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王都潜入
PHASE-26
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「こんな場にまで来るなんて、ジャイロスパイク君の胆力は大したものだね」
眉の位置が戻る。ざわついた心を整えてから、口を開くヘルム。
「直接の上司がこんな事を起こしたんですからね。部下たちは火消しをするのが当然ですよ。なので、絶対に阻止します」
凛とした姿と声に、冒険者くずれ達も、大したもんだと賞賛を口にする。
「本当に、それが理由なのかな?」
「もちろんです局長――――いえ、ヘルムさん。過ぎた夢は諦めて、大人しく投降する事をおすすめします。周囲を見てください」
立ちふさがる面々を指差すロールさん。
食指に沿って、ヘルムも首を動かし、元に戻してロールさんを見る所作は――、傾げる首。
「分からないんですか? そこの皆さんは利で集まっているだけです。対してこちらは、王様の想いに集っています。この差は大きいですよ。不利になれば、貴男の回りからその人達はいなくなります。子爵様の立場がそのまま貴男に移譲するだけです」
グリーの言で、冒険者くずれは子爵から心が離れている。
ヘルムの方が旨味があるからだろう。
でも、その忠誠もかりそめだ。こういう連中は、不利になれば簡単に掌を返すもんだ。
正鵠を射るロールさんの発言。
周囲の冒険者くずれは、何とも面白くないといったような表情に変わる。それだけ、ロールさんの言葉が真実だということだろう。
「はっきりした物言いは相変わらずだね。王の想い――――。それに君も賛同したわけだ。まあ、君が動いている理由は別なんだろうが」
口角を上げるヘルム。
後者の内容がよく分からないと、今度はロールさんが首を傾げた。
看破の乙女を見せつつ、
「想いと言うより、思い人なんじゃないかね? 危険な場であってもついて行き――――だい゛!?」
「「「「おお!」」」」
こちらだけでなく、向こう側からも感嘆の声が上がった。
素晴らしいコントロールである。
オーバースローからなる美しいフォームで振り切った腕。
そこから放たれた飛翔物が、ヘルムの顔面を見事に捉えた。
食らった方は、鼻を押さえてうずくまる。
ヘルムの足下を見れば、壊れてしまった勤労君の模型粘土の、頭部だ。
「はぁ、はぁ……」
息が荒いロールさん。
「指輪の効果の事は耳にしてましたが。本当に! 扱う人物がこんなだと、ろくな結果を生まないですね!」
こ、怖いよロールさん……。
どうして急に暴挙に出たのか。
「ぐぬぬぬぬ……おのれ…………」
痛そうだな。
鼻から蛇口を捻ったみたいに鼻血が出てるよ。
感嘆していた冒険者くずれも、雇い主がそういう状況だから、直ぐに回復魔法を唱え、一人がそれを行えば、残った面子が手にした得物や、鞘から剣を抜いてこちらを威圧してくる。
「さっさとその指輪を外して投降してください!」
「なぜに有利な方が投降を? 投降は君たちだろう。現局長殿」
「暫定です」
これ以上は堂々巡りとばかりに会話をやめると、ヘルムは手だけを僕たちに向けてくる。
合わせるように、向こうの取り巻きが動き出した。
以前もあった光景だ。
あの時と違うのは、近づいてくるのがただのごろつきではないということ。
魔法なんかも使用出来て、刀剣に秀でた玄人の集団だ。
「多いね……」
ググタムさんの声音は緊張気味。
ちょっと前までは訓練生だったからね。
「大丈夫だ、あの程度。俺たちはそれだけの演習を行ってきた」
リーダー的存在であるロウさんが、ググタムさんの横に立つ。
勝色の毛並みに覆われていても分かる、しなやかな筋肉を持った狼の獣人であるロウさんを目にすれば、冒険者くずれ達にとって、この中で最もモンスターらしい姿だからか、切っ先を向ける数がググタムさんより多くなる。
「一人で十人くらいを蹴散らせばいいだけの簡単なお仕事だニャ」
快活良く鼓舞するシナンさん。
でも、笑顔は引きつっていた。
「何を言ってやがる! レディに無理なんかさせられるかよ。俺ちゃんがレディの分まで相手してやら~」
ここで、声だけは凄みがあるのが口を開く。
