そこにワナがあればハマるのが礼儀でしょ!~ビッチ勇者とガチムチ戦士のエロ冒険譚~

天岸 あおい

文字の大きさ
37 / 49
VS魔王

▼見せつけられて

しおりを挟む
   ◇ ◇ ◇

 甘い匂いがグリオスの意識を揺り起こす。

「ん……ここは……」

 うつ伏せで倒れたままグリオスは呟く。
 頭がひどくぼんやりとして、まだ眠りを欲している。体を起こす気に慣れなくて、そのまま眠りに戻ろうとしたが、

「――ぁ……ソコ、もっと……ッ……あぁぁ……っ……」

 淫らに堕ちた声が耳に入り、思わずグリオスは目を見開き、顔だけ上げて前を見る。

 それはあまりに不思議で淫靡な光景だった。

 延々と広がり、果てが見えないシーツ――寝心地の良い広大なベッドだ。
 他は壁すらなく、夜の闇のようなものが広がっている。

 なのに眼前の有様は鮮明に見えてしまう。
 インキュバスが座りながら背後から魔王の脚を大きく開かせ、抱え上げ、そそり立つ凶悪なものを突き立てる姿。

 繋がり合った所からは白濁の液が零れ、じゅぼじゅぼと淫乱な音が聞こえてくる。
 意識を失う前にやり取りしていた気が強そうな魔王の面影はなく、顔を赤く染めながら快楽に顔を緩め、恥ずかしげもなく喘ぐ。

 あからさまに自分へ見せつけていると分かるが、怒りも不快感もグリオスの中から強くは湧き上がらない。
 むしろ魔王が上下に動かされ、奥を突かれて「ぁンっ」と甘く啼く度にグリオスの中もキュンと疼き、自分もされているような気になってくる。

 目を背けたいのに、魔物の痴態に引き込まれてしまう。

 ふと魔王の肩越しにインキュバスがグリオスへ目を合わせ、妖しい笑みを送ってくる。

 言葉にはしないが『次はお前の番だ』と告げられた気がして、グリオスの鼓動が速くなり、全身が熱くなる。

 どんどん酷くなる体の疼きに腰がもぞもぞと勝手に動いてしまう。わずかに股間へ刺激が伝わり、淡い快感が広がる。だが望むものからはあまりに遠く、もどかしさを覚えてしまう。

 目の前では魔王が悦びのままに喘ぎ、インキュバスに愛でられ続ける。
 もう何度も吐精したのか、魔王の股間では半勃ちしたものが淫らな液を零しながら、左右に揺れている。快楽に、インキュバスという雄に屈服した証だった。

 次第にインキュバスが魔王の奥を小刻みに突き始め、そして根元まで魔王の中へと捻じ込み、激しく貫いた瞬間、

「あぁぁぁァァァ――ッッ! ……はぁ、ぁ……ぁぁ……」

 笑いに顔を歪めながら魔王が大きく達する。
 一瞬全身を強張らせ、大きな快楽に呑まれている最中の魔王を、インキュバスは緩やかに奥を突き続け、より長く絶頂を与えてくる。

 そして魔王の体は弛緩し、ぐったりとうな垂れる。
 誇りも、男としての本能も、インキュバスによって手折られた哀れな姿。

 ――なのに今はそれが無性に羨ましく、グリオスをどこまでも煽った。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

溺愛の加速が尋常じゃない!?~味方作りに全振りしたら兄たちに溺愛されました~

液体猫(299)
BL
毎日AM2時10分投稿 【《血の繋がりは"絶対"ではない。》この言葉を胸に、末っ子クリスは過保護な兄たちに溺愛されながら、大好きな四男と幸せに暮らす】  アルバディア王国の第五皇子クリスが目を覚ましたとき、九年前へと戻っていた。  巻き戻す前の世界とは異なるけれど同じ場所で、クリスは生き残るために知恵を振り絞る。  かわいい末っ子が過剰なまでにかわいがられて溺愛されていく──  やり直しもほどほどに。罪を着せた者への復讐はついで。そんな軽い気持ちで始まった新たな人生はコミカル&シリアス。だけどほのぼのとしたハッピーエンド確定物語。  主人公は後に18歳へと成長します(*・ω・)*_ _)ペコリ ⚠️濡れ場のサブタイトルに*のマークがついてます。冒頭のみ重い展開あり。それ以降はコミカルでほのぼの✌ ⚠️本格的な塗れ場シーンは三章(18歳になって)からとなります。 ⚠️若干の謎解き要素を含んでいますが、オマケ程度です!

世界を救ったあと、勇者は盗賊に逃げられました

芦田オグリ
BL
「ずっと、ずっと好きだった」 魔王討伐の祝宴の夜。 英雄の一人である《盗賊》ヒューは、一人静かに酒を飲んでいた。そこに現れた《勇者》アレックスに秘めた想いを告げられ、抱き締められてしまう。 酔いと熱に流され、彼と一夜を共にしてしまうが、盗賊の自分は勇者に相応しくないと、ヒューはその腕からそっと抜け出し、逃亡を決意した。 その体は魔族の地で浴び続けた《魔瘴》により、静かに蝕まれていた。 一方アレックスは、世界を救った栄誉を捨て、たった一人の大切な人を追い始める。 これは十年の想いを秘めた勇者パーティーの《勇者》と、病を抱えた《盗賊》の、世界を救ったあとの話。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

Sランク冒険者クロードは吸血鬼に愛される

あさざきゆずき
BL
ダンジョンで僕は死にかけていた。傷口から大量に出血していて、もう助かりそうにない。そんなとき、人間とは思えないほど美しくて強い男性が現れた。

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

処理中です...