484 / 604
王都潜入
PHASE-27
しおりを挟む
「まあ見てろ、嘴の黄色いルーキー共。俺ちゃんの力を」
「「「はい!」」」
なんだこの光景は……。
ぬいぐるみみたいなのに、深々と典雅な一礼をするというロウさん達の姿。
やっぱり年上だからか? 形はこれでも百六十四歳だからな。
愛玩生物が啖呵切って前に立つもんだから、向こうサイドは戦いが始まるという緊迫の場で、クスリと失笑が漏れた。
ただ一人、ヘルムだけが口は真一文字だ。自然と手の甲に、残った手を添えている。
氷の塊を見舞われた痛みが蘇ったのかな。
「油断するなよ。姿形は愛らしいが、ヴィン海域の生物だ」
ヘルムの言葉に、笑んでいた者たちがヘルム同様に、口を真一文字へと変えた。
ヴィン海域のブランド名はダテじゃないようだ。
頭のおかしい連中が、日夜、殺し合いを心の底から堪能しているそんな世界。そこの住人となれば、やはり警戒レベルは格段に上がる。
「ドレッドノート・ロード・ポーツマスが子。シュパーブ・テメレーア・ポーツマスという」
「「「「ドレッドノート!!!!」」」」
盛大にびびりたおす冒険者くずれ達。
流石にドレッドノートさんの事はヴィン海域じゃなくても知られた名のようだ。
口から出す水圧だけで、島を消し飛ばす存在だからね。ヴィン海域在住の、名のある冒険者に最も警戒されている存在でもある。
笑みから真一文字、そして――――、震えだす口。
明らかに前へと進む足が重くなったようだ。
「ちなみに親父殿は、俺ちゃんに対して子煩悩。俺ちゃんが酷い目に遭う時。それは親父殿が現れるという事」
え~。父親の威光をここで出すの……。ダサいぞ百六十四歳!
でも、効果は抜群。相手サイドはズサリと後ろに下がる。
「何を恐れる。ブラフだ。ドレッドノートがどうやってここまで来る? 空間移動魔法も使用出来ないんだぞ」
馬鹿馬鹿しい冗談を真に受けるなと、ヘルムがお怒り。
その言や正しいとばかりに、嘲笑するシュパーブ君。
相手からしたら笑えない冗談だからな。
「油断せず倒せ」
を合図に、愛玩生物に茶化されたと、お怒りの冒険者くずれの一人が、槍の穂先でシュパーブ君を捕捉。
「ふぅぅぅぅぅぅ――――」
一吹きすれば、そこは最古参位の実力者。
可愛い顔をしていても、サイコパスしかいないヴィン海域の住人だ。
無慈悲に、迫ってきた冒険者くずれを氷の世界に閉じ込めた。
懐かしいな~。シズクさんがちょっと手を動かせば、こんな感じになってたな。
規模は向こうが圧倒的だけど。
「しょら!」
――……やっちゃったよ……。
これだからガチ勢は…………。
シズクさんの所は、氷の中に封じ込めたら、拳で氷ごと中の人を砕かないと気がすまないのだろうか……。
とても見せられないので、僕はロールさんの目を諸手で塞いだ。
ギリギリ間に合ったようで、ロールさんがゴア要素満載の光景を目にする事はなかった。
「凄いですニャ……」
ゲンジ砂漠の面々とはいえ、そこは新兵。あそこがガチ勢の巣窟だった時を知らない方々にとって、凄惨な一撃を平然と行う愛玩生物に、恐れを抱いてしまったようだ。
正常な精神だと思われる。
僕の後ろでは、
「ぁえ~……」
変な呻きを発しながら、ブンゴさんが気を失う。
顔面蒼白になりながらも、タモンさんがそれを支えた。
「俺ちゃん強い! はっきりわかんだね。でもって、一切、容赦しないスタイル」
「これだから魔王軍は!!」
お怒りのヘルム。
端から見たら、シュパーブ君の声も相まって、完全にこちらが悪役みたいなんですけど……。
