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第78話 悪い奴は何処にでもいる
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そんな感じで、僕に家族が増えた。
名前を付けてくれという希望通りに、彼(自分のことを僕と言ってたし雄だろう、多分)にはシルバーという名前を付けた。由来は綺麗な銀色をしている毛並みからだ。
シルバーは店の奥で寝そべりながら、店に訪れる客たちに撫でられたり声を掛けられたりして過ごしている。
幸い、シルバーをフェンリルだと見抜く人は今のところは現れていない。
食事は、日に一度。僕と同じものを食べている。
特に好きなのは焼いた肉らしく、メニューに肉がある時はよくおかわりを強請った。
こうして見ると、ちょっと愛嬌があるなとは思わないでもない。
僕の言いつけを守って人前ではなるべく話しかけないようにしてくれているし(テレパシーなので僕にしか言葉は聞こえていないのだが)、店に出没するゴキブリは退治してくれるし、今のところシルバーを店に置いて困るようなことは起きてはいない。
街のフェンリル騒ぎが収まれば、シルバーがフェンリルじゃないかと疑われる可能性もなくなるだろう。
このまま、何事もなく日々が過ぎていってくれればいいなと思う。
シルバーを飼い始めて十日が過ぎた。
店を開けて表の掃除をしている僕の元に、新聞を持ったギルベルトさんが訪れた。
「よう、シルカ。新しい新聞が回ってきたぞ」
「おはようございます」
僕は箒を戸口に立て掛けて、新聞を受け取った。
ギルベルトさんは入口のところで寝そべっているシルバーを見て、怪訝そうに尋ねてきた。
「お前さん、犬を飼い始めたのか?」
「ええ、まあ……色々ありまして、飼うことになりました」
「結構大きな犬だな。こいつは頼もしそうな番犬だ」
ギルベルトさんはシルバーの頭を撫でた。
シルバーは顔を上げてギルベルトさんを見て、撫でてくれた礼を言うように尻尾を揺らした。
「番犬がいるなら、おいそれと強盗も襲っては来んだろ」
「強盗?」
「新聞に書いてあるだろ。最近、街の商店ばかりを狙った強盗が出没してるんだよ」
言われた通りに、僕は新聞に目を通した。
確かに、新聞には街の商店が立て続けに強盗の被害に遭っているといった内容のことが記されている。
強盗は剣術の使い手らしく、警備隊の追跡をものともしない足の速さを持っており、なかなか捕まえることができないのだそうだ。
……そんな厄介な奴がこの街をうろついてるのか。
この店は街外れにあるから、強盗からしたらさぞかし襲いやすいことだろう。
冒険者の出入りがそれなりにある店ではあるが、気を付けないとな。
「幸い冒険者ギルドはまだ被害に遭ってはいないが……お前さんも気を付けろよ」
「はい」
ギルベルトさんが帰った後、僕たちの会話を聞いていたのだろう、シルバーが顔を上げて話しかけてきた。
『強盗って何?』
「人や店を襲って金品を奪う悪い人のことだよ」
『へえ、人間にはそんな奴もいるのか』
シルバーはのっそりと起き上がった。
『もしも此処に来たら、僕が捕まえてあげるよ。せっかくの居場所を荒らされるのは困るからね』
理由がちょっとあれだが、シルバーが強盗と戦う気満々なのは有難い。
僕は強盗と対面したら、身が竦んで動けなくなるかもしれないし。
もちろん、強盗なんて来ないのが一番いいんだけどね。
僕は箒と新聞を持って店の中に入った。
強盗が来るかもしれないからって店を閉める理由にはならない。店はちゃんと営業しないと。
「シルバー、そこはお客さんの邪魔になるから中に入って」
僕はシルバーに声を掛けて、カウンターに入り金庫の準備を始めた。
アメミヤのよろず屋、今日も普段通りに営業開始だ。
名前を付けてくれという希望通りに、彼(自分のことを僕と言ってたし雄だろう、多分)にはシルバーという名前を付けた。由来は綺麗な銀色をしている毛並みからだ。
シルバーは店の奥で寝そべりながら、店に訪れる客たちに撫でられたり声を掛けられたりして過ごしている。
幸い、シルバーをフェンリルだと見抜く人は今のところは現れていない。
食事は、日に一度。僕と同じものを食べている。
特に好きなのは焼いた肉らしく、メニューに肉がある時はよくおかわりを強請った。
こうして見ると、ちょっと愛嬌があるなとは思わないでもない。
僕の言いつけを守って人前ではなるべく話しかけないようにしてくれているし(テレパシーなので僕にしか言葉は聞こえていないのだが)、店に出没するゴキブリは退治してくれるし、今のところシルバーを店に置いて困るようなことは起きてはいない。
街のフェンリル騒ぎが収まれば、シルバーがフェンリルじゃないかと疑われる可能性もなくなるだろう。
このまま、何事もなく日々が過ぎていってくれればいいなと思う。
シルバーを飼い始めて十日が過ぎた。
店を開けて表の掃除をしている僕の元に、新聞を持ったギルベルトさんが訪れた。
「よう、シルカ。新しい新聞が回ってきたぞ」
「おはようございます」
僕は箒を戸口に立て掛けて、新聞を受け取った。
ギルベルトさんは入口のところで寝そべっているシルバーを見て、怪訝そうに尋ねてきた。
「お前さん、犬を飼い始めたのか?」
「ええ、まあ……色々ありまして、飼うことになりました」
「結構大きな犬だな。こいつは頼もしそうな番犬だ」
ギルベルトさんはシルバーの頭を撫でた。
シルバーは顔を上げてギルベルトさんを見て、撫でてくれた礼を言うように尻尾を揺らした。
「番犬がいるなら、おいそれと強盗も襲っては来んだろ」
「強盗?」
「新聞に書いてあるだろ。最近、街の商店ばかりを狙った強盗が出没してるんだよ」
言われた通りに、僕は新聞に目を通した。
確かに、新聞には街の商店が立て続けに強盗の被害に遭っているといった内容のことが記されている。
強盗は剣術の使い手らしく、警備隊の追跡をものともしない足の速さを持っており、なかなか捕まえることができないのだそうだ。
……そんな厄介な奴がこの街をうろついてるのか。
この店は街外れにあるから、強盗からしたらさぞかし襲いやすいことだろう。
冒険者の出入りがそれなりにある店ではあるが、気を付けないとな。
「幸い冒険者ギルドはまだ被害に遭ってはいないが……お前さんも気を付けろよ」
「はい」
ギルベルトさんが帰った後、僕たちの会話を聞いていたのだろう、シルバーが顔を上げて話しかけてきた。
『強盗って何?』
「人や店を襲って金品を奪う悪い人のことだよ」
『へえ、人間にはそんな奴もいるのか』
シルバーはのっそりと起き上がった。
『もしも此処に来たら、僕が捕まえてあげるよ。せっかくの居場所を荒らされるのは困るからね』
理由がちょっとあれだが、シルバーが強盗と戦う気満々なのは有難い。
僕は強盗と対面したら、身が竦んで動けなくなるかもしれないし。
もちろん、強盗なんて来ないのが一番いいんだけどね。
僕は箒と新聞を持って店の中に入った。
強盗が来るかもしれないからって店を閉める理由にはならない。店はちゃんと営業しないと。
「シルバー、そこはお客さんの邪魔になるから中に入って」
僕はシルバーに声を掛けて、カウンターに入り金庫の準備を始めた。
アメミヤのよろず屋、今日も普段通りに営業開始だ。
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