拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

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あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです。

PHASE-03

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 斜向かいの建物の角から、頭だけを出してこちらを窺っているのがいる……。
 その名は邪神。
 太古、戦女神とその力の恩恵を受けた者たちによって封じられた存在。
 完全復活している事から、現時点で、この世界において最も強い存在と言っても過言ではないだろう。
 だが今は、実妹をストーキングしているような立ち位置の、しょっぱい神である。
 ――……あ、目が合ってしまった……。

「愚か者め」
 僕が目を合わせてしまったことに、魔王さんご立腹。
 なぜなら――――、
「出てきた……」
 うへ、本日も目にうるさい真っ赤なスーツだ。
 先の戦いでボロボロになったから新調したんだね。目がチカチカするよ……。

「うむ、ご苦労である」

「別に疲れてませんよ」
 普段ならば男には話しかけることもしないくせに、妹さんとのきっかけを作ろうと、僕に対して話しかけてくる。

「朝から神族が勤労とは、見聞を広げておるのだな。感心である」
 僕に話しかけた後に、自信なさげに魔王さんにも手を挙げつつ語りかける。
 ――……もちろん妹様からの返事は無い。黙々と皿を洗い出す魔王さん。
 挙げた手が彷徨いながら、ゆっくりと邪神の頭へ…………、寂しさを誤魔化すようにポリポリと頭を掻く仕草。

「ここは食事処。汚らしいフケが飛び散るので、頭を掻くのを止めよ! と、注意すべきだぞ。店主よ」
 グサリと邪神の心を抉る発言は流石だ。
 ここまで小綺麗にしているのに、不潔な存在としてあつかわれる。可哀想に……。
 戦いではあれだけ頑張ったのにね。

「お兄さんが頑張った事が第一の功績なんですよ」
 フォローしてあげる。

「お兄さんと言うな!」
 フォローしてあげたのに、怒られた。
 魔王さんが僕に好意があるからなんだろう、お兄さんと言うのを、身内としてのカテゴリーで使用されていると思ってご立腹のようだ。
 僕としては、魔王さんのお兄さんという意味合いだったんだけども。

「あの程度の活躍など誇れん。もっと上手い具合に立ち回れなかったのかの~」
 どうやっても兄に対しては、この様な応対なんだな。
 これを少しは軟化させるべきなんだろうけど、どだい無理な話だ。
 だって、太古からこんな関係性でしょ。今更、直るわけがない。

「しかし、よかったんですか? 秘蔵の乙女レギンレイヴ
 兄妹間のことを他人の僕が考えるのも面倒くさいので、話題を変える。

「ああ、よい。パルティナが持っていれば、今回のような事態が再度訪れても対応できる」
 まあ、そうなんでしょうけど。
 こういう事は、今回かぎりでいいですよ。
 
 願望破壊の乙女ラーズグリーズはサージャスさんから返還。
 魔王さんとしては、当初は両方とも体に戻そうとも考えたそうだけど、もしもの事を考えて、パルティナさんとサージャスさんに兵仗を託そうとした。けど、サージャスさんはそれを頑なに断った。
 まだまだ役不足というのが理由らしい。
 サージャスさん、ナイゼルさん達ヴィン海域のガチ勢の実力を目の当たりにして、未だ精進が足りないと痛感させられたようだ。
 まあ、あの方達と比較してはいけませんけどね。全てにおいてずれてる方々だから。

 サージャスさんには断られたけど、秘蔵の乙女レギンレイヴは前回同様にパルティナさんに託した。

 当の本人は、もう一度、神殿で眠りにつくのかと思ったら、今の時代を楽しみたいとのことで、アレインさんとともに、パルパーナへと帰られた。
 今後は霊体のまま、旅行者の観光案内を行うそうだ。
 当たり前だが、自分が霊体と言うことは伏せるとの事。

 本人が、本人が祭られる――――、祭られていた神殿を観光案内。
 何が起こったかなんてのは当人が一番知っているだろうから、観光客は身になる歴史を聞けるだろう。
 語り部が本人ってのは、贅沢なことだ。
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