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VSインキュバス
〇快楽の底で目覚めて
しおりを挟む「フフ……おはよう、グリオス。目が覚めて良かったぁ」
――揺さぶられる体に、最奥を抉られて激しく疼く身の内。熱気が漂う中で妖しく微笑みながら見下ろすエルジュ。
意識が朦朧となり、グリオスはすぐにここが現実だと理解できなかった。
「……えっ……ぁ……っ、は、ぁ……あっ、ぁぁ……ッ……」
「あれ? まだ半分寝てる? ほら起きて。そうしないと今日も抱き潰しちゃうよー」
大きく腰を引いたかと思えば、エルジュが肉壁の押し上げながら奥へ滑り込んでいく。
ずりゅっ。甘い痺れが走り抜け、最奥を突いた瞬間にグリオスの視界が白く弾けた。
「あぁぁッッ……ン……っ……ぁぁ、エルジュぅ……ぁ……」
大きく達してもエルジュは動きを止めようとはしない。
いつもならやめてくれと訴えてしまうのに、今は達しながらでも自ら腰を揺らし、グリオスは貪欲に快感を求めてしまう。
つい今しがたまで夢を見ていた気がする。内容は覚えていない。
ただ、人が寝ている最中に濃密な快楽の底へエルジュが引きずり込んでいる現実が、やけに嬉しくてたまらなかった。
グリオスは力が入らない腕をエルジュの背に回し、温もりに感じ入る。
胸から込み上げてくるのは甘くくすぐったいものばかりで、喘ぎ声に混じって熱い息を何度もついてしまう。
決してエルジュは激しく動いていないのに、緩やかにグリオスの奥を穿ち続けて快感を幾重にも積み重ねていく。その上、
「グリオスってば、オレの咥え込んでから、ずーっとイきっぱなし……かわいい……オレに抱かれて、めちゃくちゃ悦んでる……大好き……」
「……ッッ! ぁ……ん、ぐ……ぁぁ……ッ……は、ぁ……」
「ハハ、好きって言ったらすっごく中締まるねー。オレのこと、グリオスの体は好きなんだよね……っ……愛されてるの、ちゃんと分かってるから……好き、愛してる……」
いつになくエルジュの声が、言葉が、甘くてたまらない。
ただの睦言。この行為自体が好きなのであって、深い恋情がある訳ではない。自分のことを本気で想っているのではない――そう思っているのに、愛し尽くされている気がしてしまう。
眠りの世界から無防備なまま目覚め、快楽にすべて囚われてしまった今。グリオスは自分を偽ることができなくなっていた。
脚をエルジュの腰に巻き付け、深く抱きかかえ、さらにエルジュを全身で感じる。
そして言葉でも想いを返したくて、グリオスは唇を動かす。
――声は出せなかった。
なぜか知られてはいけない気がして、エルジュが見ていない間に無音で想いを吐き出した。
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