拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

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PHASE-08

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 で、大公様の存在感とは正反対の、派手に登場する事もなく、ほぼほぼ喋る事もなかった邪神は、魔王さんがいるもんだから、存在感を出来るだけ消してたな……。
 終わった後は姿が見えないから、魔王さんに嫌味を言われないように、そそくさと迎賓館を後にしたようだな。
 ここまで力ない姿は見た事ないよ。
 
 ――。
 
 一同が解散したところで、
「ウィザースプーン達はちょっと残れ」
 と、大公様。
 僕、ロールさん、整備長を引き留める。
 なんだろうか? 僕たちにはここから先は出来る事はない。

 ――。

「――――お久しぶりです」

「あ、アレイン局長じゃないですか」
 白群のギブゾンタックが相も変わらずお似合いの美人局長。
 でも、なんでパルパーナ整備局長がエギンバに来てるんだ?

「どうじゃ進捗は?」

「いえ、未だに見つかりません……」
 おや? 魔王さんとアレイン局長は知り合いなのか?

「どうしたんです?」
 いやいや、男前な声になって。整備長こそどうしたんです?
 美人局長が来たからって、急にしゅっとして。似合わないですよ。

「オルプラ神殿で探し物をしてまして、まだそれが見つかっていないんです」
 へ~。魔王さんとやり取りしてるから、魔王さん関係なんだろうけども。
 オルプラといえば――――、勇者パルティナだな。
 この人の名前は、つい最近も、魔王さんとヘルムとのやりとりで出ていたな。
「貴方方には謝らないといけません」

「なにをです?」
 だから、気持ち悪いからその声。鼻の下のばしてさ、
「レオニアさんに言うぞ」
 呟けば、
「お前だっていい思いしてるだろうが。おじさんにもチャンスをよこせ!」
 いい思いしてるように見えるのかよ! こちとらまだ彼女もいないよ!!

「あの……、いいですか?」

「どうぞ」
 話の腰を折ってしまって申し訳ありませんでした。

「邪神復活における報告書。本来、王都には情報を提供するために、徹頭徹尾しっかりと報告を記さなければならなかったのですが――」
 ああ、なぜか世間では大騒ぎな邪神復活が、王都の整備局では盛り上がりに欠けたからね。
 むしろ、邪神がインカミンした事で、ヘルムも、局員の皆さんも、【ああ! 邪神が復活したんだ】って身に染みて理解したんだよね。

「報告書にはただ復活したとしか記しておらず。活動も小規模で、現状では脅威にならないと、簡素に王都整備局には提出したんです」
 実際、脅威にはなっていないからいいんだけど、事細かく伝えていただかないと、今後の対策とかを考えるのも、王都の各局なんですから。
 いまとなっては意味をなさないけどさ。王都、侵略されてるし……。
 そもそも、アレイン局長が記録してくれるという事と、管轄も違ったから、邪神の報告書を丸投げした僕たちも悪いんだよね。
 王都整備局に届いた報告書にも結局のところ目を通さなかったし。
 正直、責められない……。

「あまり大事にしたくなかったのです。本当に申し訳ありませんでした」
 深く頭を下げるアレイン局長。

「ゆるせ」
 アレイン局長に続いて発言するのは魔王さん。
 本当に、どういう関係なんだ?

「邪神復活を機に、パルパーナへと観光以外の目的で人に来られるのは困るのじゃ」
 それはなぜ?
 表情だけで伝えれば、魔王さんは継いでくれる。

アレが封印されておるだけではないからの~。まあアレが原因で、冒険者やトレジャーハンター達は寄りつかなかった。じゃが、アレが復活し、あの場から去れば、一帯に眠る財宝を欲する者たちが現れる可能性が生まれる」

「実際に増えました。文化遺産という名目が通用しない者達が。排除には手を焼いています。それも探索進捗の遅れの原因なんですが……」
 排除とか、物騒だな。

「でもタンブラ神殿にそんな物ありますか? 僕は見てないですよ」

「あるわけがない。アレを封印しているだけの場所に、なぜ宝物ほうもつを置いてやらねばならないのじゃ。封じていた壺すら惜しいわ!」
 うん……。本当に嫌いなんだな…………。
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