5 / 27
第一章
episode_4 まだ泣くわけにはいかない*
しおりを挟む
テオドールが溢れた蜜を掬い取り、右手をロザリンデの顔の前にかざして見せつけた。二本の指は濡れて、てらてらと光る透明な糸を引いていた。そのままテオドールは濡れた指を口元に持っていって、ゆっくりと舐めた。
「ああ、何という甘い香りだろう、ロザリンデ。君の身体は本当に素晴らしい。これからも私を楽しませておくれ。君と君の大事な姉マティルダの生活と、子爵家の爵位を守るためにね。そのことを忘れないように。返事は?」
「は、い、わか……り……まし、た、おにい、さま……はぁっ、ああっ!」
本当は、こんな卑劣で破廉恥な男に屈服などしたくない。けれど、わたくしとお姉様、そしてムーア子爵家の未来は、このテオドール・ロチルド伯爵という悪魔のような男に握られている。二年あまりの間、夜ごと繰り返される執拗な責めによって、ロザリンデの身体は隅々まで開発しつくされ、義兄と義妹という二人の関係を心の底から嫌悪する理性の嘆きとは裏腹に、触れられるたびに快楽に喘ぐようになっていた。
再び花芽を捉えたテオドールの指の動きが小刻みに早く、激しくなってゆく。それに合わせてロザリンデの息遣いが荒くなり、喘ぎ声が細く切れ切れになった。
「そろそろだな。こんなに膨れ上がって、いやらしい花芽だ。さあ、素直に気を遣りなさい。私に逆らっても無駄だよ。君の身体は私が一番よく知っているのだからね。ほら、ほら」
「あ、あー、あー、ああー……あっ、あああああーーーーーーっ!」
ロザリンデが声を限りに叫ぶのと同時に、背中がぐっと反り、白い太腿が小刻みに痙攣した。頭の中で光が爆ぜ、全身から力が抜けてゆく。思わずテオドールに身体を預けてしまうのもいつものことだ。その後で猛烈な罪悪感と自己嫌悪に陥ることが分かっているのに。
しばらく喘いでいたロザリンデが呼吸を整えてのろのろと身を起こすと、待っていたかのようにテオドールが寝椅子から降りてロザリンデの前に立った。ああ、やっぱりまだ終わらないのね……と更なる絶望に打ちひしがれたロザリンデを気に掛けるでもなく、テオドールは眉一つ動かさずに命令した。
「次は私の番だ、ロザリンデ。さあ」
そしてトラウザーズの前を寛げると、屹立した男根をロザリンデの目の前にぬっと突き出した。それは太く、硬く、獰猛に天を突いてそそり立っていた。ロザリンデは固く目を閉じると、おずおずとその先端を口に含んで、ゆっくりと唇を上下に動かし始めた。鈴口から流れ出ていた透明な液がロザリンデの唾液と混ざり合って、塩辛い味が広がった。
「ん……んん……く……ぅ……」
「ああ、いい、ロザリンデ、そのまま、そう……もっと深く……」
「んんっ」
浮き出た血管に舌の先が絡まって、むせそうになる。苦しくて思わず口を離そうとしても、ロザリンデの頭はテオドールにがっちりと掴まれてしまっていて逃げられない。早く終わってほしい一心で、ロザリンデは必死にテオドールの男根を根元まで咥え込んで、顎を動かし続けた。次第にテオドールの太腿が細かくピクピクと痙攣し始め、息遣いが荒くなった。
「あ……っ、ロザリンデ、もう出そうだ」
「うぅ……くっ……」
「出すぞ、ロザリンデ、一滴残らず、ちゃんと受け止めろ……! うぁ……っ! あっ、あぁっ!」
テオドールの獣のような咆哮が響き、腰がガクガクと激しく打ちつけられた。次の瞬間、彼はロザリンデの口の中に思い切り精を放った。
「ん……ふ……ぅ……」
やがてテオドールはロザリンデから身体を離すと、ドサリと勢いよく寝椅子に倒れ込み、大きな溜息をついた。ロザリンデは立ち上がると、腰に下げていたレティキュールから化粧紙を取り出し、口の端から溢れそうなほどに大量の白濁した液体を吐き出すと、丸めて燃えている暖炉に放り込んだ。全身から力が抜ける。床に座り込んでしまったロザリンデの耳に、すっかり冷静さを取り戻したテオドールの声が聞こえた。
「いつものことだが、そんなにそっけなく始末されると興が冷めるね、ロザリンデ」
