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2章 不気味な島
75話 狂気の島
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俺たちは、その島に行くために小舟を出してもらった。
波が小舟の底を叩く音が、妙に響く。島に近づくにつれ、どんどん霧が薄くなっているように思える。
いや、確かに薄くなっていた。
「変なんですが、あの島に近づくにつれ、霧が晴れていくのだから、俺達にも事故が起きなかったんですよ」
それを示すように、海面を這うように立ち込めていた濃霧が、不意に、何かに怯えるように左右へと割れた。
まるで生き物が息を潜めて逃げていくみたいに。
俺自身、そんな非論理的な事が起きるはずがないと思ってしまって、背筋がぞくりとした。
それは劇場の幕が開くかのような、あまりに鮮やかで、意図を感じさせる晴れ方だった。
まるで誰かが。この島が、俺たちをようこそと迎え入れているかのように。
「お嬢さん方……見えてきましたぜ」
操舵手の震える声に、俺達は息を呑んで前方を見上げた。
霧の奥から現れたのは、海図のどこにも記されていない、蒼白の島だった。
だが、島と呼ぶにはそれはあまりに大きすぎた。
島の中央には、天の頂を貫かんばかりにそびえ立っている山脈があった。
もはや山脈という言葉を拒絶するような黒い石柱の群れだった。
上を見ると雲を突き抜けている山々だった。
それらは自然の山が持つなだらかな裾野を一切持たず、刃のように鋭く突き立っている。
雲を突き抜け、さらにその上の、星さえ届かぬ高度へと消えていくその頂。
俺はあまりの高さに、まるで自分たちがちっぽけな存在だと言われている気にもなっていた。
それを見ていると、視界がぐるりと回り、足元がふわっと浮く感覚がした。
吐き気がこみ上げてくるのを必死で堪えた。
多分3000メートル以上はあるんだろう。
残念ながら雲が厚すぎて頂上が見えなかった。
いや、見えなくてよかったのかもしれない。
あんな高さの先にあるものなんて、想像しただけで頭が痛くなる。
「……あれは、本当に山ですの?」
エレナが呆然と呟いた。
霧が晴れるにつれ、山肌の異様さが露わになる。
黒い岩壁には、稲妻が走ったような不規則な亀裂などはどこにもなかった。
あるのは、長距離にわたって寸分の狂いもなく直下する「溝」と、円環を描く幾何学的な「段差」だけだった。
溝の深さは底が見えず、まるで無限に落ちていく闇の裂け目みたいだ。
段差は規則正しく、まるで巨大な歯車の一部を切り取ったかのように完璧だと思う。
それは自然に出来た形ではなく、なにか自然以外で出来た跡みたいにも見えた。
いや、見えたじゃなくて確信した。
誰かが、何かが、ここを意図的に削り、築いたんだ。
『ピィ……リィ……』
山脈の遥か上空、大気の薄い場所から、マッシュが言っていた笛のような音が降ってくる。
それは風の音でも鳥の声でもない。金属が擦れるような、骨が軋むような、不快な響き。
その音が響くたびに、島を囲む濃霧は吸い込まれるように山肌へ吸着し、凪いだ海面は鏡のように静まり返る。
波一つ立たず、まるで時間が止まったかのように。
その声がなくなった時だった。凄く腐ったような臭いが漂ってきた。
肉が腐り、骨まで溶け出したような、鼻腔を焼く甘ったるい腐敗臭。
吐き気が一気にこみ上げて、俺は慌てて風の乙女の力を使い、空気清浄の呪文を全員にかける。
青白い光が一瞬周囲を包み、ようやく息がしやすくなったけど……臭いの残り香は、まだ喉の奥にへばりついている。
「ここまで連れてきてくれてありがとう。俺が決めた日数が経つか合図が出るまで船で待機をしておいてくれ」
「へ…ヘイ」
そう言ってそそくさと船員は手漕ぎボートに乗り込み、すぐに船に戻った。
背中が小さくなるのを眺めながら、俺は思った。
あいつら、きっと二度とここには来たくないだろうな。
俺はそれを見届けてから周囲を確認してみた。
まるでこの世の風景ではないようにも見える。
空気は重く、肌にねっとりと絡みつく。色さえも、どこか現実離れしている。
まるで、深淵に突き立てられた巨大な心臓が、外界のすべてを吸い尽くそうと拍動しているかのような、静かなる狂気の色を帯びていた。
鼓動なんて聞こえないのに、なぜか胸の奥で、何かが……同期している気がする。
「風が……あそこに吸い込まれているのか」
確かに、微かに吹いていたはずの海風が、山脈の方へ、まるで渦を巻くように流れ込んでいく。
髪がそちらへ引っ張られる感覚。抵抗するように体を引いても、無駄だった。
砂浜には僅かながらに海藻や流木が打ち上げられ、生命の痕跡を留めてはいたが、それらすべてが灰を被ったように白く変色していた。
触れれば、ぱりぱりと音を立てて崩れそうなほど脆い。
まるで生気を失っているようだ。
島を覆う凪と霧が、あらゆる生命の「熱」を奪い続けているかのようだった。
俺の指先も、じんわりと冷たくなっていくのを感じた。
俺は、とりあえずキャンプベースを作り、焚き火の火をつけてみた。
乾いた薪を積み上げ、火種を灯す。
ぱちん、と小さな音がして、橙色の炎が揺らめいた。
「……火が、小さいな」
頼りなく、弱々しく揺れる炎を見つめた。
普段なら、薪を貪るように赤々と燃え上がり、周囲を暖かく照らすはずなのに。
今はまるで怯えた子犬みたいに、ぴくぴくと震えているだけだ。
炎の先端が青白く、熱がほとんど伝わってこない。
指を近づけても、じんわりとしたぬくもりすら感じられない。
確かに火の精霊は死んでいないし、存在は感じる。
でも、ここでは薪を食んで元気に燃え上がる力が……ない。
四大精霊の力だけじゃない。俺の中にある魔力、気力、体力が、じわじわと、まるで砂時計の砂のように流れ出ていく感覚があった。
皮膚の下で、何かがゆっくりと削り取られている。息をするたびに、肺の奥が冷たく締め付けられる。
まるで強大な捕食者の前で息を潜める小動物のように、俺は思った以上に危険を感じていた。
背筋が凍りつくような寒気だった。
理性ではまだ大丈夫と思ってるのに、体が勝手に震えそうになる。
この島は、ただそこにあるだけで、俺たちを食おうとしているみたいな感想が出てきた。
「エレナは大丈夫か?」
「大丈夫ですが……なぜか……わかりませんが、体が震えていますの」
エレナの声が、いつもより小さくか細い。彼女の肩が、微かに震えているのが見えた。
俺はそこらへんは守られているのでそういうのは感じないのだが……いや、感じないはずなのに、なぜか胸の奥がざわつく。
絶対精神防御のおかげで、直接的な恐怖は抑え込まれている。
この不気味さは、入り口どころか、島全体から染み出している。
俺は続けて周囲の「マナ」を探ろうと目を閉じた。
深呼吸して意識を集中。普段なら、潮のように満ちてくるはずの魔力の流れが……ないわけではないが、何かがおかしい。かなり少ないようにも思える。
周囲のマナが、生命力が……あまりにも少ないように思えた。
まるで泣いている感じがする。
この島そのものが、周囲の生命力を奪っているように思える。
魔法は使える……だが、いつもの威力は多分出ないだろうな
試しに小さな風の呪文を指先で回してみた。
いつもなら軽く渦を巻いて遊べるはずの風が、今日は弱々しく、すぐに霧に飲み込まれて消える。
出力が半分以下……いや、それ以下かもしれない。
俺の未熟な術がこの島で、どのくらい役に立つのかわからない。
最悪、ただの火遊びレベルの魔法しか出せなくなるかもな。
俺達の目の前にそびえる山脈は、霧を切り裂く黒い刃のように冷徹にも見える。
あの垂直に切り立った山脈が、ただ黙って俺たちを見下ろしている。
無言の威圧。息を潜めている巨獣の気配にも近かった。
この距離でも、木々も生え、岩肌も露出している。一見すれば自然の険山だ。
険しく切り立った崖、苔むした岩、ところどころに根を張る木々……普通の山なら、こう見えるだろう。
だが、目を凝らせば、その木々の並びはあまりに等間隔で、自然で出来るには不自然なようにも見える。
一本一本が、同じ高さ、同じ間隔、同じ角度で並んでいる。
まるで、誰かが定規で測って植えたみたいに。
枝の広がり方も、妙に均等。葉の色さえ、微妙に統一されている気がする。
もしかしたらまた超古代の代物かもしれない。
あの溝と段差の規則性といい、この木々の配置といい……自然の産物じゃない。
人工物のようにも思える。
もしくは、それを超えた何か。
もし超古代の代物だったら手に負えないかもしれない。
いや、ほぼ確実に手が負えない。
いつもぎりぎりで勝ちを拾っていたのだが、いつもの実力が出せない以上、
太刀打ちできるレベルじゃない気がする。
それでも……行かなきゃいけないんだよな。
焚き火の小さな炎が、ぱちぱちと音を立てて揺れた。
その音が、今は妙に大きく聞こえる。
この島の静けさの中で、俺たちの存在が、異物みたいに浮き上がっている。
「今日は、とりあえず周囲を調べつつ、ここで休んで、明日の朝にあのいかにも怪しいと言っている山頂を目指すか?」
焚き火の小さな炎が、ぱちぱちと頼りなげに音を立てる中、俺はエレナの方を向いてそう言った。
声を出した瞬間、自分の言葉が妙に重く響くのを感じた。
この島の静けさが、すべてを飲み込んでしまうみたいだ。
「ほ……本当に行くのですか?」
エレナの瞳が、火の光を映して揺れている。
いつもは凛とした慈悲深い目が、今はただの少女のものみたいに不安げだった。
声が上ずって、途切れ途切れになる。
「行かないとな……囚われたままになっちゃうし……エレナどうしたい?」
彼女の肩が、びくりと震えたのが見えた。
俺は慌てて手を伸ばしかけたけど、途中で止めた。触れたら、もっと壊れそうで怖かった。
「わかりませんわ……でも……怖いのです。行くといけないっていう予感があふれてきて……」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥がきゅっと締め付けられた。
エレナは神官として、神託や予感に敏感だ。でも今のは、明らかに違うと思う。
生物としての拒否としか思えてくる。
「神託か何かか?」
「アウリス様からではありませんわ。行かないといけないのはわかっておりますの。でも行くと何かが壊れそうで」
壊れる……。
エレナの言葉が、俺の頭の中で反響する。
彼女の信仰心、優しさ、強さ……それらが、この島の前で砕け散ってしまう予感。
俺はそれを想像しただけで、息が苦しくなった。
「ならエレナは、残っても構わないし、怖ければ船に戻っても……」
本当は来てもらいたい。
心の底から、そう思っている。
一人でこの島を登るなんて、想像しただけで吐き気がする。
でも、確かに俺は完全メンタル防御がなされているはずだ。
転生の際にかけられた絶対的な守り。
直接的な恐怖や絶望は、霧のようにすり抜けていく。
実際にエレナほどの恐怖を味わっていないし、理性的に行動ができているとは思うのだが……それでもこの恐怖に似た感情は何なんだ。
胸の奥底で、何かがざわめいている。
それは理性じゃ抑えきれない。
根本となる生命としての拒否なのかもしれない。
この島が、ただの場所じゃなくて、「生きているもの」に対する敵意そのものだから。
または、転生させてくれた神以上の存在かもしれない。
何か、もっと古くて、もっと巨大なものが、ここにいる。
それはわからないが、これを乗り越えないと先に進めないのはわかっていた。
瞬間移動をすれば、俺やエレナの命は助かるだろう。
一瞬でここから逃げられる。安全な場所へ。
でも……それをしたら、もう終わりだ。
冒険者でいられなくなる。
この島の前で逃げたという事実が、心に巨大な棘を刺す。
このことがトラウマになって、何もできない。何も決められない。何も行動しない。
生前のように、ただ生きているだけの存在になるような気がした。
毎日を惰性で過ごし、誰かの期待に応えず、ただ生かされてるだけの殻。
それはもう、生きているんじゃなくて、存在しているだけ。
シビとの約束が、そこで完全に反故になってしまう。
あの時、俺は誓ったんだ。
楽しく、自分で決めて幸せになると。
あの誓いを破ってしまう。
それだけは、絶対に拒否したかった。
だから俺は前に進むことを決めたのだが、エレナをそれに巻き込むわけにはいかなかった。
彼女の震える手を、そっと見つめる。
火の光が、彼女の頰に涙の跡を映していた。
俺はゆっくりと息を吐いて、言葉を探した。
「もし本当に嫌なのなら神域回帰の聖句で帰還してもらってもいいぞ」
俺は静かにそう言った。
焚き火の弱い光が、エレナの顔をぼんやりと照らす。
彼女の瞳は、涙で濡れて揺れていて、火の色が映るたびにきらりと光る。
俺の言葉を聞いた瞬間、エレナの肩が小さく震えた。
「そうしたらシビさんも諦めていただけますか?」
その声は、ほとんど囁きに近かった。
必死で、でもどこか諦めきれない響き。
彼女は俺の目を見ようとせず、膝を抱えて俯いている。
「俺は、それでも行くつもりだ」
俺の答えは、迷いなく出た。
心の奥で、何かが「行け」と囁いている。
それは恐怖じゃなくて、覚悟に近いものだった。
「きっと人が触れていい物ではありませんわ」
エレナの言葉が、ぽつりと落ちた。
彼女の声は震えていて、でもどこか確信めいた響きがあった。
この島が、ただの危険な場所じゃなくて、禁忌そのものだってことを、彼女は本能で感じ取っている。
神官としての感覚か、それとももっと深い何かか。
そうなんだろう。
エレナと知り合って数か月経つが、他の人を放置して自分だけが逃げる選択を彼女がするわけがなかった。
本能が、生きるという本能が彼女をそう言わせているのだろう。
それを信仰がとか人道的にどうだとか責められるはずがなかった。
彼女の優しさは、いつもこんな風に自分を削って成り立っている。
きっと俺も、絶対精神防御が無ければ彼女よりもっとひどいことを言って逃げていたのだろう。
「助けてくれ」「逃げたい」「もう嫌だ」って、泣き叫んでたかもしれない。
その想像が、胸を締め付ける。
「わ・わたくしったら、船の中で多数の人が苦しんでいるのに、見捨てようと致しましたわ」
エレナは突然、声を詰まらせて泣き出した。
両手で顔を覆い、肩を震わせながら、アウリス神に謝っている。
「申し訳ありません……アウリス様……わたくしは……」
嗚咽が、焚き火の音に混じって小さく響く。
その姿が、痛いほどに年相応で、守ってやりたくなる。
俺はそっとエレナの肩を抱き寄せ、頭を撫でた。
髪が柔らかくて、少し湿っている。
涙の匂いが、かすかに混じっていた。
「きっと生命のすべてがここを拒否しているんだ。それは生きとし生けるもの俺達では、仕方ないんだ」
俺の声は、自分でも意外に穏やかだった。
エレナの体温が、俺の腕に伝わってくる。
彼女はまだ震えていたけど、ゆっくりと俺の胸に寄りかかってきた。
「ならシビさんは、平気そうにしているのですか?」
エレナが、顔を上げて俺を見た。
涙で腫れた目が、火の光を映して赤く光っている。
「俺は、昔絶対精神の保護を受けてそういうものから防御されている。だけどそんな状況でも俺は、本能的に嫌だとは思っている」
正直に答えた。
防御のおかげで、頭の中は冷静だ。
でも、体は違う。
心臓の鼓動が速い。
肌が粟立つ。
息をするたびに、肺が冷たい空気で満たされる感覚。
理性と本能の間で、俺は綱渡りをしている。
俺は初めて彼女の年相応な泣き顔を見たのかもしれない。
いつもは凛として、慈愛深い周囲から聖女と言われているエレナが、今はただの少女にも見えてしまった。
俺たちは、火を絶やさぬよう、ゆっくりと身を寄せ合い夜を明かした。
焚き火の小さな炎が、ぱちぱちと音を立てる。
島の闇は、どこまでも深くて重い。
風が、山脈の方へ吸い込まれていく音が、遠くから聞こえる。
エレナの呼吸が、俺の肩に当たる。
静かで、温かくて、少し震えている。
明日の朝が来る。
俺たちは、この島の奥へ進む。
怖い。
でも、行かなきゃいけない。
火が、弱々しく揺れながらも、消えずに燃え続けていた。
波が小舟の底を叩く音が、妙に響く。島に近づくにつれ、どんどん霧が薄くなっているように思える。
いや、確かに薄くなっていた。
「変なんですが、あの島に近づくにつれ、霧が晴れていくのだから、俺達にも事故が起きなかったんですよ」
それを示すように、海面を這うように立ち込めていた濃霧が、不意に、何かに怯えるように左右へと割れた。
まるで生き物が息を潜めて逃げていくみたいに。
俺自身、そんな非論理的な事が起きるはずがないと思ってしまって、背筋がぞくりとした。
それは劇場の幕が開くかのような、あまりに鮮やかで、意図を感じさせる晴れ方だった。
まるで誰かが。この島が、俺たちをようこそと迎え入れているかのように。
「お嬢さん方……見えてきましたぜ」
操舵手の震える声に、俺達は息を呑んで前方を見上げた。
霧の奥から現れたのは、海図のどこにも記されていない、蒼白の島だった。
だが、島と呼ぶにはそれはあまりに大きすぎた。
島の中央には、天の頂を貫かんばかりにそびえ立っている山脈があった。
もはや山脈という言葉を拒絶するような黒い石柱の群れだった。
上を見ると雲を突き抜けている山々だった。
それらは自然の山が持つなだらかな裾野を一切持たず、刃のように鋭く突き立っている。
雲を突き抜け、さらにその上の、星さえ届かぬ高度へと消えていくその頂。
俺はあまりの高さに、まるで自分たちがちっぽけな存在だと言われている気にもなっていた。
それを見ていると、視界がぐるりと回り、足元がふわっと浮く感覚がした。
吐き気がこみ上げてくるのを必死で堪えた。
多分3000メートル以上はあるんだろう。
残念ながら雲が厚すぎて頂上が見えなかった。
いや、見えなくてよかったのかもしれない。
あんな高さの先にあるものなんて、想像しただけで頭が痛くなる。
「……あれは、本当に山ですの?」
エレナが呆然と呟いた。
霧が晴れるにつれ、山肌の異様さが露わになる。
黒い岩壁には、稲妻が走ったような不規則な亀裂などはどこにもなかった。
あるのは、長距離にわたって寸分の狂いもなく直下する「溝」と、円環を描く幾何学的な「段差」だけだった。
溝の深さは底が見えず、まるで無限に落ちていく闇の裂け目みたいだ。
段差は規則正しく、まるで巨大な歯車の一部を切り取ったかのように完璧だと思う。
それは自然に出来た形ではなく、なにか自然以外で出来た跡みたいにも見えた。
いや、見えたじゃなくて確信した。
誰かが、何かが、ここを意図的に削り、築いたんだ。
『ピィ……リィ……』
山脈の遥か上空、大気の薄い場所から、マッシュが言っていた笛のような音が降ってくる。
それは風の音でも鳥の声でもない。金属が擦れるような、骨が軋むような、不快な響き。
その音が響くたびに、島を囲む濃霧は吸い込まれるように山肌へ吸着し、凪いだ海面は鏡のように静まり返る。
波一つ立たず、まるで時間が止まったかのように。
その声がなくなった時だった。凄く腐ったような臭いが漂ってきた。
肉が腐り、骨まで溶け出したような、鼻腔を焼く甘ったるい腐敗臭。
吐き気が一気にこみ上げて、俺は慌てて風の乙女の力を使い、空気清浄の呪文を全員にかける。
青白い光が一瞬周囲を包み、ようやく息がしやすくなったけど……臭いの残り香は、まだ喉の奥にへばりついている。
「ここまで連れてきてくれてありがとう。俺が決めた日数が経つか合図が出るまで船で待機をしておいてくれ」
「へ…ヘイ」
そう言ってそそくさと船員は手漕ぎボートに乗り込み、すぐに船に戻った。
背中が小さくなるのを眺めながら、俺は思った。
あいつら、きっと二度とここには来たくないだろうな。
俺はそれを見届けてから周囲を確認してみた。
まるでこの世の風景ではないようにも見える。
空気は重く、肌にねっとりと絡みつく。色さえも、どこか現実離れしている。
まるで、深淵に突き立てられた巨大な心臓が、外界のすべてを吸い尽くそうと拍動しているかのような、静かなる狂気の色を帯びていた。
鼓動なんて聞こえないのに、なぜか胸の奥で、何かが……同期している気がする。
「風が……あそこに吸い込まれているのか」
確かに、微かに吹いていたはずの海風が、山脈の方へ、まるで渦を巻くように流れ込んでいく。
髪がそちらへ引っ張られる感覚。抵抗するように体を引いても、無駄だった。
砂浜には僅かながらに海藻や流木が打ち上げられ、生命の痕跡を留めてはいたが、それらすべてが灰を被ったように白く変色していた。
触れれば、ぱりぱりと音を立てて崩れそうなほど脆い。
まるで生気を失っているようだ。
島を覆う凪と霧が、あらゆる生命の「熱」を奪い続けているかのようだった。
俺の指先も、じんわりと冷たくなっていくのを感じた。
俺は、とりあえずキャンプベースを作り、焚き火の火をつけてみた。
乾いた薪を積み上げ、火種を灯す。
ぱちん、と小さな音がして、橙色の炎が揺らめいた。
「……火が、小さいな」
頼りなく、弱々しく揺れる炎を見つめた。
普段なら、薪を貪るように赤々と燃え上がり、周囲を暖かく照らすはずなのに。
今はまるで怯えた子犬みたいに、ぴくぴくと震えているだけだ。
炎の先端が青白く、熱がほとんど伝わってこない。
指を近づけても、じんわりとしたぬくもりすら感じられない。
確かに火の精霊は死んでいないし、存在は感じる。
でも、ここでは薪を食んで元気に燃え上がる力が……ない。
四大精霊の力だけじゃない。俺の中にある魔力、気力、体力が、じわじわと、まるで砂時計の砂のように流れ出ていく感覚があった。
皮膚の下で、何かがゆっくりと削り取られている。息をするたびに、肺の奥が冷たく締め付けられる。
まるで強大な捕食者の前で息を潜める小動物のように、俺は思った以上に危険を感じていた。
背筋が凍りつくような寒気だった。
理性ではまだ大丈夫と思ってるのに、体が勝手に震えそうになる。
この島は、ただそこにあるだけで、俺たちを食おうとしているみたいな感想が出てきた。
「エレナは大丈夫か?」
「大丈夫ですが……なぜか……わかりませんが、体が震えていますの」
エレナの声が、いつもより小さくか細い。彼女の肩が、微かに震えているのが見えた。
俺はそこらへんは守られているのでそういうのは感じないのだが……いや、感じないはずなのに、なぜか胸の奥がざわつく。
絶対精神防御のおかげで、直接的な恐怖は抑え込まれている。
この不気味さは、入り口どころか、島全体から染み出している。
俺は続けて周囲の「マナ」を探ろうと目を閉じた。
深呼吸して意識を集中。普段なら、潮のように満ちてくるはずの魔力の流れが……ないわけではないが、何かがおかしい。かなり少ないようにも思える。
周囲のマナが、生命力が……あまりにも少ないように思えた。
まるで泣いている感じがする。
この島そのものが、周囲の生命力を奪っているように思える。
魔法は使える……だが、いつもの威力は多分出ないだろうな
試しに小さな風の呪文を指先で回してみた。
いつもなら軽く渦を巻いて遊べるはずの風が、今日は弱々しく、すぐに霧に飲み込まれて消える。
出力が半分以下……いや、それ以下かもしれない。
俺の未熟な術がこの島で、どのくらい役に立つのかわからない。
最悪、ただの火遊びレベルの魔法しか出せなくなるかもな。
俺達の目の前にそびえる山脈は、霧を切り裂く黒い刃のように冷徹にも見える。
あの垂直に切り立った山脈が、ただ黙って俺たちを見下ろしている。
無言の威圧。息を潜めている巨獣の気配にも近かった。
この距離でも、木々も生え、岩肌も露出している。一見すれば自然の険山だ。
険しく切り立った崖、苔むした岩、ところどころに根を張る木々……普通の山なら、こう見えるだろう。
だが、目を凝らせば、その木々の並びはあまりに等間隔で、自然で出来るには不自然なようにも見える。
一本一本が、同じ高さ、同じ間隔、同じ角度で並んでいる。
まるで、誰かが定規で測って植えたみたいに。
枝の広がり方も、妙に均等。葉の色さえ、微妙に統一されている気がする。
もしかしたらまた超古代の代物かもしれない。
あの溝と段差の規則性といい、この木々の配置といい……自然の産物じゃない。
人工物のようにも思える。
もしくは、それを超えた何か。
もし超古代の代物だったら手に負えないかもしれない。
いや、ほぼ確実に手が負えない。
いつもぎりぎりで勝ちを拾っていたのだが、いつもの実力が出せない以上、
太刀打ちできるレベルじゃない気がする。
それでも……行かなきゃいけないんだよな。
焚き火の小さな炎が、ぱちぱちと音を立てて揺れた。
その音が、今は妙に大きく聞こえる。
この島の静けさの中で、俺たちの存在が、異物みたいに浮き上がっている。
「今日は、とりあえず周囲を調べつつ、ここで休んで、明日の朝にあのいかにも怪しいと言っている山頂を目指すか?」
焚き火の小さな炎が、ぱちぱちと頼りなげに音を立てる中、俺はエレナの方を向いてそう言った。
声を出した瞬間、自分の言葉が妙に重く響くのを感じた。
この島の静けさが、すべてを飲み込んでしまうみたいだ。
「ほ……本当に行くのですか?」
エレナの瞳が、火の光を映して揺れている。
いつもは凛とした慈悲深い目が、今はただの少女のものみたいに不安げだった。
声が上ずって、途切れ途切れになる。
「行かないとな……囚われたままになっちゃうし……エレナどうしたい?」
彼女の肩が、びくりと震えたのが見えた。
俺は慌てて手を伸ばしかけたけど、途中で止めた。触れたら、もっと壊れそうで怖かった。
「わかりませんわ……でも……怖いのです。行くといけないっていう予感があふれてきて……」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥がきゅっと締め付けられた。
エレナは神官として、神託や予感に敏感だ。でも今のは、明らかに違うと思う。
生物としての拒否としか思えてくる。
「神託か何かか?」
「アウリス様からではありませんわ。行かないといけないのはわかっておりますの。でも行くと何かが壊れそうで」
壊れる……。
エレナの言葉が、俺の頭の中で反響する。
彼女の信仰心、優しさ、強さ……それらが、この島の前で砕け散ってしまう予感。
俺はそれを想像しただけで、息が苦しくなった。
「ならエレナは、残っても構わないし、怖ければ船に戻っても……」
本当は来てもらいたい。
心の底から、そう思っている。
一人でこの島を登るなんて、想像しただけで吐き気がする。
でも、確かに俺は完全メンタル防御がなされているはずだ。
転生の際にかけられた絶対的な守り。
直接的な恐怖や絶望は、霧のようにすり抜けていく。
実際にエレナほどの恐怖を味わっていないし、理性的に行動ができているとは思うのだが……それでもこの恐怖に似た感情は何なんだ。
胸の奥底で、何かがざわめいている。
それは理性じゃ抑えきれない。
根本となる生命としての拒否なのかもしれない。
この島が、ただの場所じゃなくて、「生きているもの」に対する敵意そのものだから。
または、転生させてくれた神以上の存在かもしれない。
何か、もっと古くて、もっと巨大なものが、ここにいる。
それはわからないが、これを乗り越えないと先に進めないのはわかっていた。
瞬間移動をすれば、俺やエレナの命は助かるだろう。
一瞬でここから逃げられる。安全な場所へ。
でも……それをしたら、もう終わりだ。
冒険者でいられなくなる。
この島の前で逃げたという事実が、心に巨大な棘を刺す。
このことがトラウマになって、何もできない。何も決められない。何も行動しない。
生前のように、ただ生きているだけの存在になるような気がした。
毎日を惰性で過ごし、誰かの期待に応えず、ただ生かされてるだけの殻。
それはもう、生きているんじゃなくて、存在しているだけ。
シビとの約束が、そこで完全に反故になってしまう。
あの時、俺は誓ったんだ。
楽しく、自分で決めて幸せになると。
あの誓いを破ってしまう。
それだけは、絶対に拒否したかった。
だから俺は前に進むことを決めたのだが、エレナをそれに巻き込むわけにはいかなかった。
彼女の震える手を、そっと見つめる。
火の光が、彼女の頰に涙の跡を映していた。
俺はゆっくりと息を吐いて、言葉を探した。
「もし本当に嫌なのなら神域回帰の聖句で帰還してもらってもいいぞ」
俺は静かにそう言った。
焚き火の弱い光が、エレナの顔をぼんやりと照らす。
彼女の瞳は、涙で濡れて揺れていて、火の色が映るたびにきらりと光る。
俺の言葉を聞いた瞬間、エレナの肩が小さく震えた。
「そうしたらシビさんも諦めていただけますか?」
その声は、ほとんど囁きに近かった。
必死で、でもどこか諦めきれない響き。
彼女は俺の目を見ようとせず、膝を抱えて俯いている。
「俺は、それでも行くつもりだ」
俺の答えは、迷いなく出た。
心の奥で、何かが「行け」と囁いている。
それは恐怖じゃなくて、覚悟に近いものだった。
「きっと人が触れていい物ではありませんわ」
エレナの言葉が、ぽつりと落ちた。
彼女の声は震えていて、でもどこか確信めいた響きがあった。
この島が、ただの危険な場所じゃなくて、禁忌そのものだってことを、彼女は本能で感じ取っている。
神官としての感覚か、それとももっと深い何かか。
そうなんだろう。
エレナと知り合って数か月経つが、他の人を放置して自分だけが逃げる選択を彼女がするわけがなかった。
本能が、生きるという本能が彼女をそう言わせているのだろう。
それを信仰がとか人道的にどうだとか責められるはずがなかった。
彼女の優しさは、いつもこんな風に自分を削って成り立っている。
きっと俺も、絶対精神防御が無ければ彼女よりもっとひどいことを言って逃げていたのだろう。
「助けてくれ」「逃げたい」「もう嫌だ」って、泣き叫んでたかもしれない。
その想像が、胸を締め付ける。
「わ・わたくしったら、船の中で多数の人が苦しんでいるのに、見捨てようと致しましたわ」
エレナは突然、声を詰まらせて泣き出した。
両手で顔を覆い、肩を震わせながら、アウリス神に謝っている。
「申し訳ありません……アウリス様……わたくしは……」
嗚咽が、焚き火の音に混じって小さく響く。
その姿が、痛いほどに年相応で、守ってやりたくなる。
俺はそっとエレナの肩を抱き寄せ、頭を撫でた。
髪が柔らかくて、少し湿っている。
涙の匂いが、かすかに混じっていた。
「きっと生命のすべてがここを拒否しているんだ。それは生きとし生けるもの俺達では、仕方ないんだ」
俺の声は、自分でも意外に穏やかだった。
エレナの体温が、俺の腕に伝わってくる。
彼女はまだ震えていたけど、ゆっくりと俺の胸に寄りかかってきた。
「ならシビさんは、平気そうにしているのですか?」
エレナが、顔を上げて俺を見た。
涙で腫れた目が、火の光を映して赤く光っている。
「俺は、昔絶対精神の保護を受けてそういうものから防御されている。だけどそんな状況でも俺は、本能的に嫌だとは思っている」
正直に答えた。
防御のおかげで、頭の中は冷静だ。
でも、体は違う。
心臓の鼓動が速い。
肌が粟立つ。
息をするたびに、肺が冷たい空気で満たされる感覚。
理性と本能の間で、俺は綱渡りをしている。
俺は初めて彼女の年相応な泣き顔を見たのかもしれない。
いつもは凛として、慈愛深い周囲から聖女と言われているエレナが、今はただの少女にも見えてしまった。
俺たちは、火を絶やさぬよう、ゆっくりと身を寄せ合い夜を明かした。
焚き火の小さな炎が、ぱちぱちと音を立てる。
島の闇は、どこまでも深くて重い。
風が、山脈の方へ吸い込まれていく音が、遠くから聞こえる。
エレナの呼吸が、俺の肩に当たる。
静かで、温かくて、少し震えている。
明日の朝が来る。
俺たちは、この島の奥へ進む。
怖い。
でも、行かなきゃいけない。
火が、弱々しく揺れながらも、消えずに燃え続けていた。
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