最後に相手をしなければならないような、親玉の中の親玉みたいな声で、格好の良い事を口にする愛玩生物が、ふよふよと宙に浮きつつ、誰よりも前に出る。
眉の位置が戻る。ざわついた心を整えてから、口を開くヘルム。
「直接の上司がこんな事を起こしたんですからね。部下たちは火消しをするのが当然ですよ。なので、絶対に阻止します」
凛とした姿と声に、冒険者くずれ達も、大したもんだと賞賛を口にする。
「本当に、それが理由なのかな?」
「もちろんです局長――――いえ、ヘルムさん。過ぎた夢は諦めて、大人しく投降する事をおすすめします。周囲を見てください」
立ちふさがる面々を指差すロールさん。
食指に沿って、ヘルムも首を動かし、元に戻してロールさんを見る所作は――、傾げる首。
「分からないんですか? そこの皆さんは利で集まっているだけです。対してこちらは、王様の想いに集っています。この差は大きいですよ。不利になれば、貴男の回りからその人達はいなくなります。子爵様の立場がそのまま貴男に移譲するだけです」
グリーの言で、冒険者くずれは子爵から心が離れている。
ヘルムの方が旨味があるからだろう。
でも、その忠誠もかりそめだ。こういう連中は、不利になれば簡単に掌を返すもんだ。
正鵠を射るロールさんの発言。
周囲の冒険者くずれは、何とも面白くないといったような表情に変わる。それだけ、ロールさんの言葉が真実だということだろう。
「はっきりした物言いは相変わらずだね。王の想い――――。それに君も賛同したわけだ。まあ、君が動いている理由は別なんだろうが」
口角を上げるヘルム。
後者の内容がよく分からないと、今度はロールさんが首を傾げた。
看破の乙女を見せつつ、
「想いと言うより、思い人なんじゃないかね? 危険な場であってもついて行き――――だい゛!?」
「「「「おお!」」」」
こちらだけでなく、向こう側からも感嘆の声が上がった。
素晴らしいコントロールである。
オーバースローからなる美しいフォームで振り切った腕。
そこから放たれた飛翔物が、ヘルムの顔面を見事に捉えた。
食らった方は、鼻を押さえてうずくまる。
ヘルムの足下を見れば、壊れてしまった勤労君の模型粘土の、頭部だ。
「はぁ、はぁ……」
息が荒いロールさん。
「指輪の効果の事は耳にしてましたが。本当に! 扱う人物がこんなだと、ろくな結果を生まないですね!」
こ、怖いよロールさん……。
どうして急に暴挙に出たのか。
「ぐぬぬぬぬ……おのれ…………」
痛そうだな。
鼻から蛇口を捻ったみたいに鼻血が出てるよ。
感嘆していた冒険者くずれも、雇い主がそういう状況だから、直ぐに回復魔法を唱え、一人がそれを行えば、残った面子が手にした得物や、鞘から剣を抜いてこちらを威圧してくる。
「さっさとその指輪を外して投降してください!」
「なぜに有利な方が投降を? 投降は君たちだろう。現局長殿」
「暫定です」
これ以上は堂々巡りとばかりに会話をやめると、ヘルムは手だけを僕たちに向けてくる。
合わせるように、向こうの取り巻きが動き出した。
以前もあった光景だ。
あの時と違うのは、近づいてくるのがただのごろつきではないということ。
魔法なんかも使用出来て、刀剣に秀でた玄人の集団だ。
「多いね……」
ググタムさんの声音は緊張気味。
ちょっと前までは訓練生だったからね。
「大丈夫だ、あの程度。俺たちはそれだけの演習を行ってきた」
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勝色の毛並みに覆われていても分かる、しなやかな筋肉を持った狼の獣人であるロウさんを目にすれば、冒険者くずれ達にとって、この中で最もモンスターらしい姿だからか、切っ先を向ける数がググタムさんより多くなる。
「一人で十人くらいを蹴散らせばいいだけの簡単なお仕事だニャ」
快活良く鼓舞するシナンさん。
でも、笑顔は引きつっていた。
「何を言ってやがる! レディに無理なんかさせられるかよ。俺ちゃんがレディの分まで相手してやら~」
ここで、声だけは凄みがあるのが口を開く。
最後に相手をしなければならないような、親玉の中の親玉みたいな声で、格好の良い事を口にする愛玩生物が、ふよふよと宙に浮きつつ、誰よりも前に出る。
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