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レコンキスタ
PHASE-51
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「最終手段です」
発言の語気は重い。
よほどの案があるのか、それとも危険をはらんでいるのか。語気からはそれが伝わってくる。
「言ってみるがいい」
と、ラゼンが発言を許せば、やおら椅子より立ち上がり、
「とりあえず、こちらもヘルムみたいに、空に映像を映してもらいたいんですけど」
言うと、シラクサは二つ返事で許可する。
再びテントから出て、視界に入るのは、炎竜王や邪神たちが、捷利嚮導の乙女の攻撃を防ぎ、サージャスがダイアンと激突している光景。
「準備できました」
王宮お抱えの魔道師がそう言えば、ヘルムの映像の横に、新たに現出する空間魔法。
映し出されるのはピート。
「なんか恥ずかしいな」
戦場に映し出される自分の姿を目にして、声が上擦る。
「なにをするかは分からんが、やってみよ」
発するラゼンに深く頭を下げると、
伝播を利用した空間魔法に向かって、
『え~と……。ピ、ピートマック・ウィザースプーンと申します』
ド緊張の声。
対して、隣に映るヘルムが鼻で笑っていた。
ヘルムの反応に苛立ちを覚えたのか、映像越しに一度睨みを入れ、
『ラゴットの方々は直ちに戦闘を中止し、武装解除してください』
整った声にて言えば、剣戟の音が一瞬やみ、森閑が訪れた。
だが、森閑はすぐにピートに対する暴言に変わる。
ふざけるな! 逆だろう! 馬鹿か小僧。などなど、様々な罵詈雑言が放たれた。
優勢であるのに武装解除を口にする。
ラゴットからしたら挑発でしかない。到底、受け入れることの出来ないものだった。
だがピートは、
『今一度いいます。武装解除はしなくてもいいので、この戦場から立ち去ってください』
もちろん返ってくるのは先ほどと同様。
背後でも、いったい何がしたいんだ? という声がピートの耳朶に届く。
「大丈夫なの?」
心配そうにロールが問えば、
「大丈夫じゃないことが今から起きます」
意味深な言い方であった。
大きく深呼吸を行うと、
『これより僕は、地獄の門を開こうと思います。なので、戦いをここでやめてください』
馬鹿馬鹿しい。ブラフだと、最早、ピートの言葉に耳を貸すことはせず、武器を振るだけである。
やおら目を閉じるピートの表情は渋面である。
小刻みに首を縦に振って考え込む。躊躇しているようだが、程なくして目を見開き、王宮魔道師に対して、
「ヴィン海域へ――――つないでください」
そう発した。
この発言を耳にしたピートの傍らにいる者達は、ゴクリと生唾を飲む。
未だかつて、ここにいる者たちの中に、彼の地に滞在した者はいない。
ピートだけが、彼の地の状況を知っている。
故に、【地獄の門を開く】という発言内容が、重くのしかかってくる。
門が開かれればどうなるのか? 強い不安を覚える。
「大丈夫なの?」
「さっきも言いましたよ。ロールさん。大丈夫じゃないです」
ピートとしては、ヴィン海域の者たちとは、これ以上関わり合いを持ちたくないと思っているし、戦力として組み込めば、大惨事になるとも考えていた。
しかし、この状況を打破する為にも、ここは地続きの異世界人たちの力を借りなければならないと、事ここに至り、決断をした。
「英断か愚かな判断かは――――、神のみぞ知る。です」
「妾は分からんぞ?」
「…………」
元戦女神のツッコミに半眼で応対。
「お願いします」
と、ヴィン海域へとつないでもらう――――。
『ヒャッハァァァァァァァァァア!!!!』
つながって真っ先に聞こえてきたのは、それはそれは、とても狂気に染まった、楽しげな笑い声だった……。
発言の語気は重い。
よほどの案があるのか、それとも危険をはらんでいるのか。語気からはそれが伝わってくる。
「言ってみるがいい」
と、ラゼンが発言を許せば、やおら椅子より立ち上がり、
「とりあえず、こちらもヘルムみたいに、空に映像を映してもらいたいんですけど」
言うと、シラクサは二つ返事で許可する。
再びテントから出て、視界に入るのは、炎竜王や邪神たちが、捷利嚮導の乙女の攻撃を防ぎ、サージャスがダイアンと激突している光景。
「準備できました」
王宮お抱えの魔道師がそう言えば、ヘルムの映像の横に、新たに現出する空間魔法。
映し出されるのはピート。
「なんか恥ずかしいな」
戦場に映し出される自分の姿を目にして、声が上擦る。
「なにをするかは分からんが、やってみよ」
発するラゼンに深く頭を下げると、
伝播を利用した空間魔法に向かって、
『え~と……。ピ、ピートマック・ウィザースプーンと申します』
ド緊張の声。
対して、隣に映るヘルムが鼻で笑っていた。
ヘルムの反応に苛立ちを覚えたのか、映像越しに一度睨みを入れ、
『ラゴットの方々は直ちに戦闘を中止し、武装解除してください』
整った声にて言えば、剣戟の音が一瞬やみ、森閑が訪れた。
だが、森閑はすぐにピートに対する暴言に変わる。
ふざけるな! 逆だろう! 馬鹿か小僧。などなど、様々な罵詈雑言が放たれた。
優勢であるのに武装解除を口にする。
ラゴットからしたら挑発でしかない。到底、受け入れることの出来ないものだった。
だがピートは、
『今一度いいます。武装解除はしなくてもいいので、この戦場から立ち去ってください』
もちろん返ってくるのは先ほどと同様。
背後でも、いったい何がしたいんだ? という声がピートの耳朶に届く。
「大丈夫なの?」
心配そうにロールが問えば、
「大丈夫じゃないことが今から起きます」
意味深な言い方であった。
大きく深呼吸を行うと、
『これより僕は、地獄の門を開こうと思います。なので、戦いをここでやめてください』
馬鹿馬鹿しい。ブラフだと、最早、ピートの言葉に耳を貸すことはせず、武器を振るだけである。
やおら目を閉じるピートの表情は渋面である。
小刻みに首を縦に振って考え込む。躊躇しているようだが、程なくして目を見開き、王宮魔道師に対して、
「ヴィン海域へ――――つないでください」
そう発した。
この発言を耳にしたピートの傍らにいる者達は、ゴクリと生唾を飲む。
未だかつて、ここにいる者たちの中に、彼の地に滞在した者はいない。
ピートだけが、彼の地の状況を知っている。
故に、【地獄の門を開く】という発言内容が、重くのしかかってくる。
門が開かれればどうなるのか? 強い不安を覚える。
「大丈夫なの?」
「さっきも言いましたよ。ロールさん。大丈夫じゃないです」
ピートとしては、ヴィン海域の者たちとは、これ以上関わり合いを持ちたくないと思っているし、戦力として組み込めば、大惨事になるとも考えていた。
しかし、この状況を打破する為にも、ここは地続きの異世界人たちの力を借りなければならないと、事ここに至り、決断をした。
「英断か愚かな判断かは――――、神のみぞ知る。です」
「妾は分からんぞ?」
「…………」
元戦女神のツッコミに半眼で応対。
「お願いします」
と、ヴィン海域へとつないでもらう――――。
『ヒャッハァァァァァァァァァア!!!!』
つながって真っ先に聞こえてきたのは、それはそれは、とても狂気に染まった、楽しげな笑い声だった……。
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