【R18】恋を知らない令嬢と死を望む化物のはなし

てへぺろ

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36. 十一日目昼➀

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 今日も今日とて猛るシウリールへの気持ちを趣味部屋でおさめ、力をためこんだアストンは、執務室へと戻る。
 
 ふと見れば、机の上に郵便物が置かれていた。
 茶色くてやや厚みがある小包だ。

 もうひとつの茶色い小包を手に取り、ひっくり返す。
 裏側には、魔獣狩り組織の公式印が押されていた。

(なんの用だ、山賊くずれどもが)

 乱雑にペーパーナイフで勢い良く包みに切れ目を入れる。苛立ちのあまり手元がぶれ、中の便箋にまで切れ込みが入ったが、全く気にならない。
 便箋には、綺麗な文字がしたためられていた。

 ”何度かご要望頂いていた物です。お役立てください”

 手紙とともに、薄ピンク色の液体で満たされた小瓶が入っていた。中には小さな肉片が浮かんでいる。

「……胚酒!?」

 思わず、アストンは叫んでいた。

 クローディル家が魔獣狩りの利権に関わるだけあって、アストンはそれが何か知っていた。少し飲ませるだけでどんな相手でも、酩酊状態にさせる無味無臭の液体。
 例えば、たおやかな令嬢も、彼女を守る護衛役も。

(要望した覚えはなかったが、魔獣の利権を食い荒らした詫びのつもりか)

 ぺらぺらと手帳をめくり、今日のスケジュールを確認する。
 ちょうど手頃な催し物があることに、アストンは気づいた。

(仮面舞踏会か。少し、遊んでみるか)

 瓶に入ったピンク色の液体を、陽に透かし、アストンは楽しい妄想に耽るのだった。
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