そこにワナがあればハマるのが礼儀でしょ!~ビッチ勇者とガチムチ戦士のエロ冒険譚~

天岸 あおい

文字の大きさ
29 / 49
VSインキュバス

姿なき快楽

しおりを挟む
   ◇ ◇ ◇

「――ほう。それがお前の答えか」

 思わず言葉にしてしまったグリオスの答えを聞いて、インキュバスが不敵に笑う。

「もっとお前は献身的な人間だと思っていたのだがな。ともに堕ちることを望むのか」

「……望んではいないが、アイツは俺がいなければ独りになる……そうなれば俺よりも早く堕ちて、すべてを壊す。危ういんだ、エルジュは……」

 つっかえながら紡ぐグリオスの言葉に、インキュバスは何度か目を瞬かせる。それから自分の口元に手を置き、小さく唸った。

「フム……確かにあの勇者は危ういな。人の身に有り余る力を持ちながら、人の世界に執着していない。グリオスがいなくなれば、人も魔も要らぬと世界を切り裂くのだろうな――」

 再び露わにした唇を、インキュバスはグリオスに寄せながら告げてくる。

「――やはり、まずは先にお前を堕とそう。そして教えてやろう。男の堕とし方を……今よりももっと勇者を悦ばせ、身も心も色欲で呆けさせて、ともに堕ちればいい。ここは夢の中だ。お前の体は勇者しか知らぬ身のまま……恐れるな。ただ知るだけだ――」

 心は拒んでいるのに自由が利かず、グリオスは蠱惑に満ちた唇を待つことしかできなかった。だが、

「……っ……? な、なんだ? 今、唇に感触が……アッ……」

 突然まだ何も触れ合っていないグリオスの唇に、柔らかな何かが押し当てられる。
 次いで肌が無遠慮に撫で回される感触を覚えてしまい、戸惑いながらも喘いでしまう。

 思わずグリオスが身悶えてその場に崩れ落ちてしまうと、インキュバスから「うう……っ」と苦し気な声が聞こえてきた。

「気づかれたか……勘の良い奴め。グリオスよ、今日は引き下がってやろう。だが、もし考えが変わったならば、いつでも心で俺を呼べ。しっかりと夢で愛でながら教えてやろう」

 絶対に呼んでなるものかと睨みつけようと顔を上げた時には、もうインキュバスの姿はなかった。

 どうやらこの場を凌ぐことができたとグリオスは安堵の息をつく。

 だが今度は誰もいない夢の中で、体か過敏に感じてしまう。
 口を甘く吸いながら体を愛撫される感触。姿がなくとも手つきやキスの仕方で、相手がエルジュだということがすぐ分かった。

「あっ……ぅ、ん……ッ……エル、ジュ……あぁ……っ――」

 体の快楽が濃くなっていく。
 意識が薄れて、体が浮遊して、何もかもがあやふやになっていく。

 そして息苦しさで胸が鈍く痛む感覚が強さを増し、淫らな疼きとともに鮮明になり――。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

宰相閣下の執愛は、平民の俺だけに向いている

飛鷹
BL
旧題:平民のはずの俺が、規格外の獣人に絡め取られて番になるまでの話 アホな貴族の両親から生まれた『俺』。色々あって、俺の身分は平民だけど、まぁそんな人生も悪くない。 無事に成長して、仕事に就くこともできたのに。 ここ最近、夢に魘されている。もう一ヶ月もの間、毎晩毎晩………。 朝起きたときには忘れてしまっている夢に疲弊している平民『レイ』と、彼を手に入れたくてウズウズしている獣人のお話。 連載の形にしていますが、攻め視点もUPするためなので、多分全2〜3話で完結予定です。 ※6/20追記。 少しレイの過去と気持ちを追加したくて、『連載中』に戻しました。 今迄のお話で完結はしています。なので以降はレイの心情深堀の形となりますので、章を分けて表示します。 1話目はちょっと暗めですが………。 宜しかったらお付き合い下さいませ。 多分、10話前後で終わる予定。軽く読めるように、私としては1話ずつを短めにしております。 ストックが切れるまで、毎日更新予定です。

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

神官、触手育成の神託を受ける

彩月野生
BL
神官ルネリクスはある時、神託を受け、密かに触手と交わり快楽を貪るようになるが、傭兵上がりの屈強な将軍アロルフに見つかり、弱味を握られてしまい、彼と肉体関係を持つようになり、苦悩と悦楽の日々を過ごすようになる。 (誤字脱字報告不要)

悪役神官の俺が騎士団長に囚われるまで

二三@冷酷公爵発売中
BL
国教会の主教であるイヴォンは、ここが前世のBLゲームの世界だと気づいた。ゲームの内容は、浄化の力を持つ主人公が騎士団と共に国を旅し、魔物討伐をしながら攻略対象者と愛を深めていくというもの。自分は悪役神官であり、主人公が誰とも結ばれないノーマルルートを辿る場合に限り、破滅の道を逃れられる。そのためイヴォンは旅に同行し、主人公の恋路の邪魔を画策をする。以前からイヴォンを嫌っている団長も攻略対象者であり、気が進まないものの団長とも関わっていくうちに…。

巣ごもりオメガは後宮にひそむ【続編完結】

晦リリ@9/10『死に戻りの神子~』発売
BL
後宮で幼馴染でもあるラナ姫の護衛をしているミシュアルは、つがいがいないのに、すでに契約がすんでいる体であるという判定を受けたオメガ。 発情期はあるものの、つがいが誰なのか、いつつがいの契約がなされたのかは本人もわからない。 そんななか、気になる匂いの落とし物を後宮で拾うようになる。 第9回BL小説大賞にて奨励賞受賞→書籍化しました。ありがとうございます。

お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!

MEIKO
BL
 本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。  僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!  「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」  知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!  だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?  ※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話

gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、 立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。 タイトルそのままですみません。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

処理中です...