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レコンキスタ
PHASE-76
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『流石に邪神の魔法陣みたいにはいかないな』
邪魔な者さえ押さえ込めばと、
『ならば、ここで意趣返しをさせてもらおう』
防ぐ者がいないいま、頭部を輝かせれば、同志たちを凄惨に屠っていった、度し難い存在であるヴィン海域の者たちに向かって再度照準を定める。
だが――――、
『ぬ?』
邪神を叩きつぶした掌が動き出す。
「ぬっぅぅぅぅうぅぅぅ」
隙間から器用に這い出て来たのは邪神。
想像するに、体をくねくねと蛇のように動かしながら、頭だけを合わせた手の間から出してきた。
「おのれ土塊! よくも我にこんな辱めを!」
隙間から頭だけを出しているという、シュールな姿……。
しかも言っている間にも、体からは煙が上がる。
このまま放置していれば、自然と消滅するのでは? と、心配するくらいに……。心配をする者は残念ながら周囲にはいないのだが……。
「早いところ出て戦いなさいよ。神なんでしょ。そのくらい何とかしなさい」
「……」
冷たく言い放つシズクにジト目で返す邪神。
「せい!」
ここで活躍するのがサージャス。
穂先にて強く突けば、小気味のいい音と共に邪神が抜け出る隙間が生まれる。
「よくやったぞ。我の二人目の義妹にして――――」
「あ、結構です。それよりも攻撃を防いでください」
「…………」
発言を断たれれば、にべもなく返される。
腹いせにと、禍々しく輝く捷利嚮導の乙女の頭部に向かって、
「とにかく我だけを見ろ」
と、いう名のただの右ハイキックを見舞う。
大きく捷利嚮導の乙女の頭部が傾き、魔力粒子砲は目標位置よりずれた場所に着弾。
巨大な半球状の爆発が発生すれば、王都の市街地から東城壁の一部が消滅する。
『おのれ!』
体勢を立て直しながら邪神に対して、巨神が右ハイキックを繰り出し、天高く吹き飛ばす。
「はぁ!」
邪神が舞う中、サージャスが隙ありと、邪神が見舞った、とにかく我だけを見ろと同じ箇所に、願望破壊の乙女の穂先を寸分違わず突き刺す。
小気味のいい兵仗同士の音。
そして――――、ようやくここで――――、
ピシリと捷利嚮導の乙女の頭部より音が走った。
『馬鹿な!?』
「この槍を託されて、そこそこ打ち込んではきたけども、ようやく効果を目にする事が出来た!」
巨神の堅牢な装甲にヒビが入る。
どれだけ見舞っても効果が無いと自信も失い欠けていたが、ようやく自身の攻撃が結果を出す事が出来たと、サージャスは笑みをこぼした。
亀裂が入った事は、直ぐさま全体にも知れ渡り、大歓声が生まれる。
逆にラゴットの中で戦いを行う気骨ある者たちは、亀裂が生じた事に、いよいよ敗戦が濃厚という気持ちに支配され始める。
『たかが亀裂の一つで何を慌てることがある。この巨体からしたら、微々以下よ』
強気に発するが、流石に無敵の存在と思い込んでいた捷利嚮導の乙女にダメージが入れば、声は上擦ったものに変わってしまう。
「確かに小さな亀裂だけども、ここにいる皆でその亀裂を広げていけばいい」
『生意気な! その前にその槍をたたき折ってくれる』
幹部と戦闘を行うフサルクの一部がサージャスを狙い始める。
ダイアンとの戦闘よりも更に前に出るという事は、それだけ狙われる確率も高くなる。
一体のフサルクが迫り、手から光の剣を展開し斬りつけてくる。
「――――!? これは……」
現状、赤いチャクラを纏った状態のサージャスだが、その一太刀の重さに驚きを隠せないでいた。
こんなのが二十体以上いて、且つ、倒しても即座に復活する。
「反則もいいところ」
などと思いながらも、周囲の魔王幹部を瞥見すれば、
「――――まだまだ、到達できていない」
と、フサルクを容易く倒す幹部たちとの開きすぎた実力差を痛感させられる。
よくもまあ、違反金返済のためとはいえ、古都に潜入し、不死王に戦いを挑んだものだと、我ながら呆れるサージャス。
