そこにワナがあればハマるのが礼儀でしょ!~ビッチ勇者とガチムチ戦士のエロ冒険譚~

天岸 あおい

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VSインキュバス

※原因に思い至って

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 未だ目を閉じたままのグリオスの声に、エルジュは思わずビクッと肩を跳ねさせ身を強張らす。

 起きた気配はない。明らかな寝言。
 しばらく呆然としてから、ジワジワとエルジュの顔が笑みで緩んでいく。

「え、ウソ……寝てる時に言っちゃうほど、オレのこと好きなの? どうしよ……すごく嬉しいんだけど……っ」

 思わずベッドをぺしぺしと叩いて、次々と湧き上がってしまう興奮を散らす。
 しかし騒がしくしても一向に目を覚まさないグリオスに、エルジュは一瞬で落ち着きを取り戻す。

 改めて顔を近づけ、気を張りながらグリオスの様子を探っていくと、かすかな魔の気配を感じた。

「もしかして、オレがここを離れている間に魔物が来た? 夢に囚われているってことは……夢魔に入られて、グリオスが口説かれてる? オレに操立てようと頑張ってくれてる?」

 やっと無理やり言わせたのではなく、グリオスから自然と零れた愛の言葉を聞けたのに。絶賛寝取られ危機という状況に気づいて、エルジュは頭を抱えた。

「やってくれたな……っ。夢の中じゃあ直接攻撃できない。少しずつ力をグリオスに注いで追い出すしか――はぁぁ……また怒られて気まずくなるの? 勘弁してよ」

 いくら常日頃いつだってグリオスを抱きたいと思っていても、寝ている隙をついて襲う真似はしてこなかった。そうすればグリオスが怒って拒絶した挙句、一緒にいられないと村に帰ってしまうのは目に見えていたから。

 押し倒すのはちゃんと意識がある時か、魔物のせいで抱かれたい体になってしまった時。
 自分なりに引いていた線を越えてしまうのは気が重く、常に我が道を突っ走るエルジュでも罪悪感を覚えてしまう。

 それでも大きく唾を呑み込んでから、エルジュは性急に自分の衣服を脱ぎ捨ててグリオスに被さる。

「ごめんねーグリオス。後でいっぱい怒られてあげるから……許して。ね?」

 無防備なグリオスの唇に口付けながら、休息用の薄着をまくり上げ、手を差し込んで愛撫を始める。

 もぞ、とグリオスが身を捩る。触れる度に筋肉が小さく跳ねて、夢にいながらでも感じている手応えにエルジュの体が滾っていく。

「はぁ……大好き、グリオス。オレも愛してるから、ちゃんと起きて愛し合おうよ……ねぇ……」

 顔の至る所にキスを落としながらエルジュが想いを零せば、グリオスが応えるように「ン……っ」と艶めかしく押し殺した声を零す。

 早く深々と繋がって互いの腰を揺り動かしたい衝動を抑えながら、エルジュはひたすらグリオスの欲情に火を灯すように愛撫を繰り返した――。
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