「す、すみません、お義兄様。お許し下さい……」
始末、というのはテオドールの子種を吐き出して暖炉にくべてしまうことだ。当初、テオドールはロザリンデにそれを飲み込むことを求めた。だがロザリンデはどうしてもそれだけは受け入れられず、いつも泣いて嫌がった。それで仕方なくテオドールが折れて、こうして証拠を隠滅することでどうにか折り合いがついた。
「まあ、処女の君にそこまで求めるのは野暮というものか、仕方あるまい。ご苦労だった、ロザリンデ。もう遅いから早く寝みなさい」
取って付けたようなテオドールの労いの言葉に、ロザリンデは黙ってはだけたままになっていたボディスのボタンを一つづつ元通りにはめ、汗ばんで顔に貼りついたほつれ毛を直した。ペチコートとスカートも元に戻し、軽く膝を曲げてお辞儀をすると、無言のまま扉へ向かう。もう義務は果たした、これ以上一秒たりともこの部屋にいたくはない。扉のハンドルに手をかけた時、再び背後からテオドールの声がしたが、ロザリンデは振り返ることなく書斎を出ると、静かに扉を閉めた。
足音を忍ばせて廊下を歩くロザリンデの胃液が逆流し、吐き気がこみ上げる。だがまだ声を上げて泣くわけにはいかない。いくつもの扉の前を通り過ぎ、ようやく自室に飛び込んだ瞬間、ロザリンデは両手で顔を覆って床に頽れた。
「ああ、何という甘い香りだろう、ロザリンデ。君の身体は本当に素晴らしい。これからも私を楽しませておくれ。君と君の大事な姉マティルダの生活と、子爵家の爵位を守るためにね。そのことを忘れないように。返事は?」
「は、い、わか……り……まし、た、おにい、さま……はぁっ、ああっ!」
本当は、こんな卑劣で破廉恥な男に屈服などしたくない。けれど、わたくしとお姉様、そしてムーア子爵家の未来は、このテオドール・ロチルド伯爵という悪魔のような男に握られている。二年あまりの間、夜ごと繰り返される執拗な責めによって、ロザリンデの身体は隅々まで開発しつくされ、義兄と義妹という二人の関係を心の底から嫌悪する理性の嘆きとは裏腹に、触れられるたびに快楽に喘ぐようになっていた。
再び花芽を捉えたテオドールの指の動きが小刻みに早く、激しくなってゆく。それに合わせてロザリンデの息遣いが荒くなり、喘ぎ声が細く切れ切れになった。
「そろそろだな。こんなに膨れ上がって、いやらしい花芽だ。さあ、素直に気を遣りなさい。私に逆らっても無駄だよ。君の身体は私が一番よく知っているのだからね。ほら、ほら」
「あ、あー、あー、ああー……あっ、あああああーーーーーーっ!」
ロザリンデが声を限りに叫ぶのと同時に、背中がぐっと反り、白い太腿が小刻みに痙攣した。頭の中で光が爆ぜ、全身から力が抜けてゆく。思わずテオドールに身体を預けてしまうのもいつものことだ。その後で猛烈な罪悪感と自己嫌悪に陥ることが分かっているのに。
しばらく喘いでいたロザリンデが呼吸を整えてのろのろと身を起こすと、待っていたかのようにテオドールが寝椅子から降りてロザリンデの前に立った。ああ、やっぱりまだ終わらないのね……と更なる絶望に打ちひしがれたロザリンデを気に掛けるでもなく、テオドールは眉一つ動かさずに命令した。
「次は私の番だ、ロザリンデ。さあ」
そしてトラウザーズの前を寛げると、屹立した男根をロザリンデの目の前にぬっと突き出した。それは太く、硬く、獰猛に天を突いてそそり立っていた。ロザリンデは固く目を閉じると、おずおずとその先端を口に含んで、ゆっくりと唇を上下に動かし始めた。鈴口から流れ出ていた透明な液がロザリンデの唾液と混ざり合って、塩辛い味が広がった。
「ん……んん……く……ぅ……」
「ああ、いい、ロザリンデ、そのまま、そう……もっと深く……」
「んんっ」
浮き出た血管に舌の先が絡まって、むせそうになる。苦しくて思わず口を離そうとしても、ロザリンデの頭はテオドールにがっちりと掴まれてしまっていて逃げられない。早く終わってほしい一心で、ロザリンデは必死にテオドールの男根を根元まで咥え込んで、顎を動かし続けた。次第にテオドールの太腿が細かくピクピクと痙攣し始め、息遣いが荒くなった。
