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レコンキスタ
PHASE-05
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「制止とは、いい判断だね」
「何をした?」
「僕の新術さ」
「それは見れば分かる」
「しかたないな~。黒の親友の事を教えてあげるよ。この新術はね――――生きた人間を無理矢理に亡者にするんだ♪」
嬉々として発する内容は、とても不愉快な発言であり、ゲイアードの表情は渋面に変わる。
命を奪い、魂を召喚すれば、自分の駒として使役する。
それだけでは飽き足らず、今度は生者までも無理矢理に亡者へと変える……。
ヘイターの行動は、完全に箍が外れた狂者であった。
「で、黒の親友によって亡者になった者が、生者に触れれば、触れられた者も亡者となる。親友が親友を呼ぶんだよ。まあ、友達の友達は他人だけどね♪ 子爵の事はちょっとは知ってるけど、兵長の事は全く知らないから、例えが当てはまるね」
「何が面白いんだ!」
「にいにいが怒る顔を見せるところかな~」
定まらないゲイアードに対する呼称。
以前と同様である。
それだけ余裕があるという事だろう。
反面、ゲイアードだけでなく、側にいるエルン一行も、渋面に変わり、怒りを抱く。
「いや~この新術のために相当の努力、研鑽をしてきたよ。従来の亡者を大量召喚する我が玩具箱は、召喚する度に魔力を消費し続けなければいけないんだけど、この新術は、一人に唱えたら、後はその一人に任せれば勝手に増えていくんだよね。僕ちゃんは疲れない。後は感染を観戦ってね」
「まったく面白くないな」
「うん……。自分でも言って恥ずかしくなったよ。感染と観戦……。いま当方の顔は、恥ずかしさから真っ赤さ」
「よかったな。仮面をつけておいて」
「でしょ~♪」
カラカラと子供のように笑うヘイターの姿。自分の弟が、ここまで堕ちていることに対して、過去に命を取らなかった事を本気で後悔していた。
あの時、命を刈り取っていれば、この様な事態にはならなかったと、エルン達にも聞こえるほどに歯を軋らせてしまう。
「さあ、お話はここまで、黒の親友の広がりは止められないよ」
確かにその言は正しいと、眼前の状況を見て理解する。
一人から二人、二人が四人と、ねずみ算式に増え続けていく。
阿鼻叫喚の子爵の私兵。
逃げ出したくとも狭い橋の上では隊列を整えていた分、それが乱れると、一人一人が体を動かすのすら難しい状況になっていた。
逃げられる場所を探せば、シラクサ達が立つ方向か、運河に飛び込むかである。
前者は自分たちを敵と判断していると考えたのか、後者を選択する者が多い。
しかし、奢侈な武具は重いようで、そのまま飛び込んだ者は溺れ死ぬ運命であった。
それを目にした者たちは、助けてくれと懇願しつつ、シラクサ達の方へと一斉に走り出す。
「どうします?」
ラゼンの問いに、
「無論、助けたいと思います」
と、間髪入れずに即答するシラクサ。
だが、どの様に助けるのか、心情だけで発言したのならば取り消した方がいいと、叔父であるラゼンは叱責する。
この状況が全くもって理解の外である事から、防御に力を注ぐようにすべしと具申。
シラクサは得心がいかなかったようだが、周囲の者たちに目を向け、自分の思いに馳せ参じた者たちに無理はさせられないと判断し、ラゼンの提案通り、防御陣形で対応するように指示した。
私兵たちの目に映る迎撃態勢は、自分たちに向けられたものと判断したのか、シラクサ達に救いを求めるのを諦め、陣形の前に立つ、エルン一行、ゲイアードに救いを求め始めた。
「ど、どうします」
収拾がつかない状況に、フィットが困った顔で問う。
いくら何でも、混乱に陥るのが簡単すぎる。練度があまりにも低い兵達だと、嘆息を漏らすゲイアードは、
「助かりたいなら、戦う意思を捨てるんだ。剣に鎧をかなぐり捨て、運河に飛び込めば、大海蛇が救ってくれるだろう」
すがる兵達にそう伝えると、誰よりも速くと、装備一式を捨て去り、鎧下着の姿で我先に運河へと飛び込んでいく。
「やれやれ……。拙速だが、普段からあのくらいの動きを見せれば、素晴らしい兵達と賞賛を受けるだろうに」
ここでも嘆息を漏らして、次には炯眼となり、迫ってくる黒い姿をした存在を迎え撃つように構える。
黒い存在は、亡者同様に、獲物を見つければ真っ直ぐに向かってくる。
――――だが、歩む速度は遅い。早歩き程度である。
新術が故に、まだ完全ではないと推測する。
「何をした?」
「僕の新術さ」
「それは見れば分かる」
「しかたないな~。黒の親友の事を教えてあげるよ。この新術はね――――生きた人間を無理矢理に亡者にするんだ♪」
嬉々として発する内容は、とても不愉快な発言であり、ゲイアードの表情は渋面に変わる。
命を奪い、魂を召喚すれば、自分の駒として使役する。
それだけでは飽き足らず、今度は生者までも無理矢理に亡者へと変える……。
ヘイターの行動は、完全に箍が外れた狂者であった。
「で、黒の親友によって亡者になった者が、生者に触れれば、触れられた者も亡者となる。親友が親友を呼ぶんだよ。まあ、友達の友達は他人だけどね♪ 子爵の事はちょっとは知ってるけど、兵長の事は全く知らないから、例えが当てはまるね」
「何が面白いんだ!」
「にいにいが怒る顔を見せるところかな~」
定まらないゲイアードに対する呼称。
以前と同様である。
それだけ余裕があるという事だろう。
反面、ゲイアードだけでなく、側にいるエルン一行も、渋面に変わり、怒りを抱く。
「いや~この新術のために相当の努力、研鑽をしてきたよ。従来の亡者を大量召喚する我が玩具箱は、召喚する度に魔力を消費し続けなければいけないんだけど、この新術は、一人に唱えたら、後はその一人に任せれば勝手に増えていくんだよね。僕ちゃんは疲れない。後は感染を観戦ってね」
「まったく面白くないな」
「うん……。自分でも言って恥ずかしくなったよ。感染と観戦……。いま当方の顔は、恥ずかしさから真っ赤さ」
「よかったな。仮面をつけておいて」
「でしょ~♪」
カラカラと子供のように笑うヘイターの姿。自分の弟が、ここまで堕ちていることに対して、過去に命を取らなかった事を本気で後悔していた。
あの時、命を刈り取っていれば、この様な事態にはならなかったと、エルン達にも聞こえるほどに歯を軋らせてしまう。
「さあ、お話はここまで、黒の親友の広がりは止められないよ」
確かにその言は正しいと、眼前の状況を見て理解する。
一人から二人、二人が四人と、ねずみ算式に増え続けていく。
阿鼻叫喚の子爵の私兵。
逃げ出したくとも狭い橋の上では隊列を整えていた分、それが乱れると、一人一人が体を動かすのすら難しい状況になっていた。
逃げられる場所を探せば、シラクサ達が立つ方向か、運河に飛び込むかである。
前者は自分たちを敵と判断していると考えたのか、後者を選択する者が多い。
しかし、奢侈な武具は重いようで、そのまま飛び込んだ者は溺れ死ぬ運命であった。
それを目にした者たちは、助けてくれと懇願しつつ、シラクサ達の方へと一斉に走り出す。
「どうします?」
ラゼンの問いに、
「無論、助けたいと思います」
と、間髪入れずに即答するシラクサ。
だが、どの様に助けるのか、心情だけで発言したのならば取り消した方がいいと、叔父であるラゼンは叱責する。
この状況が全くもって理解の外である事から、防御に力を注ぐようにすべしと具申。
シラクサは得心がいかなかったようだが、周囲の者たちに目を向け、自分の思いに馳せ参じた者たちに無理はさせられないと判断し、ラゼンの提案通り、防御陣形で対応するように指示した。
私兵たちの目に映る迎撃態勢は、自分たちに向けられたものと判断したのか、シラクサ達に救いを求めるのを諦め、陣形の前に立つ、エルン一行、ゲイアードに救いを求め始めた。
「ど、どうします」
収拾がつかない状況に、フィットが困った顔で問う。
いくら何でも、混乱に陥るのが簡単すぎる。練度があまりにも低い兵達だと、嘆息を漏らすゲイアードは、
「助かりたいなら、戦う意思を捨てるんだ。剣に鎧をかなぐり捨て、運河に飛び込めば、大海蛇が救ってくれるだろう」
すがる兵達にそう伝えると、誰よりも速くと、装備一式を捨て去り、鎧下着の姿で我先に運河へと飛び込んでいく。
「やれやれ……。拙速だが、普段からあのくらいの動きを見せれば、素晴らしい兵達と賞賛を受けるだろうに」
ここでも嘆息を漏らして、次には炯眼となり、迫ってくる黒い姿をした存在を迎え撃つように構える。
黒い存在は、亡者同様に、獲物を見つければ真っ直ぐに向かってくる。
――――だが、歩む速度は遅い。早歩き程度である。
新術が故に、まだ完全ではないと推測する。
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