拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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レコンキスタ

PHASE-81

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「さっさと起きてもらわないと困るとか言っていた割には、状況も伝えないで、私の体をなめるように見るのね~」
 と、指摘を受けてしまう。

「いや~。もの凄い美人だったのでつい」
「褒められるのは悪い気はしないわね」
「ですよね~。ね~ゲイアードさんもそう思いますよね」
「なぜ、そこで私に振る……。ケーシー殿でいいだろうに……」
 背後ではどう答えるのかと、リューディアがコキコキと首から小気味にいい音を鳴らして、圧を背中にかけていた。
 なので、視線下方四十五度凝視にて、ノーコメントに徹するゲイアード。

「僕が急いで欲しいと発言しているのを理解しているという事は、クリスタルの中から聞いてたんですね?」

「まあね」
 説明は省略できると、パルティナは捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデへと目を向ける。

「分かってはいたけど、アレが敵になるのは残念ね……」
 遙か昔に邪神を倒すため、共に戦っていた兵仗が今は脅威となっている。
 彼女にとって見たくなかった現実。
 こういう事が起こるからこそ、生前は率先して戦女神に対し、直ぐさま兵仗の返還を行ったのだが、歪んでしまった者たちは今も昔も変わらないと、寂しげな表情に変わる。

「変わったといえば、まさかの邪神が共に戦ってるなんてね……」
「昔からあんな感じだったんですか?」
「ううん、もっとナルシスト入ってたかな。傲慢でいて粘着質な性格だった。とくに女性には」
「「「「あ~」」」」
 得心がいくと、その場にいた全員がパルティナの発言に首肯する。

「にしても、長く眠っていたから、体を持つと変な感じ。どうやって動かすのかいちいち考えちゃうね」
 ぐっと背伸びや屈伸を行い調子を整えるパルティナ――――。

「さて、ちょっと行ってくるよ」
 整ってきたのか、その場で軽く跳躍を繰り返しながら継いで伝えれば、次にはパルティナは宙へと浮かび、最前線へと赴いた――――。

「――――ん? げぇ!? パルティナ!」

「あら、本当に雰囲気が変わったみたいで」
 突如として現れた邪神を封じた存在の一人に、素っ頓狂な声を出す以前ふうじられた存在。

「久しいな」
「カグラ様もお元気そうで」
「少し、きついがな」
「弱音を吐くとは珍しい。皆さんもご健勝のご様子」
「形式ばった挨拶はいいからさっさと準備しなさい」
 シズクの淡々とした発言。
 
 相変わらずだと、パルティナが笑みを見せれば、
『誰かな? 更にお客が増えたようだが』
「兵仗の力を欲し、力に溺れた存在には名乗らなくてもいいと思うの」
『溺れた? 利用しているだけだよ。私の元で秩序ある世界を創造する為のね』
「ああ、これは倒さないといけない相手だね」
 会話を少し交わしただけで理解するパルティナ。

『それは無駄だよ。で、名は?』
「しつこい男は嫌われるけども、教えてあげるよ。私はパルティナ。パルティナ・ラキパラス。八重歯がチャームポイントな、永遠の十七歳です♪」
『おいおい――――。その名が本当なら、十七歳はいくら何でも――――』
「絶対に倒す!」
 初老の男に小馬鹿にされた声音で発言を受ければ、カチンときたのか食指を向けて、チャームポイントな八重歯を攻撃的に覗かせながらお怒りのご様子。

『ふむん。本人となれば伝説の勇者。警戒は大にせねばならんので、登場早々に悪いが消えてもらう――――。まとめてね』
 頭部からの攻撃と警戒する面々だったが、捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデの所作は、両手を胸部の位置で合掌させる。
 合わせた手の部分より赤黒い光が漏れ始めた。
 合掌が徐々に開いていけば、溢れる光が強まっていき、その光は胸部へと集束する。

「くるぞ!」
 邪神の慌てた声。
 それだけで、今までのものとは違う威力とサージャスは判断。
 現在の邪神は魔法陣を展開しても、打ち消される可能性がある。
 もし、これから放たれる攻撃がこちらに直撃すれば、大きな被害を受けるのは必至。

『こちらとしてもデメリットがあるが、ここで使わねば勝利を得る事は出来ん』
 無敵の存在にヒビを入れられ、更には伝説の勇者も登場。
 ヘルムも焦りを見せる。

「気をつけて。捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデ最強の攻撃よ」
 以前も目にしているパルティナは、邪神と違い冷静に伝える。
 落ち着いてはいるものの、あの時は邪神に向けられた攻撃。それが今回は自分へと向けられるとなると、霊体であれ、背筋に冷たいものが走る。
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