113 / 135
閑話
第113話 益荒男鰤②
しおりを挟む
「ここに......いるのか......?」
俺達はマスラオブリが居るという浜辺へと到着していた。
辺りを見回してみるが、特に変わった所もない、普通の海だ。
「私達以外に生き物の気配もしないし......もうここにはいないんじゃないの?」
「だとしても依頼が指定してる場所はここなんだ。待つしか――――」
突然、目を開けていられない程の突風が俺達を襲った。
「ッッ!? ホノラ、モフロー!! 大丈夫か!?」
「大丈夫よ!!」
「我の事も心配には及ばん!!」
なんなんだこの風!? まさかこれがマスラオブリ? そんな訳無い!とも言えないんだよなぁ......
「――お、風が止んだ......」
おかしい。足場が不安定だ。まるで水の上に浮かべられた物の上に立っているみたいな......
「なっ!! いつの間に船の上に!?」
俺達はいつの間にか、海のど真ん中に浮かべられた、人二人が乗るのにやっとな大きさの船の上にいた。
「マツル......私達さっきまで浜辺にいたわよね?」
『どうやら強制的に転移させられたみたいだね』
「どうやら強制的に転移させられたみたいだな......」
『ちょっ! それ今私が言ったのに~!』
すまん。今は情報を全員で共有するのが先だと思って。
「小僧! ホノラ! 無事か!!」
「モフロー! そうかお前は水の上も走れるから! よかった! お前だけ来てないんじゃないかと思って!」
「どうやら我のみ少し離れた場所へ転移させられたみたいだ!............それより感じるか? 遥か海底より近付いて来る圧倒的な強圧感を......」
「強圧感? そんなもの何も――――ッッ!?」
感じる。背中にひんやりと伝わる熱......今までの相手とは違う圧......
「何......この感じ......」
ホノラも同じモノを感じ取ったみたいだ。
意識させられたら最後、全身を呑み込まれてしまいそうなオーラ......来る!
「ゴルギュォオオォォ!!!!」
海上に現れたのは、筋骨隆々の人間の手足を貼り付けたような魚であった。
ただ一つ他の手足付きの魚と違うのは、頭から尾まで100メートルはあろうかと言う程にデカかった事だ。
「何アレ!? でっか!!」
「コイツが......マスラオブリ......」
別にこの魚が名乗った訳では無い。だが本能がそう感じ取ってしまった。それだけで戦意を削ぎ落とすには十分な時間を俺達は与えられていた。
背骨を鷲掴みにされたような感覚......身体が動かない......
「小僧! ホノラ! 舟を少し離せ! 我が殺ってみる!! 【閃狼魔法・轟狼六光雷】」
「お、おう! ホノラ! 漕ぐぞ!!」
「うん!」
俺達が舟を少し離れさせるのを確認した後、モフローが魔法を放った。
「グリュォォォオォ......」
否、放とうとした。
マスラオブリが口から音を出すと、モフローは普段俺の頭に乗っかっている時の白饅頭の姿になり海へ落ちてしまった。
「モフロー! 大丈夫か!?」
急いで舟上へ引き上げる......明らかに衰弱している......今アイツ......何したんだ?
『これは......体内に魔力が殆ど残っていない......このまま放置しておくのは危険だ!!』
まじかよ......どうする......考えろ......
周囲に陸らしきものは見えない。足場は人二人が乗るのがやっとな小舟のみ。目の前には何してくるのか分からないマスラオブリ......
ナマコ神様、今俺達がどこにいるのか、急いで解析してくれ。分かり次第即逃げる。
『分かった。ってマツル君......まさか!?』
正直もうちょっと気軽に戦えると思ってたんだが......俺が甘過ぎたな。
「――ホノラ、いけるか?」
「もちろん! 殺す勢いで、よね?」
「それくらいの心意気でいかないとなァ!!」
全力で闘って情報を持ち帰る!!
俺達はマスラオブリが居るという浜辺へと到着していた。
辺りを見回してみるが、特に変わった所もない、普通の海だ。
「私達以外に生き物の気配もしないし......もうここにはいないんじゃないの?」
「だとしても依頼が指定してる場所はここなんだ。待つしか――――」
突然、目を開けていられない程の突風が俺達を襲った。
「ッッ!? ホノラ、モフロー!! 大丈夫か!?」
「大丈夫よ!!」
「我の事も心配には及ばん!!」
なんなんだこの風!? まさかこれがマスラオブリ? そんな訳無い!とも言えないんだよなぁ......
