拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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レコンキスタ

PHASE-18

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 これだけ揺れてるのに、ヘルムに目を向ければ、微動だにしていない。
 察するに、この揺れはヘルムにとって分かっていた事。

「さて、本番が始まるぞ。第一幕が開かれる」
 先ほど以上に不敵な笑みを残して、空間の中に消えていった。
 その後すぐに、後方――――、つまりは前線の方から声が上がる。
 雄々しいものでなく、驚きからのものだ。
 
 そちらに目を向けると、
「おお……」
 動いてる……。白亜の巨大なゴーレムが動いている。
 取り囲む欄干や梯子などが、ガチャガチャと音を立てて崩れ落ちていく。

「どうかな?」
 先ほどまで近くで聞こえていた声が、大きなものに変わり、捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデの方角から聞こえてくる。
 目をこらせば、肩の辺りにヘルムが立っているのが分かる。
 隣には、深紅の鎧に白髪頭のダイアン。
 王都に対して、捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデで攻撃を実行した、隻眼の屠竜者ドラゴンベインだ。

「聞こえづらいか。ならば――――」
 言うと、空に映し出されるヘルムとダイアン。

『どうかな? 動く捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデを近くで見る感想は?』
 僕たちに問いかけてくれば、
「やれ」
 と、一言。
 感想まだ言ってないんだけど!
 声に従うようで、捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデが、塔のような巨大な腕を動かし始める。

「おいおい……」
 整備長、危ないと察知したようで、後方に全速力で走り出す。
 あの人、危険察知は高いからな……。
 てことは、相当にまずいって事か。

「下がれ!」
 整備長に遅れて、魔王さんが大音声。
 次には、塔のような巨大な腕が大地を払うかのように迫ってきた。
 前線の冒険者さんや兵士の方々がそれによって宙に舞う。
 
 ――……なんてこった……。
 一つの動作で、前線が削られた……。

『動きは鈍いが、いい一撃だ。これは素晴らしい力だ』
 空に映し出されたヘルムの愉悦な表情。
 こんな事しといて、あの表情。あんなのが世界を手にしたら、きれい事を言おうとも、自分の都合のいい世界しか作らないよ。

「怯むな!」
 大公様、それは厳しい。
 あの一撃を見せられた後にそんな事を言われても、そう簡単には体は動かないだろうさ。

『うるさい男だ』
 食指を大公様に向けるヘルム。
 連動して捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデが大きく腕を振り上げ、拳を大公様の定める。
 大公様、負けん気が強いか知らないが、受けてやると仁王立ちだ。
 そこを、近衛兵の二人が腕を掴んで後ろに引っ張る。
 だとしても、あの巨大な腕は直撃コースだ。

「させない」
 なんと無謀な! 大公様以上に無謀ですよ!
 サージャスさん、あろう事か、迫ってくる巨大なこぶしに正面からやり合おうとしている。

「なに考えてんです!」
 凄惨な光景は見慣れてしまっているけど、サージャスさんとなれば流石に耐えられない。

「せい!」
 体にチャクラを纏ってから、願望破壊の乙女ラーズグリーズの穂先を拳に向かって突き出す。
 いや、質量からして、槍が折れる……。
 無理にも程があると、思っていたら――――、
 トゥーンって、独特な音が一帯に響いた。
 金属音でも木製でもない、不思議で小気味のいい音。

『なんだと!』
 次いでヘルムの驚きの声。
 僕に至っては、驚きすぎて声も出ない。
 自分の体を簡単に押しつぶしてしまうくらいに巨大な拳に、願望破壊の乙女ラーズグリーズの穂先を打ち込めば、迫る拳を弾き返したのである。

「おお……」
 と、いう声が全体から上がっていき、輪唱していくと、それが次第に重なっていき、
「「「「おおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」」
 歓喜の合唱となって、サージャスさんを称えた。
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