24 / 176
第24話 世界を叉に掛ける謎
しおりを挟む
「ファイアボール!」
フラウが放った魔術が、クラウド・ウィスプを直撃する。
クラウド・ウィスプは弾け飛び、跡形もなく四散していった。
僕ははぁっと息を吐きながら、小さくぼやいた。
「……帰りたい……」
「魔物の一匹くらいで腐らないでよ。ちゃんと倒してあげたんだから、いいでしょ」
慰めているつもりなのか、僕の肩に手を置いて言うフラウ。
マテリアさんは台座の方に向けていた目を僕へと向けた。
「台座に書かれた文章の謎は……分かりそう?」
「いや。さっぱりだ。多分謎を解くにはピースが足りない」
僕は小さく首を振って答えた。
おそらくだが、此処を見ただけじゃ台座の文章が示すものは分からない。他の部屋も調べてみなければ、予想のよの字も出てはこないだろう。
彼女は残念そうに肩を竦めて、部屋の外を見た。
「なら、先に進むわよ。目的地はもっと奥の方にあるんだから」
「なあ、魔物がいたんだから僕を先頭にするのはやめてくれよ。鉢合わせしたら危ないだろ」
「私たちは魔術師だから前線に立つには向いてないのよ。貴方も冒険者だったならそれくらい分かるでしょう?」
「僕が元冒険者だって分かってるなら先頭に立たせるなよ! あんたたちの感覚はおかしい!」
ぎゃあぎゃあ言いながら、僕たちは更に奥へと進んでいった。
幸い物音に反応して襲ってくるような魔物の存在はなく、僕たちは無事に、マテリアさんが言う目的の部屋に到着した。
それは、今までに見た部屋の中で最も大きな間取りを備えた部屋だった。
広さは、大雑把に見ても五十メートル四方はある。天井も高く、広い分設置されている石像の数も多い。
部屋の中央にはひときわ大きな石像があり、それはあちこち罅割れてはいるがほぼ完全な形で残っていた。
重厚そうな鎧を纏った騎士のような姿をしており、背中には立派な鳥の翼が生えている。右手には剣を、左手には大きな盾を持ち、この広い空間をまっすぐに見つめている。
大きさは二メートルほど。今までに見た石像とは違って台座に乗っており、台座には錬金文字でこう記されていた。
「『トワルの守護騎士・ウルズ』」
「トワル?」
「ルマ文明が栄える前の時代の文明ね」
フラウの質問にマテリアさんが答える。
「トワル文明では、運命の三女神という神々が信仰されていたの。おそらくそれを象った像なのね」
「今までの調査で分かってなかったのか?」
「この遺跡に足を踏み入れた錬金術師は貴方が初めてなのよ、シルカ君。錬金術師でない人が錬金文字を読めるわけがないじゃない」
「……まあ、そう言われたらそうなんだろうけど……」
僕は部屋を見回した。
そして、部屋の奥に目が向いた。
部屋の奥──閉ざされた扉があり、その前に崩れた壁が瓦礫となって積もっている。扉の両脇には像が二体立っており、それらも扉同様瓦礫に埋もれていた。
僕はそちらを指差した。
「あれは?」
「あれが、今発掘中の像よ。石の欠片もあそこから出てきたの」
僕たちは扉の前に足を運んだ。
扉はがっちりと閉ざされており、指を引っ掛けられる部分もないので開くことはできそうにない。
両脇の像は今までの石像と違って上半身裸にスカートのような腰巻だけという何とも淋しい格好をしている。しかしそれ以上に特徴的なのが、頭だ。
明らかに人間のそれとは違った平べったい頭をしており、表面には何かの模様が刻まれているのだ。模様の形は左の像と右の像とでは異なっており、これは二体でセットのようにも、全く別々の個体のようにも見える。
模様が表しているものは──何なのか、分からない。
瓦礫に目を向けてみると、他の石に埋もれるようにして、文字の書かれた板のようなものが埋まっているのに気が付いた。
マテリアさんが見せてくれた石の欠片は、此処から取ったもので間違いないようだ。
僕はランタンをフラウに預け、板の上に乗っている瓦礫を丁寧に取り除いていった。
板の表面は傷だらけで一部欠けている部分もあるが、何とか文字を読むことはできそうだ。
「マテリアさん。あの石の欠片を貸して」
僕はマテリアさんから石を受け取り、欠けている部分に填め込んだ。
完成した文章を、口に出して読む。
「『森羅万象の四柱が立つ時、我が心臓へと続く扉は開かれる。』」
「此処でも、森羅万象の四柱……」
フラウが眉を顰めた。
「多分、あの台座には何か仕掛けがあって、あそこで何かをすると此処の扉が開くようになってるんだろうね。ダンジョンとかではよくある仕掛けだよ」
それには僕も同意見だ。
これは僕の憶測だが、あの台座はおそらくひとつではない。予想では、四つ──この遺跡の何処かに点在していると思われる。
同じように文章が刻まれた台座が設置されていると、思うのだ。
あの台座に何をすればこの扉が開くのか、それはまだ分からない。
そして、多分──今の僕たちでは、この扉を開くことはできない。
この遺跡に秘められた謎を解くには、圧倒的にピースが足りないのだ。
そのピースを得るには、この遺跡をより細部まで調査するか、あるいは──世界中を巡って情報を集める必要があるのだろう。
「今の僕たちでは、多分この謎は解けない。もっと多くの情報が必要なんだと思う」
僕は立ち上がって、フラウからランタンを受け取った。
部屋を見回して、言う。
「この遺跡の中だけじゃなくて、世界中の……それこそ辺境の地に眠ってるような伝承も調査して集めた知識が必要なんだ」
それを調べるのは、世界を歩くことをやめた僕の役目ではない。
僕はフラウに目を向けた。
「フラウ。これはお前の使命だ。お前が世界中を歩いて集めた知識がこの遺跡の謎を解明するのには必要なんだよ」
「……あたし?」
フラウは目を瞬かせた。
「あたし一人が使命を背負うって、何か大袈裟じゃない?」
「いや。これはお前じゃないと駄目だ。世界中を旅する冒険者のお前じゃないと解けない謎なんだ」
「…………」
フラウは目を僅かに伏せて考え込んだ後、口を開いた。
「ねえ、シルカ……冒険者に戻らない? 一緒にこの謎を解くための旅に出ようよ。一人より二人の方が、きっといいと思うんだ」
「……僕はもう冒険者に戻る気はない。何度言われても、その決意を曲げるつもりはないからな」
僕ははっきりと言った。
僕の返答に淋しそうな顔をするフラウの背中にそっと触れて、微笑む。
「旅には出ないけど……あの店で、僕ができることでの協力はしてやるから。それは約束してやるからさ」
「……そう」
彼女は更に考え込んで口を閉ざし──
やがて、吹っ切れたように顔を上げて、笑った。
「分かった。あたし、旅に出るよ。アラグみたいに世界中を駆け回って、きっとこの謎、解いてみせるから!」
「フラウさんだけに任せてはいられないわね」
そう言って微笑んだのはマテリアさん。
「私も、此処の調査を続けるわ。そして、謎が解けたら──必ず、貴方たちに報告しに行くわ。私たちは、同じ使命を共有した仲間なんだもの」
彼女は腕を伸ばして、僕とフラウの肩を抱いた。
そのまま、僕たちはしばしの間笑い合った。
「さあ、戻りましょう。これから忙しくなるわよ」
こうして、無事に調査を終えた僕たちは遺跡を後にした。
霧がすっかり晴れた高原の景色は、何処までも緑の絨毯が続いたそれは見事なものだった。
フラウが放った魔術が、クラウド・ウィスプを直撃する。
クラウド・ウィスプは弾け飛び、跡形もなく四散していった。
僕ははぁっと息を吐きながら、小さくぼやいた。
「……帰りたい……」
「魔物の一匹くらいで腐らないでよ。ちゃんと倒してあげたんだから、いいでしょ」
慰めているつもりなのか、僕の肩に手を置いて言うフラウ。
マテリアさんは台座の方に向けていた目を僕へと向けた。
「台座に書かれた文章の謎は……分かりそう?」
「いや。さっぱりだ。多分謎を解くにはピースが足りない」
僕は小さく首を振って答えた。
おそらくだが、此処を見ただけじゃ台座の文章が示すものは分からない。他の部屋も調べてみなければ、予想のよの字も出てはこないだろう。
彼女は残念そうに肩を竦めて、部屋の外を見た。
「なら、先に進むわよ。目的地はもっと奥の方にあるんだから」
「なあ、魔物がいたんだから僕を先頭にするのはやめてくれよ。鉢合わせしたら危ないだろ」
「私たちは魔術師だから前線に立つには向いてないのよ。貴方も冒険者だったならそれくらい分かるでしょう?」
「僕が元冒険者だって分かってるなら先頭に立たせるなよ! あんたたちの感覚はおかしい!」
ぎゃあぎゃあ言いながら、僕たちは更に奥へと進んでいった。
幸い物音に反応して襲ってくるような魔物の存在はなく、僕たちは無事に、マテリアさんが言う目的の部屋に到着した。
それは、今までに見た部屋の中で最も大きな間取りを備えた部屋だった。
広さは、大雑把に見ても五十メートル四方はある。天井も高く、広い分設置されている石像の数も多い。
部屋の中央にはひときわ大きな石像があり、それはあちこち罅割れてはいるがほぼ完全な形で残っていた。
重厚そうな鎧を纏った騎士のような姿をしており、背中には立派な鳥の翼が生えている。右手には剣を、左手には大きな盾を持ち、この広い空間をまっすぐに見つめている。
大きさは二メートルほど。今までに見た石像とは違って台座に乗っており、台座には錬金文字でこう記されていた。
「『トワルの守護騎士・ウルズ』」
「トワル?」
「ルマ文明が栄える前の時代の文明ね」
フラウの質問にマテリアさんが答える。
「トワル文明では、運命の三女神という神々が信仰されていたの。おそらくそれを象った像なのね」
「今までの調査で分かってなかったのか?」
「この遺跡に足を踏み入れた錬金術師は貴方が初めてなのよ、シルカ君。錬金術師でない人が錬金文字を読めるわけがないじゃない」
「……まあ、そう言われたらそうなんだろうけど……」
僕は部屋を見回した。
そして、部屋の奥に目が向いた。
部屋の奥──閉ざされた扉があり、その前に崩れた壁が瓦礫となって積もっている。扉の両脇には像が二体立っており、それらも扉同様瓦礫に埋もれていた。
僕はそちらを指差した。
「あれは?」
「あれが、今発掘中の像よ。石の欠片もあそこから出てきたの」
僕たちは扉の前に足を運んだ。
扉はがっちりと閉ざされており、指を引っ掛けられる部分もないので開くことはできそうにない。
両脇の像は今までの石像と違って上半身裸にスカートのような腰巻だけという何とも淋しい格好をしている。しかしそれ以上に特徴的なのが、頭だ。
明らかに人間のそれとは違った平べったい頭をしており、表面には何かの模様が刻まれているのだ。模様の形は左の像と右の像とでは異なっており、これは二体でセットのようにも、全く別々の個体のようにも見える。
模様が表しているものは──何なのか、分からない。
瓦礫に目を向けてみると、他の石に埋もれるようにして、文字の書かれた板のようなものが埋まっているのに気が付いた。
マテリアさんが見せてくれた石の欠片は、此処から取ったもので間違いないようだ。
僕はランタンをフラウに預け、板の上に乗っている瓦礫を丁寧に取り除いていった。
板の表面は傷だらけで一部欠けている部分もあるが、何とか文字を読むことはできそうだ。
「マテリアさん。あの石の欠片を貸して」
僕はマテリアさんから石を受け取り、欠けている部分に填め込んだ。
完成した文章を、口に出して読む。
「『森羅万象の四柱が立つ時、我が心臓へと続く扉は開かれる。』」
「此処でも、森羅万象の四柱……」
フラウが眉を顰めた。
「多分、あの台座には何か仕掛けがあって、あそこで何かをすると此処の扉が開くようになってるんだろうね。ダンジョンとかではよくある仕掛けだよ」
それには僕も同意見だ。
これは僕の憶測だが、あの台座はおそらくひとつではない。予想では、四つ──この遺跡の何処かに点在していると思われる。
同じように文章が刻まれた台座が設置されていると、思うのだ。
あの台座に何をすればこの扉が開くのか、それはまだ分からない。
そして、多分──今の僕たちでは、この扉を開くことはできない。
この遺跡に秘められた謎を解くには、圧倒的にピースが足りないのだ。
そのピースを得るには、この遺跡をより細部まで調査するか、あるいは──世界中を巡って情報を集める必要があるのだろう。
「今の僕たちでは、多分この謎は解けない。もっと多くの情報が必要なんだと思う」
僕は立ち上がって、フラウからランタンを受け取った。
部屋を見回して、言う。
「この遺跡の中だけじゃなくて、世界中の……それこそ辺境の地に眠ってるような伝承も調査して集めた知識が必要なんだ」
それを調べるのは、世界を歩くことをやめた僕の役目ではない。
僕はフラウに目を向けた。
「フラウ。これはお前の使命だ。お前が世界中を歩いて集めた知識がこの遺跡の謎を解明するのには必要なんだよ」
「……あたし?」
フラウは目を瞬かせた。
「あたし一人が使命を背負うって、何か大袈裟じゃない?」
「いや。これはお前じゃないと駄目だ。世界中を旅する冒険者のお前じゃないと解けない謎なんだ」
「…………」
フラウは目を僅かに伏せて考え込んだ後、口を開いた。
「ねえ、シルカ……冒険者に戻らない? 一緒にこの謎を解くための旅に出ようよ。一人より二人の方が、きっといいと思うんだ」
「……僕はもう冒険者に戻る気はない。何度言われても、その決意を曲げるつもりはないからな」
僕ははっきりと言った。
僕の返答に淋しそうな顔をするフラウの背中にそっと触れて、微笑む。
「旅には出ないけど……あの店で、僕ができることでの協力はしてやるから。それは約束してやるからさ」
「……そう」
彼女は更に考え込んで口を閉ざし──
やがて、吹っ切れたように顔を上げて、笑った。
「分かった。あたし、旅に出るよ。アラグみたいに世界中を駆け回って、きっとこの謎、解いてみせるから!」
「フラウさんだけに任せてはいられないわね」
そう言って微笑んだのはマテリアさん。
「私も、此処の調査を続けるわ。そして、謎が解けたら──必ず、貴方たちに報告しに行くわ。私たちは、同じ使命を共有した仲間なんだもの」
彼女は腕を伸ばして、僕とフラウの肩を抱いた。
そのまま、僕たちはしばしの間笑い合った。
「さあ、戻りましょう。これから忙しくなるわよ」
こうして、無事に調査を終えた僕たちは遺跡を後にした。
霧がすっかり晴れた高原の景色は、何処までも緑の絨毯が続いたそれは見事なものだった。
0
あなたにおすすめの小説
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
女王ララの再建録 〜前世は主婦、今は王国の希望〜
香樹 詩
ファンタジー
13歳で“前世の記憶”を思い出したララ。
――前世の彼女は、家庭を守る“お母さん”だった。
そして今、王女として目の前にあるのは、
火の車の国家予算、癖者ぞろいの王宮、そして資源不足の魔鉱石《ビス》。
「これ……完全に、家計の立て直し案件よね」
頼れない兄王太子に代わって、
家計感覚と前世の知恵を武器に、ララは“王国の再建”に乗り出す!
まだ魔法が当たり前ではないこの国で、
新たな時代を切り拓く、小さな勇気と現実的な戦略の物語。
怒れば母、語れば姉、決断すれば君主。
異色の“王女ララの再建録”、いま幕を開けます!
*カクヨムにも投稿しています。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます
黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる