拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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レコンキスタ

PHASE-73

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「よう」
 見上げれば、見覚えのある顔。
 サージャスの現パーティーメンバーであるドレークであった。

「今更こんなところでコソコソと何してんだ?」

「たしかに、小者が出て来る場ではない」

「気付きなよ。場違いって事にさ!」
 ドレーク。ムツ。ザイオンの三人に囲まれ、見下ろされながら、逃げ場のないグリーは冷や汗を流す。

「へへ……」
 作り笑いをする事しか出来ない情けない男の姿がそこにはあった。

「にやついてんじゃねえ!」
 空間から引っこ抜けば、ドレークは力のままに地面へと叩き付ける。

「げぺ」
 アホなうめき声を出せば、叩き付けられた体はバウンドし、ムツが鞘より刀を抜けば、峰部分で胴を叩き付ける。
 普段の美しい斬撃などではなく、力任せの、怒りの籠もったフルスイングであった。

「ぼふぉ」
 再度アホなうめき声と共に、くの字の姿勢で吹き飛ばされれば、
「このクズめ! サージャスの苦労をしれ!!」
 上方からグリーの後頭部に向かって、無慈悲なザイオンの踏みつけ。

「きゅん!?」
 三度みたびアホなうめき声をしたところで、グリーはダウン。
 気絶している姿勢は、お手本として完璧といってもいいくらいの前屈で、白目となり、髪の毛は大いに乱れて意識を失う。

「よっしゃ! この姿勢のまま簀巻きにしようぜ」
 楽しげにドレークが言えば、二人は笑みを浮かべて首肯で返し、簀巻きの準備を行う。
 グリーから解放された狂乱の乙女ゲルも回収し、グリーを抱え、魔王の元へと足を進める三人――――。

「ゲルニオ、アルコン。そしてヘイター。立て続けにダイアンまでも……」
 敗北する同志の姿を捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデの中より目にし、自身の主力である面子がいなくなってしまったヘルムは、哀愁を纏わせながら視線を下方に向けた。

「私の最高の同志たちよ。この戦いを勝利して、共に祝おう。必ず救い出してやる」
 独白を続ければ、先ほどから邪魔をする邪神と魔王軍幹部に対し、
『幕も下りそうだ』
 低い声で言いつつ、もっとも邪魔をしてくれた邪神に対して攻撃を行う。
 強烈な巨神の右拳。

「貴様の敗北で下りる幕よ」
 結界で防げば、不敵な笑みで返す邪神。

『あり得ないな! 決定打を持たない者たちが調子に乗るなよ!』
 頭部に肩、腕、腰と、先ほど以上に輝けば、周囲に群がる羽虫を蹴散らすかのように、捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデから光が放たれる。

「まったく、無尽蔵に撃ってくるな!」
 邪神が魔法陣を展開。
 補えないものは魔王幹部が個々の魔法で防ぐ。

『どこまで持つかな』
 間断なく撃ち始めるヘルム。
 今までにない猛攻であった。

「これは、厳しいな……」
「あら、姉さん。この程度で息切れとか」
「病み上がりみたいなものなんだけどな」
「言い訳とか炎竜王らしくないじゃない」
 挑発にも近い妹の言葉だが、その妹も、額に汗を浮かべている。
 現状、決定打はなく、ただ防ぐ為だけに力を使っていく。
 隙を見てフサルクがシズクへと迫れば、
「ふん!」
 不死王の豪腕で胴体から両断される。

「別にいらない」
 冷たく言い放てば、
「そうでしたか!」
 アンデッドの王とは思えない暑苦しさにて返答。
 シズクの後方では、カグラが小さく会釈をガルエロンへと返していた。

「しかし、集約の乙女ゲンドゥル郭大の乙女フリストの存在は脅威ですな」
 会釈を返されたガルエロンがそのまま継ぐ。
 大気中に集まった人々の使用してきた魔力粒子。
 それを集約の乙女ゲンドゥル捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデの原動力とし、尚且つ、魔力粒子の消耗を最小限にする郭大の乙女フリストの存在。
 この戦いに決着がついても、大気中の魔力粒子は尽きる事はないと予測。
 つまるところ捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデがこの戦いで、魔力を枯渇させる事は限りなくゼロ。
 それどころか、ヴィン海域の者たちの参戦で、常に使用し続けていく大魔法により、更なる魔力粒子が発生し、捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデの糧となっていた。
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