拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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レコンキスタ

PHASE-64

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「――――ふぅぅぅぅぅぅ」
 長い呼気を行い、手で隠していた顔を公にさらす。
 ゲイアードのように艶のある美しい白髪に、琥珀色の瞳。
 頬が些かこけているのは、無理をし続けているからか。

「無茶をする」

「平気なんだね」

「平気とは言えないな……」
 爆発が終息すれば、ゲイアードが膝をついていた。
 先ほどまでと違い、スーツの各所はやぶれ、眼鏡にヒビが入る。

「その程度で済んでるんだから、平気でしょ」
 大した兄だと、感心する弟。

「これだけ魔力を使用している中で、深淵爆裂ダークフレアを使用出来るなんて」
 リューディアの驚き。

「触れれば、対象が絶命するまで黒い炎で包み、爆発が続く、局地型最強の大魔法。ここでも詠唱破棄スペルキャンセル。素晴らしいのに、使い手の心が歪んでいるからな」
 自身とリューディアの結界魔法で、迫る死に何とか耐え抜き、弟の魔力量につくづく驚かされる。
 実力があるが故に、弟の歩んだ道が残念でならなかった。
 ヒビの入った眼鏡をスーツの内ポケットにしまい、哀れみの視線をヘイターに向けた。

「そんな目で見るな。劣勢のくせに見下すなよ!」
 自分が常に有利な位置にいないと納得がいかないヘイターの咆哮。
 自分と違い、様々なものを持っている兄が許せない。
 自分より劣るのに、自分より多くのものを持っている事が許せない。

「行けぇぇぇぇぇ」
 発狂したかのような甲高い声で、父母を操り、ゲイアードを狙う。

「「申し訳ありません」」
 ゲイアードとリューディアが声を揃えて、迫る亡者となった父母に阿吽の呼吸で魔法を放てば、
「ありがとう……ノイエ」
 と、父親が口にし、母親と共に、笑みを見せつつ霧散していく。

「ルネアをお願い」
 消え行く前に母が願えば、頭を深く下げてゲイアードが応える。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁあああ゛」
 父母を奪われて怒り心頭のヘイター。
 白髪を強く掻きむしれば、指には抜け落ちた毛が絡みつき、爪の間には血が入り込んでいる。
 怒りから来る、自傷行為にも似た行動。

「許せない! 僕から両親を奪うなんて!」
「お前も以前の私と同じ思いをいま追体験しているんだ」
「そんな経験は自分だけにしといてよ。弟にまで経験させるなんて!」
「我が儘な子供だな」
「うる……さい」
 弱々しい返しになる。呼吸が大いに乱れるヘイター。

 ――。

「うん?」
 周囲の亡者の動きが鈍くなった事にマルケルが気付く。
 部下の騎士団も気付いたようで、容易く斬り伏せていき、マルケルはゲイアードの傍らに赴く。

「なるほど、弟殿はいよいよ限界のようだな」

「ええ」
 立っているのもやっとのヘイター。
 なのにここまで動けるのは、自分に対しての敵対心からかと、ゲイアードは見つめる。

『もういい。さがれ』
 ヘルムからの指示。
 だが、ヘイターは下がろうとしない。ヘルムの言には従順であったはずなのに、ここでは首を横に振った。

「ここで兄さんを倒さないといけないんだ。倒す。倒して僕が最高だと立証する」

「ルネア……」
 ここまで自分を大きな存在として、しかも歪んで見てしまい、誤った道を歩んできた弟に戦慄を覚えると、やおら瞳を閉じ、深く呼吸を行う。

「止める。ここで命をとる」
 強く見開き、弟に視線を向けての発言。

「ノイエ!」

「ここで情に流されれば、以前と同様になる。逃がせば多くの犠牲者がまた生まれる」
 制止を求めるリューディア。
 ゲイアード自身も、心の底では命を奪う事に躊躇があったのかもしれない。それを振り払うために、弟の命を奪うという決心を口にして、躊躇をかなぐり捨てようとしているようであった。

「一気に決める」
 決意の発言。

「うん……」
 反論できないと、リューディアの返事は暗い。

「リューディア女史。躊躇があるなら、我々が代わろう」
 と、マルケル。
 対してリューディアは、頭を下げた後に首を左右に振る。

「私が支えます。私にしか出来ないと思います」
 長い付き合いであるゲイアードの事は一番理解している。
 彼をここで支えられるのは自分だけと自負すれば、マルケルは大きく頷き、左手を横へと出せば、騎士団と共に後退し、成り行きを見守る。
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