穢れた、記憶の消去者

 望んだ記憶だけを消すことができる技術「記憶消去方」。
 この、記憶消去方を開発していたエンジニアの一人であった筧葉子(かけいようこ)が、ある日突然自殺した。
 葉子の死を苦痛に感じていた婚約者の仁平薫(にへいかおる)は、記憶の一部を消すことで、気持ちを切り替え前を向こうとしていた。
 そんな彼の元に、心の傷をえぐるかのように、葉子とよく似た容姿を持つ少女、柚乃(ゆの)が現れる。
 すべての記憶を失っていると自称する彼女は、しかし、なぜか薫の名前だけは覚えているのだという。
 また、柚乃の頭の中には、誰のものかわからない他人の記憶が宿っていて?
 同じように薫の頭の中にも、他人の記憶がいつの間にか宿っていたのだった。
 なぜ、他人の記憶が二人の頭に宿っていたのか?
 はたして柚乃は何者なのか?
 次第に謎が紐解けていく中、薫の元に葉子からの遺言(ゆいごん)が届いた。

※表紙イラストは、SKIMAを通じて知さまに描いていただきました。ありがとうございました。
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