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第2章 ポーショントラブル
45.お家が建つみたいです
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次の日宿屋でリナリーとコウと3人で朝食を食べていた時
「ご主人様、今日は冒険者ギルドで訓練をしようかと思っているのですが」
「あぁ、気を付けて行っておいで。もしセバスチャンさんに会ったら白鳥の涙亭に泊まってるって伝えて」
というやり取りをして2人を見送り自分は部屋へと帰る。そして土の神器『万物の書』を読もうと表紙をめくる。
万物の書
1章
・匠の心得
・心構え
・道具たち
2章
・匠の技術
・レシピ集
・アレンジする
3章
・失われた技術
・道具集
・レシピ集
4章
・最後に
「・・・・目次がある・・・・。まぁ読みやすいからいいのか・・・・」
ハジメはページをめくる。
『
匠の心得 心構え
1つ、人助けの為にその技術を振るうこと。
1つ、研鑽を続け、己に奢ることなきようにする事。
1つ、良き道具は友とし、心を通わせること。
・
・
・
・
・
・
・
1つ、神は全てを見ていると心すること。
』
まぁ、簡単に言えば人の助けになるように努力を続けその技術を磨けっていうようなことである。箇条書きは匠というよりは人として、生き物として大切なことが掛かれている。
ハジメはゆっくりと次のページを開く。
『道具には初級、中級、上級、匠、伝説とランクがある。技術力が引くいのに上級を使っても使いこなすことはできないし、匠の者が初級を使ってもその技術力を発揮することは出来ない。従って自分の技術に見合った道具を使わなければならない。
匠ランクの道具は数が少なく、手に入れようとしても困難である。手に入れることが出来れば幸運と言えるだろう。伝説ランクは神の道具として知られている。その存在は分からないままである。もし手に入れることが出来ればその地位を盤石なものにすると同時に争いに巻き込まれるだろう』
「購入できるのは上級まででってことか。ふむふむ・・・」
と呟くと、ペン太が顔を上げ、
「あ、忘れてた。ハジメ報酬があるよっ!」
と言い背後からペン太の体の3倍はあるだろうトランクを出してくる。
「・・・ペン太、どこからどうやって出したの?これペン太よりもかなり大きいよね・・・」
と思わず突っ込みを入れると
「ハジメ、それは聞いちゃダメー」
と手(羽?)を嘴当てて両目をぱちぱちとさせる。まぁ、ぺン太は神様の本だし不思議生物だからなぁ・・・。そもそも生物なのかな・・・。気を取り直してペン太から受け取ったトランクを開けると調剤セットが入っていた。そのセット内容は初級セットとあまり変わりはなかったが瑠璃色に光るガラス器具、オレンジ色の光沢をもった鍋などの金物、真っ白な濾紙など高級そうなものが入っている。全て出すと
「・・・これ、かなりヤバイものじゃ・・・」
<鑑定>
成長する調剤道具:神が作ったハジメ専用の破壊不可、略奪不可の調剤道具。その力量によって初級・中級・上級・匠・伝説・神器へと成長する。使い捨ての道具は魔力で補充される。
現在の成長度:上級
ハジメが衝撃の鑑定結果から復帰するとペン太が優しく背中を撫でていた。ありがとうと伝え、調剤道具をアイテムボックスへ仕舞う。コップにお茶を注ぎ一息つくと、宿屋の扉がノックされ、
「お客さん、下に尋ねてこられた方がいますよ」
と宿の従業員から声が掛かる。ハジメは1階の受付兼食事処の1つの席に座ってお茶を飲んでいるハーフグラスがいた。降りて来たハジメに気づき彼は
「こんにちは。貴方がハジメさん?」
と穏やかな口調で声を掛けて来た。
「こんにちは。えぇ、私がハジメですが。貴方はどちら様ですか?今日はどのようなご用件ですか?」
と返事をすると
「挨拶が遅れました。私は建築家の小人族、エリヘルムヴェッファと申します。呼びにくいですから、エルムと呼んでいただけると嬉しいです」
と右手を出してきたのでハジメはしっかりと握手を交わした。
「貴方が建築家さんなのですね。今回は突然の依頼でした私たちの家を作って頂いてありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそご依頼ありがとうございます。私もハジメさんのお店に何度かお邪魔したことがあるんですよ。建築の仕事なので怪我をすることもありますので・・・。それで本日お伺いさせてもらったのは設計図が出来たからなんです。見て頂けますか?」
