拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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王都潜入

PHASE-01

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「――――じゃあ、僕たちは行くよ。風雷王の名を汚さないようにね」

「頼んだぞ」
 二王さん達が搦手に参加する配下の皆さんに檄を飛ばして、進軍している軍へと合流するため、飛んでいかれた。
 あっという間に姿が見えなくなった。

「よし、では準備を」
 側に立つホーリーさんに大公様が頭を下げれば、ホーリーさんが空間魔法を展開。
 何もない空間に黒い風景が出来上がる。

「いきなり!」

「当たり前だ。すでに進軍しているのだぞ」
 躊躇っている整備長の気持ちを両断するように、冷たく発言する大公様。
 光るモノクル越しの炯眼に気圧されて、覚悟を決めたのか、押し黙る整備長。
 でも、普段のモノクルと違って、鈍い光だった。僕の指紋がベッタリだからね。

「私に挑めるのだ。いまから相手にする者達など容易かろう」

「当然ですよ」
 強気に返してやった。
 口角を上げた笑みだけが返ってくる。

「ボーイ安心しろ。俺ちゃんが守ってやるから」

「頼りにしてるよ」

「王都で見せたコンビネーションで倒していくぞ」
 うむ。

「ウィザースプーンさん」
 百人長が僕へと駆け寄ってくる。

「演習中に貴男が使っていた銃です。銃身が長い方が射程も伸びて、命中率も上がります」

「ありがとうございます。いただいた銃で何度も窮地を救われました」

「お役に立ててよかった」
 演習中の鬼のような姿は幻だったのか? と口にしたくなるほどの別人だ。
 手渡されると、懐かしの重みだ。
 そして……、これを手にするって事は、本当に行かないといけないんだな……。

「後の事は、現場のアーメイ殿に任せてある」
 大公様、全ては百人長に伝えてあるとの事だ。
 しかし、アーメイ殿か。立場的には不死王幹部、壌獣王幹部で位は一緒なのかな? 大公様が偉く見えてしまうのは、やはり大公って位がまやかしになってるよな~。

「さあ、出発」
 ロールさんのかけ声に、皆さんが動き出す。
 覚悟を決めたとはいえ、足は重い……。
 整備長の足は更に重そうだ。。
 二王さんとこの方々に、サージャスさん。それにバラクーダの面々かな? 大きく口を開いた魚の入れ墨が入ってるし。
 躊躇なく黒い空間に入って行かれる。

「さあ、通過する前に」
 ホーリーさんが手を僕らにかざす。
 ――――それで終わり?
 大丈夫ですと、ホーリーさんがゲートに手を向けている。
 どうやらこれで素人でも空間移動に耐えられるようだ。ケルプト山でも使用されたんだろうけど、体に温かいとかそんな感覚はない。
 唱えられたという実感が湧かないから、空間の中に入る事を躊躇してしまったが、ロールさんが気にも留めずに入っていったので、後に続いた。
 やはり、おっさんが最後尾だ……。
 ヘタレめ!

 ――――。
 

 便利なもんだな~。
 先ほどまでエギンバの男爵様の庭園にいたのに、外の世界へと風景が変わっていた。

「ここから先に、目に見えない障壁があるってわけですか?」
 そいつのせいで、王都まで空間移動魔法が使用出来ないって話だからな。
 数歩すうほ歩いてみる。目に見えないから仕方ないけども、何も感じ取れないよね。

「ここからは用心して進んで行こう」
 部隊を指揮するのは百人長。
 大公様もそう言ってたしな。てっきりキドさんの右腕である、ルガールさん辺りが指揮を行うのかと思ったけど、あの方はキドさんと共に行動しているんだろう。
 できちゃったやっちまった結婚の獅子の獣人ヴィルコラクさんに、オークさん。
 演習中に僕たちをしごいた方々が、各隊の分隊長のようだ。
 
 周囲を警戒しつつ歩く。
 でも、見晴らしのいい平地だから、隠れようがないよね……。

「ん?」

「どうしました?」
 サージャスさんが自分の手を見ながら、怪訝な表情になっている。
 
 矢庭に、手を誰もいないところへと向けて、
火球ファイヤーボール
 と、唱える。
 急な魔法発動に周囲は何事かと驚きつつも、サージャスさんを注視。

 ――――? 
 何も起こらないんですけど。
 しじまに支配された中で、見続ける。
 小首を傾げながら、今一度とばかりに、火球ファイヤーボールと唱えるも――――、やはり何も起きない。

「これは、魔力が遮断されてますね。魔法が使用不可能な結界のようです」

「「「「え!?」」」」
 サージャスさんの発言に驚くのは、僕や正規兵になったばかりのロウさん達。それにセイロンさん。
 ていうか、セイロンさんいるんだ……。
 僕たちと行動するバラクーダの数人の中にいたんだな。
 
 発言を耳にして、魔法を使用出来る皆さんは試し始めたけど――――、発動しないようだ。
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