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VSゴブリン

そしてやっぱり説教タイム

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   ◇ ◇ ◇

 グリオスが目覚めると、そこはエルジュの背中だった。

 しばらく上下に揺さぶられながらぼんやりとする。
 周りは岩壁だらけ。まだ洞窟を出切ってはいない。しかしゴブリンたちの姿はおろか、気配すらない。

 あのおぞましく淫靡で二度と足を踏み入れたくない場所から離れられたことに、グリオスはホッと息をつく。その吐息を背中で感じて、エルジュが「あっ」と声を上げた。

「目が覚めた? よく寝たねー。今までの中で一番イきまくったんじゃない? 気を失ってから延々と起きないから、ゴブリンたちも心配してたよー」

「……俺はどれだけ寝ていたんだ?」

「よく分からないけれど、丸一日は寝てたかも」

「丸一日、だと……? あの部屋でか?」

「それだとグリオスがいつまでたってもエロいままになっちゃうから、別の部屋で休ませてもらったよ。みんな欲求不満が解消されて、ゴブリンたちがすっごく穏やかになってた。ちゃんと意思疎通できるし、優しいし、ゴブリンって良いヤツら――」

「馬鹿野郎! お前が穴に落ちてたら、永遠にゴブリンに回されて喜んでただろ? こんな洞窟の暗い所で、ただ犯されるだけだなんて……っ」

 エルジュに背負われながらグリオスは声を荒げる。だが体力が回復し切れておらず、次第に声は弱くなってしまう。それでも苛立ちは収まらず、エルジュの服をギュッと掴む。

「いくら強くても無敵じゃないんだ……お前は、ただ強いだけの人間だってことを忘れるな」

「……はい、はい。オレはただのエロいヤツ。いっそゴブリンに犯され続けるだけの人生でも構わないんだけどねー」

「エルジュ……っ」

「でも、それだと一生嘆いて引きずっちゃうんでしょ? グリオスが……だからガマンする。すっごく引き返したくてたまらないけれど」

「引き返すな! お前、本当に俺がいないとヤバいな! 頼むからもっと普通のエロい人間になってくれ。せめて相手は人間で――」

「つまりグリオスにえっちなこと、いっぱいすればいいってことなんでしょ? まったくもう、遠回しにおねだりするなんてまどろっこしい……まあグリオスっぽいけどさ」

「違う……っ! 俺はお前がそんなんだから放っておけなくて――」

「分かった分かった。街に着いたらいっぱい抱いてあげるから。体がキモチよくなりすぎちゃって、何もないともどかしいでしょ? ちゃんと責任持って付き合ってあげるから」

 どれだけ違うとグリオスが言い放っても、エルジュは意に介さず話を魔物が絡まない上での関係に持っていこうとする。

 それに気づいていてもグリオスは全力で否定し続け、宿を取った後の危機をどうにか回避しようと足掻いた。
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