「あ……っ、ロザリンデ、もう出そうだ」
「うぅ……くっ……」
「出すぞ、ロザリンデ、一滴残らず、ちゃんと受け止めろ……! うぁ……っ! あっ、あぁっ!」
テオドールの獣のような咆哮が響き、腰がガクガクと激しく打ちつけられた。次の瞬間、彼はロザリンデの口の中に思い切り精を放った。
「ん……ふ……ぅ……」
やがてテオドールはロザリンデから身体を離すと、ドサリと勢いよく寝椅子に倒れ込み、大きな溜息をついた。ロザリンデは立ち上がると、腰に下げていたレティキュールから化粧紙を取り出し、口の端から溢れそうなほどに大量の白濁した液体を吐き出すと、丸めて燃えている暖炉に放り込んだ。全身から力が抜ける。床に座り込んでしまったロザリンデの耳に、すっかり冷静さを取り戻したテオドールの声が聞こえた。
「いつものことだが、そんなにそっけなく始末されると興が冷めるね、ロザリンデ」
「す、すみません、お義兄様。お許し下さい……」
始末、というのはテオドールの子種を吐き出して暖炉にくべてしまうことだ。当初、テオドールはロザリンデにそれを飲み込むことを求めた。だがロザリンデはどうしてもそれだけは受け入れられず、いつも泣いて嫌がった。それで仕方なくテオドールが折れて、こうして証拠を隠滅することでどうにか折り合いがついた。
「まあ、処女の君にそこまで求めるのは野暮というものか、仕方あるまい。ご苦労だった、ロザリンデ。もう遅いから早く寝みなさい」
取って付けたようなテオドールの労いの言葉に、ロザリンデは黙ってはだけたままになっていたボディスのボタンを一つづつ元通りにはめ、汗ばんで顔に貼りついたほつれ毛を直した。ペチコートとスカートも元に戻し、軽く膝を曲げてお辞儀をすると、無言のまま扉へ向かう。もう義務は果たした、これ以上一秒たりともこの部屋にいたくはない。扉のハンドルに手をかけた時、再び背後からテオドールの声がしたが、ロザリンデは振り返ることなく書斎を出ると、静かに扉を閉めた。
足音を忍ばせて廊下を歩くロザリンデの胃液が逆流し、吐き気がこみ上げる。だがまだ声を上げて泣くわけにはいかない。いくつもの扉の前を通り過ぎ、ようやく自室に飛び込んだ瞬間、ロザリンデは両手で顔を覆って床に頽れた。
28
あなたにおすすめの小説
男嫌いな王女と、帰ってきた筆頭魔術師様の『執着的指導』 ~魔道具は大人の玩具じゃありません~
花虎
恋愛
魔術大国カリューノスの現国王の末っ子である第一王女エレノアは、その見た目から妖精姫と呼ばれ、可愛がられていた。
だが、10歳の頃男の家庭教師に誘拐されかけたことをきっかけに大人の男嫌いとなってしまう。そんなエレノアの遊び相手として送り込まれた美少女がいた。……けれどその正体は、兄王子の親友だった。
エレノアは彼を気に入り、嫌がるのもかまわずいたずらまがいにちょっかいをかけていた。けれど、いつの間にか彼はエレノアの前から去り、エレノアも誘拐の恐ろしい記憶を封印すると共に少年を忘れていく。
そんなエレノアの前に、可愛がっていた男の子が八年越しに大人になって再び現れた。
「やっと、あなたに復讐できる」
歪んだ復讐心と執着で魔道具を使ってエレノアに快楽責めを仕掛けてくる美形の宮廷魔術師リアン。
彼の真意は一体どこにあるのか……わからないままエレノアは彼に惹かれていく。
過去の出来事で男嫌いとなり引きこもりになってしまった王女(18)×王女に執着するヤンデレ天才宮廷魔術師(21)のラブコメです。
※ムーンライトノベルにも掲載しております。
聖娼王女の結婚
渡波みずき
恋愛
第三王女のライラは、神殿の巫女だった側室を母に持ち、異母兄弟のなかで肩身が狭い思いをしながら過ごしていた。母はすでに亡く、父王も崩御し、後ろ盾を失ったライラは、兄から勧められた縁談や姉の嫌がらせから逃げるため、神殿に足を踏み入れる。