とエルムは鞄から2枚の紙を取り出したので2人でテーブルを挟むように座る。
「左側の紙が商人ギルドにあった前のハジメさんの家の設計図です。そして右側が私が考えたこれから建てる予定の設計図になっています。まずお店の部分ですが、大きさは前の店の1.5倍ほどに出来ます。これは前の家が随分古い物でしたのでかなりの数の隙間がありました。現在の建築方法ではそれをほぼ無くすことができます。1階のそのほかの場所も1.2倍くらいの広さが確保できる予定です。そして1階が広くなりますので、2階は4部屋でしたよね。たしかハジメさんの部屋が他の部屋よりも2倍くらい広かったと聞いています。の部屋も広くでますし、もう2部屋くらいは確保できます。2部屋作る時は部屋の大きさは変えられませんが・・・」
「でも両隣との境界線から5m離すとなると家自体は少し小さくなるのでは?それでも店が大きく出来るんですか?」
と最近知った街の基準について問う。ハジメの住んでいた家は古かったので新基準を満たしていないのである。
「おぉ、ハジメさんは物知りですね。えぇ、実際は両隣とも3mずつは開いているので後2mずつ増やす必要はありますが、実際ここの使い道のない場所の12か所を合わせて30m×30mくらいありますので、家は小さくなりますが、中は広くできます。で、地下の調剤室なのですが、その家の縮小で位置を変えざるを得ません。大きさは広く出来ますが、階段の位置を変更しなければなりません。それで位置なのですが、丁度店のカウンターの真後ろに階段を作ることになりますね」
と答える。
「調剤室へ入るところに扉を付けて頂けるなら問題ないです。あと裏庭はそのままにしてください」
と承諾する。
「そうですよね、技術の流出はできないようにするのは大切ですもんね。ではそうしておきますね」
と言い、ペンでドアを書き足す。その後細々した部分を決めた。
「さて、家の部分は完成したので、一緒に行きましょう」
と立ち上がる。
「え?どこに行くんですか?」
「嫌ですねー、ハジメさんの土地に家を建てに行くんですよ」
とにっこり微笑む。
「え?設計図が出来たばかりですよね?」
と言うと
「えぇ。もう木材は運んでありますので、手ぶらで大丈夫ですよ」
とすたすたと歩き始めるので慌てて後を追った。十数分後更地になった元家の場所に2人が付くとそこに材木の山があった。ハジメが近づこうとすると
「あ、ここに居てくださいね」
とエルムが止める。そして大声で
「家建てますので皆さん近づかないようにしてください!」
と叫ぶと周りの家から住民の人々が出てくる。
「わー。家が建つところ見たーーい」
と子供がはしゃいでいる。大人たちも見世物をみるような顔で野次馬化していた。ハジメ一人だけが訳が分からずいるだけだった。それに気づいたのかエルムが
「・・・ハジメさん家建てるのみたことないんです?」
と声を掛けてくるので
「いや、ありますけど・・・」
と不思議そうに言うと
「・・・あぁ、なるほど。じゃぁ見ててくださいね」
とエルムは納得したような顔のあと楽しそうな顔になり、出来たばかりの家の見取り図の紙を広げる。
<図面写し>
そう唱え家の図面を紙から家が建つ場所へとスライドさせると見取り図が光り、3D ホログラムがハジメの土地に浮かび上がり、呆気にとられる。それを横目で見ていたエルムが
「あはは。実際に中に入ってみましょう。手直しするところもあるかもしれないので」
と愉快そうに笑う。エルムはここが玄関でカウンター。ここが跳ね上げ式になっています・・・・」
あくまでホログラムなので2階には上がれなかったが周囲に展開された見取り図の緑色の線はここが異世界であることをハジメに再度実感させるには充分だった。2人は問題がないことを確認して先ほどの場所まで戻ってきた。
「ではこれで問題ないということで。建築を続けますね」
と言うと
<指定>
<枠組み建築>
と立て続けに唱えると、指定された場所がさらに明るく光りそこへ柱となる木材が宙を舞って向かう。そして家の屋台骨が空中で完成する。エルムはその間に2本何かを飲んでいる。ハジメが何も言えず佇んでいると、
「最後の仕上げです」
<埋める>
