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第117話 兄と弟
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「僕はただ楽器を演奏しただけだろ。それが何であんたたちに付いていく話になるんだ」
「俺たちは誰も楽器が弾けないんだよ」
僕の言葉に、仕方ないだろ、とブランは肩を竦めた。
「海賊王の宝を手に入れるためにその楽器が必要になるのなら、楽器を弾ける奴というのがどうしても必要になる。そればかりはどうしようもないからな」
……まさか、安易に竪琴を弾いたことがこんな事態を招くとは。
迂闊に手を出すんじゃなかった!
「宝が手に入ったらちゃんと山分けするつもりだ。だからお前にとっても悪い話じゃないはずだ」
「僕は別に宝に興味はないから、他を当たってくれよ」
「冒険者ギルドで吟遊詩人を雇えってか? 悪いがこの話に部外者を引き込みたくはないんだよ。その辺りの事情は察してくれ、シルカ」
「冒険者じゃない僕が冒険に引っ張り出される時の気持ちも察してくれると嬉しいんだけどな!」
ブランと言い合いを始めた僕の背中を、誰かが優しく叩く。
そちらに振り向くと、ナナイの微笑み顔が目に入った。
「シルカちゃん、一緒に行こうよ。相手は伝説の宝って言われてる海賊王の宝なんだよ? それが世に出る瞬間はその場にいた人しか見られない特別なものなんだよ。宝に興味がなくても、それを見ること自体はシルカちゃんにとって損にはならないと思うな、ナナイは」
「そうですよぉ。一緒に行きましょうよぉ、シルカさん」
ナナイの言葉を後押しするイオン。
「私たちは、シルカさんにも宝物を一緒に手に入れる権利があるって思ってますぅ。私たちだけが宝物を手にするなんて、それはちょっと違う気がするんですぅ」
「……シルカ。お前は俺たちの仲間だ。例えお前が冒険者じゃなくても、それは変わらないと俺たちは思ってる」
ブランは僕と言い合うのをやめて、落ち着いたトーンで言った。
「頼む、俺たちを助けてくれ。そして、一緒に海賊王の宝を手に入れよう。多くの冒険者が夢に見た宝を、俺たちの手で、発掘するんだ」
「…………」
──あの時の彼らと同じだ。
ア・ロア遺跡の封印を一緒に解こうと僕を説得していた、あの時のアラグたちと。
……どうして、あんたたち兄弟は、こんなにも。
そっくりな顔をして、僕を説得しようとするんだよ。
………………
長い沈黙の末の、溜め息。
がしがしと頭を掻いて、僕は口を開いた。
「……もしも宝の中に錬金素材があったら、それは僕に回してもらうからな」
「!……それじゃあ」
「楽器を弾けばいいんだろ。協力……してやるよ」
「シルカ!」
がたん、と勢い良く席を立ったブランは、僕を強く抱き締めた。
太い腕と固い鎧の間に挟まれて、僕は声を上げた。
「痛い痛い痛い! 潰す気か!」
「よく決心してくれた、恩に着るぜ!」
「分かった、分かったから離せ!」
全力で抵抗してようやく離してもらった僕は、乱れた服装を整えた。
そんな僕を、ナナイとイオンは嬉しそうに見つめている。
よし、と普段の調子に戻ったブランは、地図とクラシュの森の宝を片付けて皆の顔を見回した。
「明日の朝、此処を出発する! 今日はゆっくり休んで、明日の旅に備えてくれ!」
「俺たちは誰も楽器が弾けないんだよ」
僕の言葉に、仕方ないだろ、とブランは肩を竦めた。
「海賊王の宝を手に入れるためにその楽器が必要になるのなら、楽器を弾ける奴というのがどうしても必要になる。そればかりはどうしようもないからな」
……まさか、安易に竪琴を弾いたことがこんな事態を招くとは。
迂闊に手を出すんじゃなかった!
「宝が手に入ったらちゃんと山分けするつもりだ。だからお前にとっても悪い話じゃないはずだ」
「僕は別に宝に興味はないから、他を当たってくれよ」
「冒険者ギルドで吟遊詩人を雇えってか? 悪いがこの話に部外者を引き込みたくはないんだよ。その辺りの事情は察してくれ、シルカ」
「冒険者じゃない僕が冒険に引っ張り出される時の気持ちも察してくれると嬉しいんだけどな!」
ブランと言い合いを始めた僕の背中を、誰かが優しく叩く。
そちらに振り向くと、ナナイの微笑み顔が目に入った。
「シルカちゃん、一緒に行こうよ。相手は伝説の宝って言われてる海賊王の宝なんだよ? それが世に出る瞬間はその場にいた人しか見られない特別なものなんだよ。宝に興味がなくても、それを見ること自体はシルカちゃんにとって損にはならないと思うな、ナナイは」
「そうですよぉ。一緒に行きましょうよぉ、シルカさん」
ナナイの言葉を後押しするイオン。
「私たちは、シルカさんにも宝物を一緒に手に入れる権利があるって思ってますぅ。私たちだけが宝物を手にするなんて、それはちょっと違う気がするんですぅ」
「……シルカ。お前は俺たちの仲間だ。例えお前が冒険者じゃなくても、それは変わらないと俺たちは思ってる」
ブランは僕と言い合うのをやめて、落ち着いたトーンで言った。
「頼む、俺たちを助けてくれ。そして、一緒に海賊王の宝を手に入れよう。多くの冒険者が夢に見た宝を、俺たちの手で、発掘するんだ」
「…………」
──あの時の彼らと同じだ。
ア・ロア遺跡の封印を一緒に解こうと僕を説得していた、あの時のアラグたちと。
……どうして、あんたたち兄弟は、こんなにも。
そっくりな顔をして、僕を説得しようとするんだよ。
………………
長い沈黙の末の、溜め息。
がしがしと頭を掻いて、僕は口を開いた。
「……もしも宝の中に錬金素材があったら、それは僕に回してもらうからな」
「!……それじゃあ」
「楽器を弾けばいいんだろ。協力……してやるよ」
「シルカ!」
がたん、と勢い良く席を立ったブランは、僕を強く抱き締めた。
太い腕と固い鎧の間に挟まれて、僕は声を上げた。
「痛い痛い痛い! 潰す気か!」
「よく決心してくれた、恩に着るぜ!」
「分かった、分かったから離せ!」
全力で抵抗してようやく離してもらった僕は、乱れた服装を整えた。
そんな僕を、ナナイとイオンは嬉しそうに見つめている。
よし、と普段の調子に戻ったブランは、地図とクラシュの森の宝を片付けて皆の顔を見回した。
「明日の朝、此処を出発する! 今日はゆっくり休んで、明日の旅に備えてくれ!」
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