容易くフサルクを吹き飛ばす姿を目にすれば、如何にあの時、不死王が手加減をしていたかが理解できた。
邪魔な者さえ押さえ込めばと、
『ならば、ここで意趣返しをさせてもらおう』
防ぐ者がいないいま、頭部を輝かせれば、同志たちを凄惨に屠っていった、度し難い存在であるヴィン海域の者たちに向かって再度照準を定める。
だが――――、
『ぬ?』
邪神を叩きつぶした掌が動き出す。
「ぬっぅぅぅぅうぅぅぅ」
隙間から器用に這い出て来たのは邪神。
想像するに、体をくねくねと蛇のように動かしながら、頭だけを合わせた手の間から出してきた。
「おのれ土塊! よくも我にこんな辱めを!」
隙間から頭だけを出しているという、シュールな姿……。
しかも言っている間にも、体からは煙が上がる。
このまま放置していれば、自然と消滅するのでは? と、心配するくらいに……。心配をする者は残念ながら周囲にはいないのだが……。
「早いところ出て戦いなさいよ。神なんでしょ。そのくらい何とかしなさい」
「……」
冷たく言い放つシズクにジト目で返す邪神。
「せい!」
ここで活躍するのがサージャス。
穂先にて強く突けば、小気味のいい音と共に邪神が抜け出る隙間が生まれる。
「よくやったぞ。我の二人目の義妹にして――――」
「あ、結構です。それよりも攻撃を防いでください」
「…………」
発言を断たれれば、にべもなく返される。
腹いせにと、禍々しく輝く捷利嚮導の乙女の頭部に向かって、
「とにかく我だけを見ろ」
と、いう名のただの右ハイキックを見舞う。
大きく捷利嚮導の乙女の頭部が傾き、魔力粒子砲は目標位置よりずれた場所に着弾。
巨大な半球状の爆発が発生すれば、王都の市街地から東城壁の一部が消滅する。
『おのれ!』
体勢を立て直しながら邪神に対して、巨神が右ハイキックを繰り出し、天高く吹き飛ばす。
「はぁ!」
邪神が舞う中、サージャスが隙ありと、邪神が見舞った、とにかく我だけを見ろと同じ箇所に、願望破壊の乙女の穂先を寸分違わず突き刺す。
小気味のいい兵仗同士の音。
そして――――、ようやくここで――――、
ピシリと捷利嚮導の乙女の頭部より音が走った。
『馬鹿な!?』
「この槍を託されて、そこそこ打ち込んではきたけども、ようやく効果を目にする事が出来た!」
巨神の堅牢な装甲にヒビが入る。
どれだけ見舞っても効果が無いと自信も失い欠けていたが、ようやく自身の攻撃が結果を出す事が出来たと、サージャスは笑みをこぼした。
亀裂が入った事は、直ぐさま全体にも知れ渡り、大歓声が生まれる。
逆にラゴットの中で戦いを行う気骨ある者たちは、亀裂が生じた事に、いよいよ敗戦が濃厚という気持ちに支配され始める。
『たかが亀裂の一つで何を慌てることがある。この巨体からしたら、微々以下よ』
強気に発するが、流石に無敵の存在と思い込んでいた捷利嚮導の乙女にダメージが入れば、声は上擦ったものに変わってしまう。
「確かに小さな亀裂だけども、ここにいる皆でその亀裂を広げていけばいい」
『生意気な! その前にその槍をたたき折ってくれる』
幹部と戦闘を行うフサルクの一部がサージャスを狙い始める。
ダイアンとの戦闘よりも更に前に出るという事は、それだけ狙われる確率も高くなる。
一体のフサルクが迫り、手から光の剣を展開し斬りつけてくる。
「――――!? これは……」
現状、赤いチャクラを纏った状態のサージャスだが、その一太刀の重さに驚きを隠せないでいた。
こんなのが二十体以上いて、且つ、倒しても即座に復活する。
「反則もいいところ」
などと思いながらも、周囲の魔王幹部を瞥見すれば、
「――――まだまだ、到達できていない」
と、フサルクを容易く倒す幹部たちとの開きすぎた実力差を痛感させられる。
よくもまあ、違反金返済のためとはいえ、古都に潜入し、不死王に戦いを挑んだものだと、我ながら呆れるサージャス。
容易くフサルクを吹き飛ばす姿を目にすれば、如何にあの時、不死王が手加減をしていたかが理解できた。
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