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レコンキスタ
PHASE-70
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「本当に早いな!」
接近を許したくないと、どの方向から来るのか、長年の戦場経験に頼ろうと、死角である眼帯を付けた右側に絞り、そちらからの進行に警戒すれば、
「はあ!」
左耳が気迫ある声を捉えた。
「ああ、そうかい!」
死角を狙ってこないのかと、踵を返して左側から迫る穂先に、氷の盾を作りだして対処する。
「仕損じた」
「それだけ声を出せばな。やるなら声を出さないこった」
呆れ口調で返すと、継いで、
「なんで右から来ない。普通、俺と戦うとなると右だろ」
「まあ、そうなんだろうけど、何というか――――、嫌だから」
勇者としての矜持が許さなかったようである。
「お宅、アルコンのおっさんに何となく似てる。馬鹿みたいに真っ正面なところがな」
「馬鹿とは失礼な!」
「褒めてんだよ――――っと!」
渾身の力で狂乱の乙女を振れば、フィンっと音が出る。
ここで初めて音が発生した。
発生と同時に、ダイアン自身が展開していた氷の壁が粉々に砕ける。
先ほどまでと同様に、音の間合いから離れた位置にサージャスは移動するが、
「!?」
襲われる半規管への衝撃。
「さっきまでとは違うぜ」
「なるほど……。音が聞こえるという事は、それだけ範囲も広がってるわけか……」
首肯が返ってくる。
「この狂乱の乙女を使い慣れるようになれば、一振りで眼前の標的を音の衝撃だけで倒したり破壊できたりするらしい。まあ、俺はこれを渡されて日が浅いから、嫌がらせ程度の力しか発揮出来ないけどな」
「十分だよ。半規管を揺らされれば、集中が途切れる」
赤いチャクラを纏っていても、音の攻撃には対応できないようで、大きく嘆息を漏らす事で、難儀している事を表現する。
「本来の力を出し切れなくても、使い手で強力な物になる」
「ありがたいお言葉だよ。勇者様」
サージャスの逃げ場を無くすように、砕けた氷塊が再び氷の女性像や、障害物となって包囲してくる。
無駄とばかりに破壊するが、無駄とダイアンが返す。
砕けてもすぐに元に戻るダイアンの氷結魔法。
「フサルクの下位って感じだね」
「下位ってのは失礼だな」
「攻略法はフサルクよりは簡単だから」
巨大な炎の柱で氷結女王を閉じ込めれば、砕くのではなく、蒸発させればいいと容易く解決する。
「これだから魔法を使われると面倒なんだよ」
などと言いながらも、サージャスへの攻撃の手は緩めない。
総力戦とばかりに魔力を惜しみなく使用し、周囲を包囲すれば、一方向より堂々とサージャスへと接近戦を仕掛ける。
願望破壊の乙女の効果が脅威であっても、その範囲外からの攻撃なら有利である。と、考えながらも、用心するように自身の周囲に氷の壁を展開しつつ、サージャスへと進んで行く。
「火龍の鎧が泣きそうなくらいの氷の使用だね」
「炎熱系は得意じゃねえ。それに鎧で泣くのは、借り物にバッテンマーク付けちまった勇者様だろ」
「う……」
確かにその通りと、返す言葉がなく詰まるサージャス。
こんな状況でも、鎧の損傷を気にするところが生真面目だとダイアンが笑む。
しかし、戦いは別。狂乱の乙女を振り上げ、後は振るだけの姿勢。
――――動作を目にすると、今度はサージャスの口角が上がる。
「なんだ? さっきまで難儀してたのに余裕か!」
「余裕だよ!」
返せば、特大の火球を放ち、氷を蒸発させれば、それに守られていたダイアンも丸ごと炎に呑み込まれる。
接近を許したくないと、どの方向から来るのか、長年の戦場経験に頼ろうと、死角である眼帯を付けた右側に絞り、そちらからの進行に警戒すれば、
「はあ!」
左耳が気迫ある声を捉えた。
「ああ、そうかい!」
死角を狙ってこないのかと、踵を返して左側から迫る穂先に、氷の盾を作りだして対処する。
「仕損じた」
「それだけ声を出せばな。やるなら声を出さないこった」
呆れ口調で返すと、継いで、
「なんで右から来ない。普通、俺と戦うとなると右だろ」
「まあ、そうなんだろうけど、何というか――――、嫌だから」
勇者としての矜持が許さなかったようである。
「お宅、アルコンのおっさんに何となく似てる。馬鹿みたいに真っ正面なところがな」
「馬鹿とは失礼な!」
「褒めてんだよ――――っと!」
渾身の力で狂乱の乙女を振れば、フィンっと音が出る。
ここで初めて音が発生した。
発生と同時に、ダイアン自身が展開していた氷の壁が粉々に砕ける。
先ほどまでと同様に、音の間合いから離れた位置にサージャスは移動するが、
「!?」
襲われる半規管への衝撃。
「さっきまでとは違うぜ」
「なるほど……。音が聞こえるという事は、それだけ範囲も広がってるわけか……」
首肯が返ってくる。
「この狂乱の乙女を使い慣れるようになれば、一振りで眼前の標的を音の衝撃だけで倒したり破壊できたりするらしい。まあ、俺はこれを渡されて日が浅いから、嫌がらせ程度の力しか発揮出来ないけどな」
「十分だよ。半規管を揺らされれば、集中が途切れる」
赤いチャクラを纏っていても、音の攻撃には対応できないようで、大きく嘆息を漏らす事で、難儀している事を表現する。
「本来の力を出し切れなくても、使い手で強力な物になる」
「ありがたいお言葉だよ。勇者様」
サージャスの逃げ場を無くすように、砕けた氷塊が再び氷の女性像や、障害物となって包囲してくる。
無駄とばかりに破壊するが、無駄とダイアンが返す。
砕けてもすぐに元に戻るダイアンの氷結魔法。
「フサルクの下位って感じだね」
「下位ってのは失礼だな」
「攻略法はフサルクよりは簡単だから」
巨大な炎の柱で氷結女王を閉じ込めれば、砕くのではなく、蒸発させればいいと容易く解決する。
「これだから魔法を使われると面倒なんだよ」
などと言いながらも、サージャスへの攻撃の手は緩めない。
総力戦とばかりに魔力を惜しみなく使用し、周囲を包囲すれば、一方向より堂々とサージャスへと接近戦を仕掛ける。
願望破壊の乙女の効果が脅威であっても、その範囲外からの攻撃なら有利である。と、考えながらも、用心するように自身の周囲に氷の壁を展開しつつ、サージャスへと進んで行く。
「火龍の鎧が泣きそうなくらいの氷の使用だね」
「炎熱系は得意じゃねえ。それに鎧で泣くのは、借り物にバッテンマーク付けちまった勇者様だろ」
「う……」
確かにその通りと、返す言葉がなく詰まるサージャス。
こんな状況でも、鎧の損傷を気にするところが生真面目だとダイアンが笑む。
しかし、戦いは別。狂乱の乙女を振り上げ、後は振るだけの姿勢。
――――動作を目にすると、今度はサージャスの口角が上がる。
「なんだ? さっきまで難儀してたのに余裕か!」
「余裕だよ!」
返せば、特大の火球を放ち、氷を蒸発させれば、それに守られていたダイアンも丸ごと炎に呑み込まれる。
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