すると空中の家が地面に降りてきてズブズブと地中に柱が沈み、1階部分が地上までくると止まる。数分で家の枠組みが出来てしまった。日本ならここで餅撒きをするところだ。そこで周囲で見ていた人々は
「いやー、いいもん見れたな。久々の建築魔法だな」
「魔法すごーーい。木がぴゅーって家になったー」
と子供も含めて満足そうな顔をしてそれぞれの家に帰って行った。
「じゃぁ次は地下の調剤室ですね」
と言いながらもう1本飲み干す。呆気に取られているハジメを連れて地下を作る場所まで来ると、家と建てた時と同じように階段をスライドさせる。しかし地中にあるためかホログラムは見えない。
<指定>
<掘る>
<石化>
とエルムが続けると土が階段状になり、石へと変化する。2人が階段を下りてくると階段と同じように調剤室を作った。天井部分だけは<硬質化>で固めるだけにし、木の柱を硬質化し支柱とした。エルムによると石にしてしまうと重みで崩れることがあるとのことであった。2人が地上に戻ると20名近い大工たちが待ち構えていた。
「エルムっち、終わった?」
とその中の1人の女性が声を掛けてくる。
「ソラさん、お疲れ様です。ええ、できましたよ。少し変更するところがあって・・・・」
と2人で確認作業を数分すると
「取り掛かるよ。明後日には受け渡しだからね。安全、丁寧にやるんだよっ」
と号令を掛けると大工たちが一斉に仕事に取り掛かった。そしてハジメに向かってソラは
「依頼主さんだね。私たちに任せておいて。良い家にするからね。じゃぁ私も指揮してくるよ」
と白い歯を見せながら笑顔で言い、大工たちの所へ向かっていった。CMならきらっと光るところだ。
「ハジメさんは建築魔法初めてなんですね」
とエルムが大工たちを見ているハジメに聞いた。
「・・・えぇ。・・・私の故郷では人が骨組みから作っていましたから」
「やはりですか。話がかみ合ってないなと思ったので。建築魔法はあくまで骨組みだけなんですよ。それ以上の細かい作業になるとやはり人の手が一番です。それにそんな細かい所まですると魔力がいくらあっても足りません」
調剤室を作り終わるまでに飲んでいた5本は魔力ポーションだったのだ。2人がそんな話をしている間にもどんどん床板が張られており、後1/3ほどで一回の床が張り終わりそうなところまで終わっていた。
本当に明後日には家は出来上がってしまうのかもしれない。これが異世界クオリティーなのかもしれない。
「ご主人様、今日は冒険者ギルドで訓練をしようかと思っているのですが」
「あぁ、気を付けて行っておいで。もしセバスチャンさんに会ったら白鳥の涙亭に泊まってるって伝えて」
というやり取りをして2人を見送り自分は部屋へと帰る。そして土の神器『万物の書』を読もうと表紙をめくる。
万物の書
1章
・匠の心得
・心構え
・道具たち
2章
・匠の技術
・レシピ集
・アレンジする
3章
・失われた技術
・道具集
・レシピ集
4章
・最後に
「・・・・目次がある・・・・。まぁ読みやすいからいいのか・・・・」
ハジメはページをめくる。
『
匠の心得 心構え
1つ、人助けの為にその技術を振るうこと。
1つ、研鑽を続け、己に奢ることなきようにする事。
1つ、良き道具は友とし、心を通わせること。
・
・
・
・
・
・
・
1つ、神は全てを見ていると心すること。
』
まぁ、簡単に言えば人の助けになるように努力を続けその技術を磨けっていうようなことである。箇条書きは匠というよりは人として、生き物として大切なことが掛かれている。
ハジメはゆっくりと次のページを開く。
『道具には初級、中級、上級、匠、伝説とランクがある。技術力が引くいのに上級を使っても使いこなすことはできないし、匠の者が初級を使ってもその技術力を発揮することは出来ない。従って自分の技術に見合った道具を使わなければならない。
匠ランクの道具は数が少なく、手に入れようとしても困難である。手に入れることが出来れば幸運と言えるだろう。伝説ランクは神の道具として知られている。その存在は分からないままである。もし手に入れることが出来ればその地位を盤石なものにすると同時に争いに巻き込まれるだろう』
「購入できるのは上級まででってことか。ふむふむ・・・」
と呟くと、ペン太が顔を上げ、
「あ、忘れてた。ハジメ報酬があるよっ!」
と言い背後からペン太の体の3倍はあるだろうトランクを出してくる。
「・・・ペン太、どこからどうやって出したの?これペン太よりもかなり大きいよね・・・」
と思わず突っ込みを入れると
