拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

文字の大きさ
501 / 604
レコンキスタ

PHASE-14

しおりを挟む
   *    *

願望破壊の乙女ラーズグリーズですか」
 復唱するサージャスさん。

「さよう」
 緊張気味に柄を持ち直している。

「で、これってどんな効果があるんです?」
 こめかみを擦りながら、僕の問いかけに睨みで返してくる。
 相当に痛かったようだ。
 僕が更に見舞わないためにも、丁寧な説明を願いたいね。

「これは穂先で傷を与えた兵仗の効果を無効化する力がある。この兵仗、願望破壊の乙女ラーズグリーズは、唯一無二の対兵仗の兵仗じゃ」
「カウンター武器ですね」
「さよう、毒蛇が自らの毒で死ねば滑稽。耐性を持つから使えるのじゃ。兵仗も一緒。強大な力を抑えるには、それに見合う存在があるという事」
「それは凄い。なら、捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデもこれで――――」
 男爵様のとこではもったいぶってたけども、ようやく出したんだからね。それくらいの効果が無いと困るってもんだ。
 でも、これをぶっさせば、無効化できるって事だから、一気に攻略難易度が下がったんじゃないか。

「妾の考えた捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデがそんな簡単に無効化できるものか!」
 何を偉そうにふんぞり返って言ってるかな。強大な力を抑えるってくだりは眉唾物か?
 そもそも偉そうに言える立場じゃないんですがね。そんなもんを造るなって話だから。
 ――――他はともかく、捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデはあの図体である。それこそ数多く打ち込まないと効果はないようだ。
 あれだけ的が大きいから、難しくはないんじゃないか?
 そこはサージャスさんに頑張ってもらうとして、気になる事がある。

「切り札の一つって事は? あとはあれですか?」
 それがあれば、更に捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデの攻略が楽になるみたいだけど。

「ふむん」
 遠い目をしている。

「オルプラ神殿、勇者パルティナの持つ兵仗ですよね?」

「うむ。あれがあれば更に楽になるが、現状はこのままでいくしかあるまい」
 未だに吉報は届かずか……。
 でも、この願望破壊の乙女ラーズグリーズがあれば光明も見えるってもんだ。

「ただ、速いところ別の兵仗を手にせねばならん。そうじゃの~、まずは主目標である戒律の乙女ヘルフィヨトルを獲得するのじゃ」

「破壊じゃなく?」

「無論じゃ。サージャスに願望破壊の乙女ラーズグリーズを貸し与えているという事は、妾は力を失った状態になる。今まで眠りについておったから、最低限の力は蓄えておるから現状を維持できるが、遅延が生じれば、妾が無に返ってしまう。最悪の場合、妾の維持のために願望破壊の乙女ラーズグリーズは返してもらう」
 なるほどね。
 エギンバでもったいぶってた理由はそれか。
 まったくさ……。いくら邪神を倒すためだからとはいえ、魂削ってまで作る代物だったのだろうか?
 殆ど返してもらえてないし。お馬鹿だな~。

「妾の事をお馬鹿と思ったろう」
「はい」
「否定しないとか! お前だけじゃぞ。妾にこんなにも不遜なのは」
「首を刎ねましょうか」
「やってみろよモノクルこらぁ!」
 急に横入りしやがって! 第二ラウンド行くか? この初老の元大公が!
 魔王さん相手にこうやって行動に打って出られる男だぞ。あんたなんか怖くないんだよ!
 ぐぬぬぬ……。と、お怒りのご様子。

「叔父上相手にこの胆力……」
 安心してください。王様には平身低頭の精神で対応しますから。
 魔王軍に屈服しないだけです。

「あんまり皆さんに迷惑をかけないように」

「あ、はい」
 暫定局長に怒られてしまった。

「よいか! 早急に戒律の乙女ヘルフィヨトルを奪還するのじゃ! あれを無効化すれば、こちらは大いに有利になる。そしてピートよ」
 なんだい? 僕に対して説教ですか?

「以前も言ったが、お前が頼りになる」
 ん? この素人に何を託そうとしているのだろう。
 僕じゃなきゃ駄目な理由があるのかな?

「お前が――――カグラを救うのじゃ」

「ふぁ?」
 何を言ってるんだろうか、このおチビちゃんは?
 助けられるなら助けたいけども、それは皆で助けるのであって、僕みたいな素人が助けるとかってのは、違うと思うの。
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

処理中です...