拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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PHASE-09

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「タンブラ神殿に目がいくのはいいが、そこに目がいけば、必然的にオルプラにも目が向けられてしまう。それは困る」
 勇者パルティナが眠る神殿。
 宝物となり得る物があるって事か。
 
 ――――宝物――――。

「あ! 兵仗!」
「ヘルムが褒めるだけあって察しがいいの」
「でも、パルティナは兵仗を返したんでしょ」
「表だってはそうなっておる」
 なるほど、裏ではその反対の事になっているのか。
 つまりは、パルティナは兵仗を持っている。

「あやつは本当に心が清くてな。じゃから、返還で妾を訪れた時、今後おこる災いを考え、パルティナには兵仗を預けたままにしておる。妾が現在ゆうする物と、パルティナへと与えた物がこちらの切り札じゃ。それを他の者の手へと渡すわけにはいかん。厳重にパルティナの魂と共にオルプラで眠っている」

「魂?」

「うむ、しかし、あの神殿は広くてな。パルティナがどこで眠っているのか、それが分からんのよ。古来より死霊魔術師ネクロマンサーの類いはおる。もし悪しき心の存在が神殿を訪れ、魂が傀儡にされてしまったら……。それを回避する為だったんじゃろう。誰にも気付かれる事のない場所に眠っておる。よって、妾たちも探すのに苦労しているのじゃ」
 ほうほう。
 伝説の人物の魂。悠久の時を経ても尚、見つける事が出来ないなんてね。
 パルティナって人は相当に警戒心が強いんだな。おかげで、盗掘にあってないわけだ。
 でもそれが、いまでは面倒を生んでいるよね……。
 必要となっている時にこれじゃあね……。

「で、なんでアレインさんはそんなに詳しいんです?」
 何となくだけど、関係性は分かってしまった感はある。
 魔王さんと親しげだし、魔王さんの事を知っているし。
 とりあえず聞いておく。

「私は、カグラ様の配下ですので」
 やはり魔王軍の方だったか。
 ンダガランさんもそうだったし、詰所の方々に、アレインさん。美人が多いな、カグラさんの所は。
 
 ――――オルプラ神殿を守護しているのがアレインさん。
 ケルプト山と同様に重要拠点であるから、炎竜王軍が統治しているとの事。
 アレインさんは、ンダガランさんと並ぶ幹部の方だそうで、パルパーナ局員の大半はアレインさんの配下だそうだ。
 先ほどの排除という物騒な言葉に得心がいった。
 盗掘目当ての方々は、アレインさんに倒されていったんだな……。
 炎竜王幹部が地方の局長か……。
 上の方は繋がってるんだな。
 
 カグラさんが囚われの身となった事で焦燥感に襲われながらも、主を救い出すために、懸命に神殿内の探索を行っているそうで、今回は実りのない経過報告を行いに来たそうだ。
 
「パンゲア様の事は、出来るだけ大事にはしたくなかったのですが、まさか王都に派手に登場するとは思ってもいませんでした……。そのおかげで、パルパーナには盗掘人が増えるし……」

「アレは救いようのないじゃからな。じゃから、後先を考えないのじゃ。じゃからみたいに世界を牛耳ろうというな考えを抱くのじゃ。なんといってもじゃから」
 ひでえ言われようだ。
 
 この場に――――、いなくてよかったな…………。とは、言えなくなった……。
 
 あの邪神シスコン。遠巻きにこっちの事を窺ってやがる……。
 玄関のドアから頭を半分だけ覗かせてる……。
 でもって、魔王さんそれに気付いてたんだな。だから聞こえるように阿呆を強調して連呼したんだ。
 
 うわ……、なんだよあの悲しげな表情は……。
 ふられても尚、未練たらたらな男みたいな姿がそこにはあった。そいつは邪神だった……。

「無様」

「よう分かっておる」
 僕が誰に対して発言したか、魔王さんは理解したようだ。
 
 ――――。
 
 アレインさん。僕たちに正体を明かして、今後も探索に心血を注ぐので、主であるカグラさんの事をよろしくお願いしますと、深々と頭を下げてから、パルパーナへと戻っていった――――。
 
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