「ハジメ、それは聞いちゃダメー」
と手(羽?)を嘴当てて両目をぱちぱちとさせる。まぁ、ぺン太は神様の本だし不思議生物だからなぁ・・・。そもそも生物なのかな・・・。気を取り直してペン太から受け取ったトランクを開けると調剤セットが入っていた。そのセット内容は初級セットとあまり変わりはなかったが瑠璃色に光るガラス器具、オレンジ色の光沢をもった鍋などの金物、真っ白な濾紙など高級そうなものが入っている。全て出すと
「・・・これ、かなりヤバイものじゃ・・・」
<鑑定>
成長する調剤道具:神が作ったハジメ専用の破壊不可、略奪不可の調剤道具。その力量によって初級・中級・上級・匠・伝説・神器へと成長する。使い捨ての道具は魔力で補充される。
現在の成長度:上級
ハジメが衝撃の鑑定結果から復帰するとペン太が優しく背中を撫でていた。ありがとうと伝え、調剤道具をアイテムボックスへ仕舞う。コップにお茶を注ぎ一息つくと、宿屋の扉がノックされ、
「お客さん、下に尋ねてこられた方がいますよ」
と宿の従業員から声が掛かる。ハジメは1階の受付兼食事処の1つの席に座ってお茶を飲んでいるハーフグラスがいた。降りて来たハジメに気づき彼は
「こんにちは。貴方がハジメさん?」
と穏やかな口調で声を掛けて来た。
「こんにちは。えぇ、私がハジメですが。貴方はどちら様ですか?今日はどのようなご用件ですか?」
と返事をすると
「挨拶が遅れました。私は建築家の小人族、エリヘルムヴェッファと申します。呼びにくいですから、エルムと呼んでいただけると嬉しいです」
と右手を出してきたのでハジメはしっかりと握手を交わした。
「貴方が建築家さんなのですね。今回は突然の依頼でした私たちの家を作って頂いてありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそご依頼ありがとうございます。私もハジメさんのお店に何度かお邪魔したことがあるんですよ。建築の仕事なので怪我をすることもありますので・・・。それで本日お伺いさせてもらったのは設計図が出来たからなんです。見て頂けますか?」
とエルムは鞄から2枚の紙を取り出したので2人でテーブルを挟むように座る。
「左側の紙が商人ギルドにあった前のハジメさんの家の設計図です。そして右側が私が考えたこれから建てる予定の設計図になっています。まずお店の部分ですが、大きさは前の店の1.5倍ほどに出来ます。これは前の家が随分古い物でしたのでかなりの数の隙間がありました。現在の建築方法ではそれをほぼ無くすことができます。1階のそのほかの場所も1.2倍くらいの広さが確保できる予定です。そして1階が広くなりますので、2階は4部屋でしたよね。たしかハジメさんの部屋が他の部屋よりも2倍くらい広かったと聞いています。の部屋も広くでますし、もう2部屋くらいは確保できます。2部屋作る時は部屋の大きさは変えられませんが・・・」
「でも両隣との境界線から5m離すとなると家自体は少し小さくなるのでは?それでも店が大きく出来るんですか?」
と最近知った街の基準について問う。ハジメの住んでいた家は古かったので新基準を満たしていないのである。
「おぉ、ハジメさんは物知りですね。えぇ、実際は両隣とも3mずつは開いているので後2mずつ増やす必要はありますが、実際ここの使い道のない場所の12か所を合わせて30m×30mくらいありますので、家は小さくなりますが、中は広くできます。で、地下の調剤室なのですが、その家の縮小で位置を変えざるを得ません。大きさは広く出来ますが、階段の位置を変更しなければなりません。それで位置なのですが、丁度店のカウンターの真後ろに階段を作ることになりますね」
と答える。
「調剤室へ入るところに扉を付けて頂けるなら問題ないです。あと裏庭はそのままにしてください」
と承諾する。
「そうですよね、技術の流出はできないようにするのは大切ですもんね。ではそうしておきますね」
と言い、ペンでドアを書き足す。その後細々した部分を決めた。
「さて、家の部分は完成したので、一緒に行きましょう」
と立ち上がる。
「え?どこに行くんですか?」
「嫌ですねー、ハジメさんの土地に家を建てに行くんですよ」
とにっこり微笑む。
「え?設計図が出来たばかりですよね?」
と言うと
「えぇ。もう木材は運んでありますので、手ぶらで大丈夫ですよ」
