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VS魔王
切実な声
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――インキュバスから顔を逸らし、グリオスは上を仰ぐ。
耳を澄ませば、遙か遠い所から聞こえてくる声がした。
『グリオス……グリオス、しっかり……オレ以外のヤツなんか、受け入れないで――』
声を詰まらせながら必死に呼びかけてくるエルジュ。
なんてワガママなんだと思いながらも、グリオスの口元が緩んでしまう。
「……放っておけないか。俺がいてやらないと……」
ポツリと呟いた声を聞いて、インキュバスがチッと舌打ちする。
「思った以上に勇者への思慕が育っていたか。まあいい。このまま夢に閉じ込め続ければ、いずれは俺に屈する」
「本当にそれができるのか? 前にエルジュは俺を夢の世界から引き上げてくれた。原因が分かっているのに、何もしない男じゃない」
言いながらグリオスの中に希望が生まれてくる。
夢の中では長くここにいるように感じるが、エルジュの言葉を聞く限り、まだ現実の時間はそう経ってはいない。
だとすれば、粘り続ければ前のようにエルジュが現実に戻してくれる。
――前にも夢にインキュバスが入り込んでしまったことを思い出した今、ここから抜け出せるという希望を胸に耐え切ることができる。
グッと拳を握り、グリオスは何も見えない闇を見つめ続ける。
もうこの体はインキュバスが言ったように、魔へと変わる種が埋め込まれているのだろう。
しかし芽吹くためにはインキュバスの精が必要――つまり、体を許さなければ魔にはならないということ。
ずっと体は淫らなままで、酷い疼きが続いてしまうかもしれない。
それでもエルジュを一人にしなくて済むなら、どれだけでも我慢してみせる。
インキュバスたちの痴態よりも、グリオスの意識は外のエルジュへ完全に向いた。
「何があっても俺だけはお前から離れない。だから取り乱すな。愛している、エルジュ……」
届くはずがないと分かった上でグリオスは告白を呟く。
その直後だった。
「こらぁぁぁっ、オレがいない時に素直にならないでよぉ――っ!」
鮮明な声が真上から降ってきたかと思えば、勢いよく落ちてきたエルジュが腕を広げながらグリオスへ飛び込んでくる。
ドォォンっ。夢なのに衝撃は大きく、受け止めたグリオスは一瞬息が詰まって目を白黒させる。
すぐに視界を取り戻せば、視界一面にグリオスを押し倒して覗き込んでくるエルジュの顔があった。
目を合わせた瞬間、今にも泣きそうに顔を歪ませてエルジュが笑う。
しかしそれは一瞬だけ。今度は目を据わらせながらグリオスの肩を掴み、ガクガクと揺さぶってきた。
耳を澄ませば、遙か遠い所から聞こえてくる声がした。
『グリオス……グリオス、しっかり……オレ以外のヤツなんか、受け入れないで――』
声を詰まらせながら必死に呼びかけてくるエルジュ。
なんてワガママなんだと思いながらも、グリオスの口元が緩んでしまう。
「……放っておけないか。俺がいてやらないと……」
ポツリと呟いた声を聞いて、インキュバスがチッと舌打ちする。
「思った以上に勇者への思慕が育っていたか。まあいい。このまま夢に閉じ込め続ければ、いずれは俺に屈する」
「本当にそれができるのか? 前にエルジュは俺を夢の世界から引き上げてくれた。原因が分かっているのに、何もしない男じゃない」
言いながらグリオスの中に希望が生まれてくる。
夢の中では長くここにいるように感じるが、エルジュの言葉を聞く限り、まだ現実の時間はそう経ってはいない。
だとすれば、粘り続ければ前のようにエルジュが現実に戻してくれる。
――前にも夢にインキュバスが入り込んでしまったことを思い出した今、ここから抜け出せるという希望を胸に耐え切ることができる。
グッと拳を握り、グリオスは何も見えない闇を見つめ続ける。
もうこの体はインキュバスが言ったように、魔へと変わる種が埋め込まれているのだろう。
しかし芽吹くためにはインキュバスの精が必要――つまり、体を許さなければ魔にはならないということ。
ずっと体は淫らなままで、酷い疼きが続いてしまうかもしれない。
それでもエルジュを一人にしなくて済むなら、どれだけでも我慢してみせる。
インキュバスたちの痴態よりも、グリオスの意識は外のエルジュへ完全に向いた。
「何があっても俺だけはお前から離れない。だから取り乱すな。愛している、エルジュ……」
届くはずがないと分かった上でグリオスは告白を呟く。
その直後だった。
「こらぁぁぁっ、オレがいない時に素直にならないでよぉ――っ!」
鮮明な声が真上から降ってきたかと思えば、勢いよく落ちてきたエルジュが腕を広げながらグリオスへ飛び込んでくる。
ドォォンっ。夢なのに衝撃は大きく、受け止めたグリオスは一瞬息が詰まって目を白黒させる。
すぐに視界を取り戻せば、視界一面にグリオスを押し倒して覗き込んでくるエルジュの顔があった。
目を合わせた瞬間、今にも泣きそうに顔を歪ませてエルジュが笑う。
しかしそれは一瞬だけ。今度は目を据わらせながらグリオスの肩を掴み、ガクガクと揺さぶってきた。
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