だが、ライラが巫女になる道のりは険しい。なぜなら、見習いは、聖娼として三晩、客人の夜のお相手をしなければならないからで──
自身の思い込みの激しさに気づかない王女のすれ違い恋愛もの
贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる
マチバリ
恋愛
貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。
数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。
書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。
【連載版】 極秘任務で使いたいから自白剤を作ってくれと言った近衛騎士団長が自分語りをしてくる件について
紬あおい
恋愛
侯爵家の落ちこぼれ二女リンネは、唯一の取り柄である薬の調合を活かし、皇宮の薬師部屋で下っ端として働いていた。
そんなある日、近衛騎士団長リースハルトから直々の依頼で、自白剤を作ることになった。
しかし、極秘任務の筈なのに、リースハルトは切々と自分語りを始め、おかしなことに…?
タイトルが気に入っていたので、2025年8月15日に公開した短編を、中編〜長編用に全編改稿します。
こちら単独でお読みいただけます。
世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない
二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。
ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。
当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。
だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。
――君の××××、触らせてもらえないだろうか?
親愛なるあなたに、悪意を込めて!
にゃみ3
恋愛
「悪いが、僕は君のことを愛していないんだ」
結婚式の夜、私の夫となった人。アスタリア帝国第一皇子ルイス・ド・アスタリアはそう告げた。
ルイスは皇后の直々の息子ではなく側室の息子だった。
継承争いのことから皇后から命を狙われており、十日後には戦地へと送られる。
生きて帰ってこれるかどうかも分からない。そんな男に愛されても、迷惑な話よ。
戦地へと向かった夫を想い涙を流すわけでもなく。私は皇宮暮らしを楽しませていただいていた。
ある日、使用人の一人が戦地に居る夫に手紙を出せと言ってきた。
彼に手紙を送ったところで、私を愛していない夫はきっとこの手紙を読むことは無いだろう。
そう思い、普段の不満を詰め込んだ手紙。悪意を込めて、書きだしてみた。
それがまさか、彼から手紙が返ってくるなんて⋯。
束縛婚
水無瀬雨音
恋愛
幼なじみの優しい伯爵子息、ウィルフレッドと婚約している男爵令嬢ベルティーユは、結婚を控え幸せだった。ところが社交界デビューの日、ウィルフレッドをライバル視している辺境伯のオースティンに出会う。翌日ベルティーユの屋敷を訪れたオースティンは、彼女を手に入れようと画策し……。
清白妙様、砂月美乃様の「最愛アンソロ」に参加しています。
私は愛されていなかった幼妻だとわかっていました
ララ愛
恋愛
ミリアは両親を亡くし侯爵の祖父に育てられたが祖父の紹介で伯爵のクリオに嫁ぐことになった。
ミリアにとって彼は初恋の男性で一目惚れだったがクリオには侯爵に弱みを握られての政略結婚だった。
それを知らないミリアと知っているだろうと冷めた目で見るクリオのすれ違いの結婚生活は誤解と疑惑の
始まりでしかなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる