力を――――」

「却下じゃ!」
 渋面になる七歳児の顔……。
 折角の愛らしい顔を見事なまでに台無しにしてくれてますよ。魔王さん。

「妾がアレの力を頼ると思うかピート? アレに頼るくらいなら、こんな惰弱な世は滅んでしまえばよい!」
 とんでもない事を言ったよ! そもそもの問題は自分たち兄妹のくせして!
 これから皆で力を合わせて頑張るって時に、滅べばいいなんてさ。
 か~。頭にきたよ。
 
 ――――つかつかと、僕は魔王さんに近づいていく。

「な、なんじゃ? ピート」

「いまは一丸とならないといけないのに、我が儘ばかり言って」

「仕方ないじゃろう。アレの事は受け付けないのじゃ」
 受け付けないとかじゃないんだよ。僕の中で、滅べばいい発言は許せない。
 
 ――――背後にすっと回ってやり、中腰で魔王さんの視線の高さに合わせる。
 振り返ろうとする体。それを制するように肩を押さえる。

「な、なんじゃ!? 何をするつもりじゃ!? 妾は魔王じゃぞぉぉぉぉぉぉぉおあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? 痛い! イダイのじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 拳をつくり、両中指の第二関節を立ててから、こめかみにグリグリを見舞ってやる。
 じたばたと暴れるけどもやめてあげない。

「やめよ! やめてください。痛いのじゃぁっぁぁぁぁぁ! 誰ぞ助けぬか!」
 我が儘な発言と分かっているからこそ、誰も止めに入らない。
 後が怖いと考えているようで、幹部に大公様。王様まで、魔王さんに目を合わせないで、明後日の方向を見ている。

「お前たち! この仕打ちが終わり次第に粛正してや゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁっぁああ!」
 最後の方は声にならない叫び声だ。
 生意気な事を言うので、更に高速でグリグリを見舞う。

「妾が悪かったですので、やめてもらいたく平に平に思いまするぅぅぅぅぅ」
 普段から偉そうな口調でしか話さないから慣れていないのか、とても変な敬語である。

「じゃあ、協力を願いましょうか――――お兄さんに」

「やじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ! はぁぁぁぁぁぁぁぁ!? 更に強くなるぅぅぅぅぅぅ!」
 なんて強情なんだ。もっと加速させねばならないか。
 回転を速めて、痛みと熱を与えてくれようか!

「唸れ深指屈筋フレクサー・ディジトーラム・プロファンダス・マッスル! アクセラレーション! 穿孔摩擦ヒートスパイラル!!」

「だぁぁぁぁぁぁぁぁい゛! 分かりましたのですぅ! 了承するのじゃ!」
 ふぅ――――。手こずらせやがって。
 息も絶え絶えに両手両膝を床につけて敗北者の姿を見せてくれる魔王さん。

「お前ね。少しは手加減してくれよ。大事な娘の体なんだから……」
 ケーシーさんの焦った顔。申し訳ないですけどね。でも、許せない発言でしたから。

「信じられんぞ……。この戦女神で、魔王な妾にこの様な無礼」
 目に涙を溜めて、こめかみを押さえつつ反論してくるので、キッと睨んでグリグリのポージングを行えば、直ぐさま目を反らして、助けなかった配下の皆さんに当たりはじめる。
 その中にはもちろん大公様もいる。
 凄いね。大公様、蹴られてるけど、完全に無抵抗だよ。
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