異世界ハードモード!〜持ってるチートスキルが使えなくても強くなれる剣士として努力を続けようと思います!〜

ちょっと黒い筆箱

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第6章 灰の反逆

第103話 拝啓地獄より愛を込めて

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「っしゃ行くぜぇぇぇ!!!!」

 俺とレオノラはニシュラブ目掛けて走り出す。地面も既に崩壊が始まっていていよいよヤバいって事を実感させられる。

「やめろ......来るな......来るなぁァァァッ!!!!」

 極大光線レーザーの乱射ッ!!!! でも今の俺は最高に強い!!

「覚醒した俺がそんなもんで死ぬと思うなよォ!!!! 前までの俺とは違う!!」

 空中に跳び上がって刃を優しく振り抜く。
 両断された二丈の光線は俺のすぐ後ろで爆発して消滅した。

「なにィ!? 先程まで避ける事しか出来なかったのに――――」

「言っただろ? 前までの俺とは違うって!!」

「この距離なら避けれまい! 死ね!」

 俺に向けて光線が充填される! 至近距離で斬るのタイミング難しいんだよ――――

「ニシュラブ......余所見をするな。俺もいるぞ」

「レオノラが光線の上を走ってる!?」

 原理はよく分からんけどアイツすげぇ!

「いつの間に後ろへッ!?」

「マツル! 少し真似させて貰うぞ【灰魔法“創成クリエイト”・灰刃剣シュバルツ】」

 灰で造られた剣!? 構えはめちゃくちゃだけどニシュラブを斬るという気概が感じられる! これならいける!!

「「ハァァァァァァッ!!!!」」

「ガァァァァァッ!?!?」

 二つの剣閃がニシュラブの胴を裂く。ナマコ神様の言ってた通り今なら斬れる。今なら殺せる。

「チッ......一撃で折れてしまった。慣れないことはするものじゃないな」

「筋は良いと思うぜ?」

「肌に合ってない。ホラ、とっとと決着を着けるぞ」

 俺達が止めを刺そうとしたら、地に堕ち、びくりと震えながらニシュラブは叫んだ。

「まだだ!! 貴様等下等な人間風情に私が負ける事など絶対に無い!!【闇血魔法 碧血の煉獄闇球BLUE・D・クリムゾン】ッッ!!!!」

 身体の中心部から生み出される惑星規模の闇血の魔力球......あれが当たったらどうこうじゃなくて今、存在するだけで草は急速に枯れ、湿地の水が蒸発している。

「うわ......でっか......」

「もういい!! 徐々に世界を作り直そうと思ったがもういいのだ!! この私究極の魔法で世界を一撃で粉々に消し飛ばしてくれるわ!! ハハハハハハァ!!」

「どうする? 多分アレ真っ二つに斬ってもその後の大爆発でこの星消し飛ぶぞ?」

 まさかこれだけの規模の魔法で勝負を決めに来るとは.....これニシュラブも無事じゃ済まないだろ。

「今俺に名案が浮かんだ。マツル、お前に本体の方を任せて良いか?」

「おっけ任された」

「フゥーゥ......」

 大きく息を吸い、集中を高める。

 全力で闘気を循環させろ......身体能力を極限まで引き上げろ......大丈夫だ。俺の蹴る地面も身体の中で闘気に変換される空気中の自然エネルギーも全部俺の味方だ!

「貴様等がどう足掻こうと世界の滅亡はもう決まったのです!! いい加減諦めたらどうです!?」

「やだね! この世界が無くなったらどうやって俺は元の世界に帰るんだ!? いいか? 世間知らずの神サマ気取りに教えてやる! 世の中大体の事には基盤が必要なんだよ! 俺はこの世界で生きる! その基盤せかいを終わらせる訳にはいかねぇ!!」

「今の私は無敵だ! この力があれば全てを思いのままに動かせる! 貴様も動けぇぇぇ!!!!【闇血魔法 意図引く滅世の血盟キング・ブラッドレイ】!!!!」

 糸みたいに細い、当たれば即死の無数の血糸......

「遅せぇよ...... 【我流“防御剣術”流静ながし颯免そうめん】」

 音も無く全ての血の糸は斬り捨てられる。どんなに数があろうと俺に見える速度で尚且つ斬れるなら当たらねぇよ。

「全部斬っ――――!? おかしいだろ!! やめろ......助けてくれ! もう何もしない! だから頼むっ!!」

 見苦しい命乞いだな......俺の刀を握る手は全く力が緩まない。

 あれだけ人の事をバカにして......今まで沢山の人の命を奪って、自分だけは助かろうとしてる。そんな奴は地獄に堕ちればいい。

――――この技を教えてくれた時親父は言ってた。

『いいか? この技は無闇に使っちゃならねぇ。ここぞという時に己の限界を超えた気力で放たれて初めてこの技は“最強”になる。俺が地獄に行った時に編み出した技だ――――』

 使うなら今だろ!!

「じゃあなニシュラブ。依頼完了だ」

「止めッ――――」

西宵さいしょう流“奥義”紅蓮】

 その刃は地獄の業火を纏い、ニシュラブを両断した。

「イヤダ!!!! ヂニタグッ!! ヂニタグナッ――――ア゛ッ――――!!!!」

 およそ一人の人間の、一本の刀から出たとは信じられない爆発的な熱が二つに割れたニシュラブの身体に収束する。

 その業火は数兆度に達するも一切外に漏れ出る事は無く、ニシュラブの細胞を一つ遺さず消し去った後嘘のように消え去った。

「勝った......勝ったぞぉぉぉぉお?......お?」

 しまった......体力も気力も奥義で使い果たしちゃった......立てねぇ。

「そうだレオノラ......おーいレオノラぁ......そっちはどうだぁ~?」

 世界の崩壊は止まってるし周囲にそれらしい物は見えないから多分成功はしていると思うが......命を賭した禁術的なので死んでないよな?

「そっちも終わったようだな。これはお前にやる。必要なんだろう?」

 そう言って俺の目の前に放り投げられたのは手のひらサイズの闇の欠片? であった。

「......なにこれ?」

「お前が闇の欠片を集めているというのは知っていたからな。さっきのニシュラブの切り札魔法碧血の煉獄闇球を【次元魔法 次元圧縮ディメンション・イリュージョン】で圧縮して作った擬似“闇の欠片”だ。持って行け」

 うぉぉぉまじか!! でもニシュラブの血の魔法とか諸々不純物が混ざってるんじゃないのか?

『そこら辺は私が濾過する時に一緒に濾してあげるよ! お手柄だよ!』

 まじか!! これでまた一歩本物の創世神復活に近付いた訳だな!

「――――マツルー!!!! お兄ちゃーーーん!!!!」

 ホノラが崩れかけの城から走って出てきた。

 霧がかかって湿気っぽかったインキクセー湿原に溢れんばかりの太陽の光が降り注いでいる。
 
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