「――お、風が止んだ......」
おかしい。足場が不安定だ。まるで水の上に浮かべられた物の上に立っているみたいな......
「なっ!! いつの間に船の上に!?」
俺達はいつの間にか、海のど真ん中に浮かべられた、人二人が乗るのにやっとな大きさの船の上にいた。
「マツル......私達さっきまで浜辺にいたわよね?」
『どうやら強制的に転移させられたみたいだね』
「どうやら強制的に転移させられたみたいだな......」
『ちょっ! それ今私が言ったのに~!』
すまん。今は情報を全員で共有するのが先だと思って。
「小僧! ホノラ! 無事か!!」
「モフロー! そうかお前は水の上も走れるから! よかった! お前だけ来てないんじゃないかと思って!」
「どうやら我のみ少し離れた場所へ転移させられたみたいだ!............それより感じるか? 遥か海底より近付いて来る圧倒的な強圧感を......」
「強圧感? そんなもの何も――――ッッ!?」
感じる。背中にひんやりと伝わる熱......今までの相手とは違う圧......
「何......この感じ......」
ホノラも同じモノを感じ取ったみたいだ。
意識させられたら最後、全身を呑み込まれてしまいそうなオーラ......来る!
「ゴルギュォオオォォ!!!!」
海上に現れたのは、筋骨隆々の人間の手足を貼り付けたような魚であった。
ただ一つ他の手足付きの魚と違うのは、頭から尾まで100メートルはあろうかと言う程にデカかった事だ。
「何アレ!? でっか!!」
「コイツが......マスラオブリ......」
別にこの魚が名乗った訳では無い。だが本能がそう感じ取ってしまった。それだけで戦意を削ぎ落とすには十分な時間を俺達は与えられていた。
背骨を鷲掴みにされたような感覚......身体が動かない......
「小僧! ホノラ! 舟を少し離せ! 我が殺ってみる!! 【閃狼魔法・轟狼六光雷】」
「お、おう! ホノラ! 漕ぐぞ!!」
「うん!」
俺達が舟を少し離れさせるのを確認した後、モフローが魔法を放った。
「グリュォォォオォ......」
否、放とうとした。
マスラオブリが口から音を出すと、モフローは普段俺の頭に乗っかっている時の白饅頭の姿になり海へ落ちてしまった。
「モフロー! 大丈夫か!?」
急いで舟上へ引き上げる......明らかに衰弱している......今アイツ......何したんだ?
『これは......体内に魔力が殆ど残っていない......このまま放置しておくのは危険だ!!』
まじかよ......どうする......考えろ......
周囲に陸らしきものは見えない。足場は人二人が乗るのがやっとな小舟のみ。目の前には何してくるのか分からないマスラオブリ......
ナマコ神様、今俺達がどこにいるのか、急いで解析してくれ。分かり次第即逃げる。
『分かった。ってマツル君......まさか!?』
正直もうちょっと気軽に戦えると思ってたんだが......俺が甘過ぎたな。
「――ホノラ、いけるか?」
「もちろん! 殺す勢いで、よね?」
「それくらいの心意気でいかないとなァ!!」
全力で闘って情報を持ち帰る!!
0
あなたにおすすめの小説
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!
ninjin
ファンタジー
病弱だった少女は14歳の若さで命を失ってしまった・・・かに思えたが、実は異世界に転移していた。異世界に転移した少女は病弱だった頃になりたかった元気な体を手に入れた。しかし、異世界に転移して手いれた体は想像以上に頑丈で怪力だった。魔法が全ての異世界で、魔法が使えない少女は頑丈な体と超絶な怪力で無双する。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
過労死して転生したら『万能農具』を授かったので、辺境でスローライフを始めたら、聖獣やエルフ、王女様まで集まってきて国ごと救うことになりました
黒崎隼人
ファンタジー
過労の果てに命を落とした青年が転生したのは、痩せた土地が広がる辺境の村。彼に与えられたのは『万能農具』という一見地味なチート能力だった。しかしその力は寂れた村を豊かな楽園へと変え、心優しきエルフや商才に長けた獣人、そして国の未来を憂う王女といった、かけがえのない仲間たちとの絆を育んでいく。
これは一本のクワから始まる、食と笑い、もふもふに満ちた心温まる異世界農業ファンタジー。やがて一人の男のささやかな願いが、国さえも救う大きな奇跡を呼び起こす物語。
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる