拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです。

PHASE-02

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 ――――身だしなみを整えて、いつものつなぎ姿。

「今日も仕事、頑張ろうぜ」

「邪魔はしないように」

「邪魔はしないよ」
 だからチャームを使ってこないように――――。

「おうおう、ゆっくりとしたご出勤で」
「いやいや普段どおりですよ」
「公務員はいいな」
「いやいや、朝早くから仕事の準備をしてくれる方々がいてくださるから、僕たちも栄養と活力を受けて、仕事がこなせるんですよ」
 なんてケーシーさんに返しながら、お店の椅子に座る。
 本日は確かにゆっくりとしすぎたので、朝食は簡単な物をお願いする。
 こうやって、簡単でもいいから胃袋に入れられる喜びを再び王都で堪能できるのも、皆々様が粉骨砕身してくださったからです。
 
 ――――お! オムレツですか。
 うん……、黒いですね……。
 新商品ですか……?

「なんじゃ、食えないのか?」

「はい」

「即答じゃの。妾の霊験灼然れいげんいやちこな料理を食せんとは!」
 ご立腹な魔王さん。
 一階の大衆食堂で働かなくていいから、カグラさん達と一緒になって仕事をしなさいよ。

「ようやく捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデの残骸をケルプト山まで運び終えましたね」
「残骸とか言うな。また悪用されるわけにもいかんのでな」
「だから処分してくださいよ」
「出来るか! 妾の力でもあるのじゃぞ。早いところ残りの兵仗を体に取り込んで、捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデを最後に体に戻さんとな」
「そして、二度と兵仗なんて作らないでいただきたい」
 きっぱりと言い切れば、チッって舌打ちが返ってきた。

「はよう食え。妾の作った物を他の者はちゃんと口に運ぶというのに――――お前は!」
 それはきっと、魔王さんが美人だから、いいところを見せたいんですよ。
 僕はこう見えても食にはうるさい。
 これはお客に出してはいけないものですよ。

「タダでいいから」

「何を言うか店主よ! 妾の作った物をタダとは」
 タダでも食べたくないです。ハイ……。
 仕方がない……。
 嘆息を一つこぼして、黒いオムレツを口に一つ。
 
 ――……期待どおりの嫌な苦味が口を支配してきやがる…………。

「どうじゃ?」
 なぜに自信ありげに聞いてくるのか?
 これから頑張ろうとする若者のテンションを奪っておいて……。この渋面が全ての答えですよ。

「ぬぬぬ、感想も無いとは生意気な奴じゃ」
「もっと、頑張ってから提供しましょう」
「小憎らしい!」
「いやいや、素直に聞き入れて、精進しないと」
「妾のような完璧な存在が精進とか」
 この料理を味わう限り完璧にはほど遠いよ……。

「じゃあ、食べてください。一口しか食べてないので綺麗ですよ」

「え~」
 なんで嫌がるんだよ! 完全に自分でもまずいって分かってるじゃないか。

「あたしがもらおう」
 ひょっこりと黒髪のおかっぱが現れれば、黒いオムレツを一口。
 
 ――――。

「かぁぁぁぁぁぁぁぁ! まずい! いのふがだいこんらんだ」
 酒飲んだ後のおっさんみたいなリアクションだね。レインちゃん。しかも毒舌だ。胃の腑って、どこで覚えてきたんだろう。

「可愛くないぞ。元宿主よ」

「しょうじんせよ」

「ぬう……」
 おお、元宿主には弱いようだ。
 当の本人は、元宿主の意味を理解してないみたいだけども。
 
 ――――口直しに、ケーシーさんの作ったオムレツをいただいて口内をリセット。
 とろふわで、バターの風味豊かな素晴らしき味。
 カウンターの中では、食べ物を粗末にするなとのレインちゃんのお言葉に従い、魔王さんが責任を持って、暗黒物質オムレツ?をいただいておりました。
 表情からして、お口には全くあわなかったようだ。

「ふう、もっと上達せねば」
 完璧な存在じゃないと、自分で言ってるような発言だよ。
 まあ、向上心がある事は素晴らしいですね。もっとも、もっと程度じゃ足りないですけども。


「にしても……」
 何なんだよアレ……。
 ここずっとそうだけど、気持ち悪いわ。

「目を合わせるな。馬鹿がうつる」
 魔王さんの言や良し。だ。
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