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二章 ガチムチ占い師のお導き~お前が占い師なのかよっ!~

●貪欲な体

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   ◇ ◇ ◇

 山間の村に着く頃には日が完全に沈む間際だった。

 村に一軒しかない宿屋に駆け込めば、取れた部屋は一つだけで、ベッドは二つ。まあ最近はアグードとオレは一緒に寝ているからいいけど。

 さすがに昼間あれだけクウガに抱かれて気が済んだと思っていたんだが――。

「……げっ」

 宿の共同シャワーで体を洗っていたら、淫紋が光り始めやがった。

 前までは下腹部に小さなハートマーク程度の模様のみ。ライトのように室内を照らす魔光石の下で改めて自分の体を見たら、ハートが大きく育って、骨盤の端にまで模様の曲線を延ばしていた。

 後ろにもオレに潤いを与える淫紋が刻まれてしまったせいで、割れ目にねっとりしたものが垂れ、いつでもヤれる状態になっている。

 シャワーで流してもぬめりは取れないし、指でこすろうものなら、

「ンッ……」

 敏感になった体が呆気なく悦び、早くヤりたくてたまらなくなる。
 正直なところ、シャワーが体に当たる刺激だけでもヤバい。中が小さくイって、抱かれたくてたまらなくなってしまう。

 こんな公共の場でおっぱじめるのはイヤだ。他の利用者に迷惑はかけたくない。

 だからオレは急いで体を拭いて、オレたちの部屋へ急いだ。

 バンッ、とドアを開けて中に入れば、まだ封印して眠らせていないクウガとアグードがそれぞれのベッドに腰かけて向き合っていた。何か話をしていたっぽいが、中断して同時にオレに振り向く。

「ルカ兄?」

「ルカ?」

 二人に名前を呼ばれた瞬間――。

「……ッッ」

 腰の奥が大きく疼いて、思わずオレはその場へ座り込んでしまった。

 ど、どうなってんだ? いくら淫紋のせいでも、名前呼ばれただけで感じるっておかしいだろ。

 淫紋が大きくなったせいなのか? でも、なんか感じ方が違う気が……体の奥底に溜まるような……。

「大丈夫か、ルカ兄!」

「やはり昼間の時に無理していたのか……」

 アグードとクウガが駆け寄り、左右でオレの肩を組んで立たせようとしてくる。

 二人の気配が、息遣いが、オレの体を溶かしにかかる。
 淫紋のせいで脆くなった理性のせいで、自分が何を望んでいるのかが理解できてしまう。

 昨日までのオレなら、意地でもクウガを寝かせてからアグードに身を任せたのに。

 もうクウガを知らなかった時には戻れない。
 だけどアグードに我慢しろとも言いたくない。

 自分の欲情にドン引きしながら、オレは目を潤ませながら二人に切り出す。

「た、たすけて……体が、疼いて……二人とも、欲しい……っ」

 オレの懇願にアグードもクウガも目を見開いた。

 
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