拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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レコンキスタ

PHASE-46

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   *    *
 
 ダイアンは手にした双剣を抜ききる。
 ――――剣身の中心部分が肉抜きされた独特な剣であった。
 剣身全体には人では読めない文字が刻まれ、色はサージャスの眼前に存在する巨神と、自らが手にする槍と同じ乳白色の物であった。

「それは!?」

「ようやく驚きか。嬉しいぜ!」
 口角を上げ、深紅の鎧を纏ったダイアンは、双剣を交差させてサージャスへと迫る。

「同じ芸当」
 と、サージャスは穂先を交差する点に向かっての刺突。

「同じ芸当」
 オウム返しのダイアン。
 彼の前に氷の壁が現出し、刺突を防げば、双剣で乗算記号を書く。
 受けることをせず躱すサージャス。
 だが――――、
「!?」
 体に違和感を覚える。
 攻撃を受けていないのは認識しているし、まさかと思い、体を見ても斬られた様子もない。
 しかし、目の前が一瞬だがかすみ、視界が鈍くなった。
 また、吐き気も覚え、とっさに口をおさえた。

「なに?」
 何かがおこった、その何かの原因は間違いなく目の前のダイアン。
 双剣の色から、剣の特性だと考えたサージャスは、
「兵仗」
 と、口にする。

「そうだ。邪神の部位のどっかを封じてた代物らしい」
「やっかいな感じだね」
「だろ。名を狂乱の乙女ゲルっていうらしい。効果は受けて感じてくれ」
「そんな事はしない」
 願望破壊の乙女ラーズグリーズを手にしている。ならば無効化すればいい。
 サージャスは、次の攻撃を穂先で切り崩せばいいと考える。それだけで、ダイアンの兵仗はただの剣に変わる。
 巨大な相手ならともかく、同等のサイズなら、一度触れさせればそれで解決する。
 
 戒律の乙女ヘルフィヨトルがそうだったからと、サージャスは自信を持って穂先を双剣へと向ける。同サイズの兵仗となれば、圧倒的に願望破壊の乙女ラーズグリーズが有利である。

「そうか、槍に触れさせたら駄目なんだな」
「そうだよ」
「そうだよって……。勇者だからって、くそ真面目に答えるなよ。手の内ばらすとかダメダメだぜ」
「問題ない!」
「だって、貴男じゃボクには勝てないから。ってか! なめんなよお嬢ちゃん」
 氷塊錐フリーズダガーを連続で唱え、氷の短刀と共に、ダイアンが接近。
 それらを、蜂群スターダストによって迎撃しながら、サージャスも接近する。
 穂先を双剣の兵仗である狂乱の乙女ゲルへと向けながら。

「なるほど、穂先限定か。柄はセーフってとこか」

「いい洞察力」

「だから、言うなよ」
 穂先が届く前に、双剣を二度振り、ダイアンは間合いを開く。
 接近を好まないのか? ではなぜに迫ったのか? サージャスの頭内は疑問符に支配されつつも、間合いを詰めようと、自らは前に進む。

「!?」
 またも違和感に襲われる。
 頭を強く振られたような、脳が強くゆらされる感覚。先ほど以上に大きな衝撃を受け、眼界がふらつく。

「お嬢ちゃんは洞察力が俺より劣るかな~」
 小馬鹿にしている語気なのは理解できているようだが、その声も耳朶に届く時は不快な音にしか聞こえておらず、またも吐き気に襲われた。

「ほら、続きいくぞ。頑張れよ。あんたのパーティーは頑張ってたぜ。次はこの狂乱の乙女ゲルで殺そうと思うけどな。あんたがこれじゃあ、あの三人は他愛ないかもな」

「ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁあ」
 嘲笑に対して、チャクラを纏い、狂戦士ラーテルを唱えると、赤い光となって、ダイアンへと迫る。
 目で捕捉出来ない移動速度。
 やはり本気になれば、自分など相手にならない動きをすると、上げていた口元を真一文字にし、ダイアンは精神を集中させる。
 
 穂先に触れることなく、自分の剣の効果だけを見舞う。
 それを繰り返す事で、体の内部にダメージを蓄積させる。
 とどめはその後。
 段取りを頭の中で整えつつ、サージャスと対峙。
 火龍を屠るだけの実力を有する男の戦場での集中力は、サージャスの動きに対応できるには十分であった。

「くっ」

「本当に、おっかないね……」
 側面からの穂先による刺突をかろうじて防ぐ。
 氷の壁を展開するも、それを貫通し、自慢の火龍の鱗で作られた鎧にまで穂先が到達。
 カチリとふれる音が、ダイアンから血の気を引かせた。
 払うように狂乱の乙女ゲルにてサージャスに横薙ぎ。
 穂先でそれを受けるというのは難しく、舌打ちを行い、回避を優先する。
 
 しかし、三度みたび襲ってくる体の不調。
 三度目は、今まで以上の衝撃が体内を襲った――――。
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