拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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レコンキスタ

PHASE-27

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「ごめん。掩護役なのに足を引っ張って」

「いやいや、普通にここまで来られましたから」
 申し訳なさそうに頭を下げるアズナさんに、僕は捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデに立ってから応対。
 本当に、僕には何もおこらないと再認識。
 
 アクシャイさん、呼吸が弱くなってきている。早いところ回復させないといけない。
 サージャスさん!
 頭部を目指す姿を見守る。
 
 ここで更に増援のラゴット勢が、捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデより現れて、サージャスさんを迎撃するも、青く体を光らせて、襲いかかる大勢の相手を吹き飛ばして、そのまま突き進んでいく。

「すご!」
 圧倒的な戦闘力にアズナさんも驚きだ。

「あと少し!」
 頭部へと届きそうになる姿に拳を強く握りしめて、心から祈る。
 でも、祈りってのは中々に叶うものでもないようで……、
「ここに来てかよ!」
 苛立つアズナさん。
 僕も同じだ。
 トラップが発動したかのように、ヘイターの亡者なのか、ワイバーンタイプのドラゴンの幽体が頭部から現れる。

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ」
 ここまではっきりと聞こえるサージャスさんの大音声。
 青く光る体からその光りだけが放たれる。
 まるで、赤いチャクラの時に使う、耳を劈く技みたいだ。
 普通だと苦戦は必死と考えられるワイバーンの幽体。
 僕たちの苛立ちを余所に、簡単に霧散させた。
 流石です。
 心で賞賛。

「僕は行きます」
 見届けなくても分かる。サージャスさんはやってくれる。
 となれば、少しでも早く移動して、内部に入り込むことを選択する。

「気をつけてな」
 言いつつ、おもむろにまだらの上着を脱ぐと、アズナさんはそれを僕に渡す。

「炎竜王様は全裸なんだろ?」
 ありがたい配慮である。
 感謝を込めて一礼をアズナさんに行い、上着を折りたたんで、作業用ポシェットに無理矢理詰め込んでから二丁の銃に弾を装填した。
 弾はもちろんスタン弾。こいつが活躍できる状況になるからね。
  
 ――。
 
 巨神が腕をよく動かすから、揺れて歩行が難しいもけども、掴めそうな所を掴みながら、確実に前に進む。

「ハハ、まるでノミになった気分だ」
 今からおっかないところに入るのに、何ともポジティブじゃないか。

「――――よっし!」
 揺れが収まるところを見定めて、駆け足でうなじ部分まで移動する。
 先ほどヘルムが入り込んだハンドル式のドア。
 回して引けば、厚みのあるドアが開く。
 その中へと足を一歩踏み込んだ時、
戒律の乙女ヘルフィヨトル、無力化及び奪還しました!」
 聞き慣れた快活な大音声。
 それに呼応して、下の方から割れんばかりの歓声。
 それらに背を押されるようにして、僕は一人で巨神の中に入っていく。

「――――ほへ~」
 外部同様に内部も白亜な壁だ。
 中に入れば、転落の危険性は無くなったけど、その分、敵に遭遇しても、一人で対応しないといけないのがね……。
 さてさて、どこを目指せばいいのか。
 大人が横に並んで三人ほどが歩ける通路を進んで行く。
 機械的なものだと創造してたけど、歯車みたいなものは内部には無く、綺麗な白壁ばかりが続く。
 側面には出入り口のようなハンドルの付いた、ハッチがいくつも設けられている。

「いませんよね~」
 小声で独白しつつ、ハッチの一つ調べれば、簡易ベッドが準備されている詰め所のような場所だった。
 十数人程度が寝られるようになっている。
 各部屋がこの規模だとするなら、十分な兵力を運んで戦える。
 城じゃなく、移動要塞だな。
 運がいいのは、詰め所に人がいないこと。
 外では派手に戦っているんだから、当たり前なんだけども。
 
 ――――更に足を進めれば、明らかにハッチとは違う、うなじ部分と同じ作りのドア。
 このドアで各所を区切っているのかな?
 静かに用心しつつ、ハンドルを回して、開き、頭だけを先に入れる。

「階段を発見」
 誰に対して言うわけでもないけど、一人だと心細くて寂しいので、ついつい口に出す。
 螺旋作りの階段は、下に続くものだった。
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