とすたすたと歩き始めるので慌てて後を追った。十数分後更地になった元家の場所に2人が付くとそこに材木の山があった。ハジメが近づこうとすると
「あ、ここに居てくださいね」
とエルムが止める。そして大声で
「家建てますので皆さん近づかないようにしてください!」
と叫ぶと周りの家から住民の人々が出てくる。
「わー。家が建つところ見たーーい」
と子供がはしゃいでいる。大人たちも見世物をみるような顔で野次馬化していた。ハジメ一人だけが訳が分からずいるだけだった。それに気づいたのかエルムが
「・・・ハジメさん家建てるのみたことないんです?」
と声を掛けてくるので
「いや、ありますけど・・・」
と不思議そうに言うと
「・・・あぁ、なるほど。じゃぁ見ててくださいね」
とエルムは納得したような顔のあと楽しそうな顔になり、出来たばかりの家の見取り図の紙を広げる。
<図面写し>
そう唱え家の図面を紙から家が建つ場所へとスライドさせると見取り図が光り、3D ホログラムがハジメの土地に浮かび上がり、呆気にとられる。それを横目で見ていたエルムが
「あはは。実際に中に入ってみましょう。手直しするところもあるかもしれないので」
と愉快そうに笑う。エルムはここが玄関でカウンター。ここが跳ね上げ式になっています・・・・」
あくまでホログラムなので2階には上がれなかったが周囲に展開された見取り図の緑色の線はここが異世界であることをハジメに再度実感させるには充分だった。2人は問題がないことを確認して先ほどの場所まで戻ってきた。
「ではこれで問題ないということで。建築を続けますね」
と言うと
<指定>
<枠組み建築>
と立て続けに唱えると、指定された場所がさらに明るく光りそこへ柱となる木材が宙を舞って向かう。そして家の屋台骨が空中で完成する。エルムはその間に2本何かを飲んでいる。ハジメが何も言えず佇んでいると、
「最後の仕上げです」
<埋める>
すると空中の家が地面に降りてきてズブズブと地中に柱が沈み、1階部分が地上までくると止まる。数分で家の枠組みが出来てしまった。日本ならここで餅撒きをするところだ。そこで周囲で見ていた人々は
「いやー、いいもん見れたな。久々の建築魔法だな」
「魔法すごーーい。木がぴゅーって家になったー」
と子供も含めて満足そうな顔をしてそれぞれの家に帰って行った。
「じゃぁ次は地下の調剤室ですね」
と言いながらもう1本飲み干す。呆気に取られているハジメを連れて地下を作る場所まで来ると、家と建てた時と同じように階段をスライドさせる。しかし地中にあるためかホログラムは見えない。
<指定>
<掘る>
<石化>
とエルムが続けると土が階段状になり、石へと変化する。2人が階段を下りてくると階段と同じように調剤室を作った。天井部分だけは<硬質化>で固めるだけにし、木の柱を硬質化し支柱とした。エルムによると石にしてしまうと重みで崩れることがあるとのことであった。2人が地上に戻ると20名近い大工たちが待ち構えていた。
「エルムっち、終わった?」
とその中の1人の女性が声を掛けてくる。
「ソラさん、お疲れ様です。ええ、できましたよ。少し変更するところがあって・・・・」
と2人で確認作業を数分すると
「取り掛かるよ。明後日には受け渡しだからね。安全、丁寧にやるんだよっ」
と号令を掛けると大工たちが一斉に仕事に取り掛かった。そしてハジメに向かってソラは
「依頼主さんだね。私たちに任せておいて。良い家にするからね。じゃぁ私も指揮してくるよ」
と白い歯を見せながら笑顔で言い、大工たちの所へ向かっていった。CMならきらっと光るところだ。
「ハジメさんは建築魔法初めてなんですね」
とエルムが大工たちを見ているハジメに聞いた。
「・・・えぇ。・・・私の故郷では人が骨組みから作っていましたから」
「やはりですか。話がかみ合ってないなと思ったので。建築魔法はあくまで骨組みだけなんですよ。それ以上の細かい作業になるとやはり人の手が一番です。それにそんな細かい所まですると魔力がいくらあっても足りません」
調剤室を作り終わるまでに飲んでいた5本は魔力ポーションだったのだ。2人がそんな話をしている間にもどんどん床板が張られており、後1/3ほどで一回の床が張り終わりそうなところまで終わっていた。
本当に明後日には家は出来上がってしまうのかもしれない。これが異世界クオリティーなのかもしれない。
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