拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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レコンキスタ

PHASE-51

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「最終手段です」
 発言の語気は重い。
 よほどの案があるのか、それとも危険をはらんでいるのか。語気からはそれが伝わってくる。

「言ってみるがいい」
 と、ラゼンが発言を許せば、やおら椅子より立ち上がり、
「とりあえず、こちらもヘルムみたいに、空に映像を映してもらいたいんですけど」
 言うと、シラクサは二つ返事で許可する。
 再びテントから出て、視界に入るのは、炎竜王や邪神たちが、捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデの攻撃を防ぎ、サージャスがダイアンと激突している光景。


「準備できました」
 王宮お抱えの魔道師がそう言えば、ヘルムの映像の横に、新たに現出する空間魔法。
 映し出されるのはピート。

「なんか恥ずかしいな」
 戦場に映し出される自分の姿を目にして、声が上擦る。

「なにをするかは分からんが、やってみよ」
 発するラゼンに深く頭を下げると、
 伝播ピジョンを利用した空間魔法に向かって、
『え~と……。ピ、ピートマック・ウィザースプーンと申します』
 ド緊張の声。
 対して、隣に映るヘルムが鼻で笑っていた。
 ヘルムの反応に苛立ちを覚えたのか、映像越しに一度睨みを入れ、
『ラゴットの方々は直ちに戦闘を中止し、武装解除してください』
 整った声にて言えば、剣戟の音が一瞬やみ、森閑が訪れた。
 だが、森閑はすぐにピートに対する暴言に変わる。
 ふざけるな! 逆だろう! 馬鹿か小僧。などなど、様々な罵詈雑言が放たれた。
 
 優勢であるのに武装解除を口にする。
 ラゴットからしたら挑発でしかない。到底、受け入れることの出来ないものだった。
 だがピートは、
『今一度いいます。武装解除はしなくてもいいので、この戦場から立ち去ってください』
 もちろん返ってくるのは先ほどと同様。
 背後でも、いったい何がしたいんだ? という声がピートの耳朶に届く。

「大丈夫なの?」
 心配そうにロールが問えば、
「大丈夫じゃないことが今から起きます」
 意味深な言い方であった。
 
 大きく深呼吸を行うと、
『これより僕は、地獄の門を開こうと思います。なので、戦いをここでやめてください』
 馬鹿馬鹿しい。ブラフだと、最早、ピートの言葉に耳を貸すことはせず、武器を振るだけである。
 やおら目を閉じるピートの表情は渋面である。
 小刻みに首を縦に振って考え込む。躊躇しているようだが、程なくして目を見開き、王宮魔道師に対して、
「ヴィン海域へ――――つないでください」
 そう発した。
 
 この発言を耳にしたピートの傍らにいる者達は、ゴクリと生唾を飲む。
 未だかつて、ここにいる者たちの中に、彼の地に滞在した者はいない。
 ピートだけが、彼の地の状況を知っている。
 故に、【地獄の門を開く】という発言内容が、重くのしかかってくる。
 門が開かれればどうなるのか? 強い不安を覚える。

「大丈夫なの?」

「さっきも言いましたよ。ロールさん。大丈夫じゃないです」
 ピートとしては、ヴィン海域の者たちとは、これ以上関わり合いを持ちたくないと思っているし、戦力として組み込めば、大惨事になるとも考えていた。
 しかし、この状況を打破する為にも、ここは地続きの異世界人たちの力を借りなければならないと、事ここに至り、決断をした。

「英断か愚かな判断かは――――、神のみぞ知る。です」

「妾は分からんぞ?」

「…………」
 元戦女神のツッコミに半眼で応対。

「お願いします」
 と、ヴィン海域へとつないでもらう――――。



『ヒャッハァァァァァァァァァア!!!!』
 つながって真っ先に聞こえてきたのは、それはそれは、とても狂気に染まった、楽しげな笑い声だった……。
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