「「「はい!」」」
なんだこの光景は……。
ぬいぐるみみたいなのに、深々と典雅な一礼をするというロウさん達の姿。
やっぱり年上だからか? 形はこれでも百六十四歳だからな。
愛玩生物が啖呵切って前に立つもんだから、向こうサイドは戦いが始まるという緊迫の場で、クスリと失笑が漏れた。
ただ一人、ヘルムだけが口は真一文字だ。自然と手の甲に、残った手を添えている。
氷の塊を見舞われた痛みが蘇ったのかな。
「油断するなよ。姿形は愛らしいが、ヴィン海域の生物だ」
ヘルムの言葉に、笑んでいた者たちがヘルム同様に、口を真一文字へと変えた。
ヴィン海域のブランド名はダテじゃないようだ。
頭のおかしい連中が、日夜、殺し合いを心の底から堪能しているそんな世界。そこの住人となれば、やはり警戒レベルは格段に上がる。
「ドレッドノート・ロード・ポーツマスが子。シュパーブ・テメレーア・ポーツマスという」
「「「「ドレッドノート!!!!」」」」
盛大にびびりたおす冒険者くずれ達。
流石にドレッドノートさんの事はヴィン海域じゃなくても知られた名のようだ。
口から出す水圧だけで、島を消し飛ばす存在だからね。ヴィン海域在住の、名のある冒険者に最も警戒されている存在でもある。
笑みから真一文字、そして――――、震えだす口。
明らかに前へと進む足が重くなったようだ。
「ちなみに親父殿は、俺ちゃんに対して子煩悩。俺ちゃんが酷い目に遭う時。それは親父殿が現れるという事」
え~。父親の威光をここで出すの……。ダサいぞ百六十四歳!
でも、効果は抜群。相手サイドはズサリと後ろに下がる。
「何を恐れる。ブラフだ。ドレッドノートがどうやってここまで来る? 空間移動魔法も使用出来ないんだぞ」
馬鹿馬鹿しい冗談を真に受けるなと、ヘルムがお怒り。
その言や正しいとばかりに、嘲笑するシュパーブ君。
相手からしたら笑えない冗談だからな。
「油断せず倒せ」
を合図に、愛玩生物に茶化されたと、お怒りの冒険者くずれの一人が、槍の穂先でシュパーブ君を捕捉。
「ふぅぅぅぅぅぅ――――」
一吹きすれば、そこは最古参位の実力者。
可愛い顔をしていても、サイコパスしかいないヴィン海域の住人だ。
無慈悲に、迫ってきた冒険者くずれを氷の世界に閉じ込めた。
懐かしいな~。シズクさんがちょっと手を動かせば、こんな感じになってたな。
規模は向こうが圧倒的だけど。
「しょら!」
――……やっちゃったよ……。
これだからガチ勢は…………。
シズクさんの所は、氷の中に封じ込めたら、拳で氷ごと中の人を砕かないと気がすまないのだろうか……。
とても見せられないので、僕はロールさんの目を諸手で塞いだ。
ギリギリ間に合ったようで、ロールさんがゴア要素満載の光景を目にする事はなかった。
「凄いですニャ……」
ゲンジ砂漠の面々とはいえ、そこは新兵。あそこがガチ勢の巣窟だった時を知らない方々にとって、凄惨な一撃を平然と行う愛玩生物に、恐れを抱いてしまったようだ。
正常な精神だと思われる。
僕の後ろでは、
「ぁえ~……」
変な呻きを発しながら、ブンゴさんが気を失う。
顔面蒼白になりながらも、タモンさんがそれを支えた。
「俺ちゃん強い! はっきりわかんだね。でもって、一切、容赦しないスタイル」
「これだから魔王軍は!!」
お怒りのヘルム。
端から見たら、シュパーブ君の声も相まって、完全にこちらが悪役みたいなんですけど……。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる