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第七章 奴隷オークションで絶体絶命 <第1話>
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<第七章 第1話>
三月の最後の土曜日。午後七時過ぎ。場所は、元劇場ブルーヒル。
ステージの上で、赤毛の美少女ルビー・クールが、啖呵を切った。
「ここからは、あたしの逆襲の時間よ!」
爆笑した。観客席の大金持ちたちが。
なぜなら、彼女は全裸で、両手には、手錠をかけられている。人身売買会場のステージの上で。
客たちが、ヤジを飛ばした。
「強がり言うな!」
「おまえは、絶体絶命なんだぞ!」
「いったい、どうやって逆襲するんだ!」
「やれるもんなら、やってみろ!」
彼女をステージ上に引きづり出した男が、首輪の鎖を強く引っ張った。
ふらついたルビー・クールは、男のほうに、引き寄せられた。
男が、怒鳴った。右の拳を振り上げながら。
「おとなしくしろ!」
殴りつけた。男が。ルビー・クールを。
その直前、彼女は、両肘を同時に上げた。手錠のかかった手首を、後頭部に回して。
男の拳は、彼女の肘にあたった。
次々に、殴りつけた。左右の拳で。両肘のガードの上から。
観客席から、歓声が上がった。
いたぶられる女を見て、興奮しているのだ。
男は、右の拳を振り上げた。
そこで、いったん動きを止めた。
その瞬間だった。
ルビー・クールは、後頭部に回していた両手を、男のジャケットのふところに、入れた。左右の腋の下に。手錠は、すでに外れていた。後ろ髪に隠していたヘアピンで、解錠したのだ。
次の瞬間、男の腋の下のホルスターから、拳銃を抜いた。左右、同時に。
銃口を向けた。観客席に。ルビー・クールが。左右二挺、同時に。
その拳銃は、二十二口径の十連発回転式拳銃だ。銀色で、銃身が長い。
「動くと、撃つわよ」
冷たく、言い放った。ルビー・クールが。
だが、客たちは、事態を飲み込めなかった。
ある客が、ヤジを飛ばそうとした。
その瞬間だった。
発砲した。ルビー・クールが。左右のリボルバーを。
乾いた銃声が、響いた。次々に。
動いたのは、客の護衛たちだ。
ふところから、拳銃を抜こうとしたのだ。
護衛たちは、銃口を向ける間もなく、撃ち殺された。額を撃たれて。
射殺された護衛の数は、十名。
大金持ちの客たちの数は、全部で十名。彼らは皆、二名の護衛を連れている。
つまり、会場にいる護衛の半分が、射殺された。わずか五秒で。
残りの護衛たちは、朦朧としている。ソファーから、ずり落ちている者もいる。眠りこけて。
客の一人が、自分の護衛に怒鳴った。
「なに寝てるんだ!」
「当然よ!」
ルビー・クールが、叫んだ。
「なぜなら、飲んだからよ! 強力な睡眠薬が、たっぷりと入ったコーヒーを」
ウエイターが給仕したコーヒーを飲まなかった護衛は、すでに、全員射殺した。
客たちに、動揺が走った。
怒鳴り始めた。客たちが、口々に。
「どうなってるんだ、これは! ワシらは客だぞ!」
「こんなことして、ただですむと思っているのか!」
「ワシのワインに、なにを入れた!」
「睡眠薬を入れたのは、コーヒーだけよ。ワインやシャンパンには、なにも入れていないわ。あなたたちには、まだ、起きていてもらう必要が、あるからよ」
そう言って、ルビー・クールが、口もとだけで微笑んだ。冷ややかに。
客たちが、怒鳴り続けた。
「ふざけるな!」
「許さんぞ!」
「赤毛の女を捕らえろ!」
「おい、司会! なんとかしろ!」
司会役の男が、ふところから、三十六口径の拳銃を取り出した。
銃口を向けた。客たちに。
司会役は、ヘンドリックだ。ローランド邸の執事の一人だ。
客たちが、青ざめた。
まずい状況だと、ようやく気づいたのだ。ルビー・クールの単独犯では、ないことに。
口々に怒鳴った。客たちが。
「どういうことだ!」
「ワシらを、はめたのか!」
「そのとおりよ!」
言い放った。ルビー・クールが。
ステージ上に、美少女たちが現れた。ステージ裏から。
エメラルド・グリーン、サファイア・レイン、パール・スノーの三人だ。
彼女たち三名は、拳銃を手にしていた。
もちろん彼女たちは服を着、そのうえからコートを着込んでいる。
ルビー・クールが、言い放った。冷ややかに。銃口を向けながら。
「あなたたちはもう、絶体絶命よ」
三月の最後の土曜日。午後七時過ぎ。場所は、元劇場ブルーヒル。
ステージの上で、赤毛の美少女ルビー・クールが、啖呵を切った。
「ここからは、あたしの逆襲の時間よ!」
爆笑した。観客席の大金持ちたちが。
なぜなら、彼女は全裸で、両手には、手錠をかけられている。人身売買会場のステージの上で。
客たちが、ヤジを飛ばした。
「強がり言うな!」
「おまえは、絶体絶命なんだぞ!」
「いったい、どうやって逆襲するんだ!」
「やれるもんなら、やってみろ!」
彼女をステージ上に引きづり出した男が、首輪の鎖を強く引っ張った。
ふらついたルビー・クールは、男のほうに、引き寄せられた。
男が、怒鳴った。右の拳を振り上げながら。
「おとなしくしろ!」
殴りつけた。男が。ルビー・クールを。
その直前、彼女は、両肘を同時に上げた。手錠のかかった手首を、後頭部に回して。
男の拳は、彼女の肘にあたった。
次々に、殴りつけた。左右の拳で。両肘のガードの上から。
観客席から、歓声が上がった。
いたぶられる女を見て、興奮しているのだ。
男は、右の拳を振り上げた。
そこで、いったん動きを止めた。
その瞬間だった。
ルビー・クールは、後頭部に回していた両手を、男のジャケットのふところに、入れた。左右の腋の下に。手錠は、すでに外れていた。後ろ髪に隠していたヘアピンで、解錠したのだ。
次の瞬間、男の腋の下のホルスターから、拳銃を抜いた。左右、同時に。
銃口を向けた。観客席に。ルビー・クールが。左右二挺、同時に。
その拳銃は、二十二口径の十連発回転式拳銃だ。銀色で、銃身が長い。
「動くと、撃つわよ」
冷たく、言い放った。ルビー・クールが。
だが、客たちは、事態を飲み込めなかった。
ある客が、ヤジを飛ばそうとした。
その瞬間だった。
発砲した。ルビー・クールが。左右のリボルバーを。
乾いた銃声が、響いた。次々に。
動いたのは、客の護衛たちだ。
ふところから、拳銃を抜こうとしたのだ。
護衛たちは、銃口を向ける間もなく、撃ち殺された。額を撃たれて。
射殺された護衛の数は、十名。
大金持ちの客たちの数は、全部で十名。彼らは皆、二名の護衛を連れている。
つまり、会場にいる護衛の半分が、射殺された。わずか五秒で。
残りの護衛たちは、朦朧としている。ソファーから、ずり落ちている者もいる。眠りこけて。
客の一人が、自分の護衛に怒鳴った。
「なに寝てるんだ!」
「当然よ!」
ルビー・クールが、叫んだ。
「なぜなら、飲んだからよ! 強力な睡眠薬が、たっぷりと入ったコーヒーを」
ウエイターが給仕したコーヒーを飲まなかった護衛は、すでに、全員射殺した。
客たちに、動揺が走った。
怒鳴り始めた。客たちが、口々に。
「どうなってるんだ、これは! ワシらは客だぞ!」
「こんなことして、ただですむと思っているのか!」
「ワシのワインに、なにを入れた!」
「睡眠薬を入れたのは、コーヒーだけよ。ワインやシャンパンには、なにも入れていないわ。あなたたちには、まだ、起きていてもらう必要が、あるからよ」
そう言って、ルビー・クールが、口もとだけで微笑んだ。冷ややかに。
客たちが、怒鳴り続けた。
「ふざけるな!」
「許さんぞ!」
「赤毛の女を捕らえろ!」
「おい、司会! なんとかしろ!」
司会役の男が、ふところから、三十六口径の拳銃を取り出した。
銃口を向けた。客たちに。
司会役は、ヘンドリックだ。ローランド邸の執事の一人だ。
客たちが、青ざめた。
まずい状況だと、ようやく気づいたのだ。ルビー・クールの単独犯では、ないことに。
口々に怒鳴った。客たちが。
「どういうことだ!」
「ワシらを、はめたのか!」
「そのとおりよ!」
言い放った。ルビー・クールが。
ステージ上に、美少女たちが現れた。ステージ裏から。
エメラルド・グリーン、サファイア・レイン、パール・スノーの三人だ。
彼女たち三名は、拳銃を手にしていた。
もちろん彼女たちは服を着、そのうえからコートを着込んでいる。
ルビー・クールが、言い放った。冷ややかに。銃口を向けながら。
「あなたたちはもう、絶体絶命よ」
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