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第133話 土の下のダンジョン
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翌朝。ラフィナと共に店の前で待つ僕の元に、昨日の冒険者たちがやって来た。
男の方がセイルさん。藍色の髪を後ろで束ね、灰色の鎧を身に着け腰に細身の剣を差した剣士だ。
女の方がソフィアさん。肩くらいの長さの銀髪を三つ編みに結い、革鎧を身に着け腰のベルトに何本もの短剣を差した斥候だ。
二人とも多少の魔術が使えるそうで、状況に応じて魔術師を兼任しているそうだ。
僕たちは互いに自己紹介をして、アメミヤの森に向けて出発した。
うっすらと霧が掛かった森は、見通しが悪く歩くのに多少難儀した。
霧が出ているとウィル・オ・ウィスプが湧くことがある。気を付けないと。
ウィル・オ・ウィスプとは人魂のような魔物の一種で、霧の出る朝方に時折見かけることがある。幻想的な見た目に反して生き物に対して攻撃的なので注意が必要だ。
僕は先行する冒険者二人の後に付いて、黙々と歩いた。
ラフィナも口元を引き締めて、僕の隣を離れないように歩いている。
霧が出ているから魔物も棲み処で大人しくしているのか、ダンジョンに到着するまで魔物に出会うことはなかった。
ダンジョンは、森の奥深く──木々が密集している中に、ひっそりと存在していた。
地面が捲れたような大穴があり、そこがダンジョンの入口になっていた。
入口の前に立つと、ひやりとした空気の流れを感じた。
「……此処が、ダンジョンの入口だ」
セイルさんは僕たちの方に振り返りながら言った。
「我々も、此処に入るのは初めてだ。だからダンジョンの中に何があるのかは分からない。気を付けて探索しよう」
「貴方たちは前に出ないようにしてね」
ソフィアさんが短剣を一本鞘から抜いて、松明のように持つ。
魔術を唱え、刃の先端に魔光の明かりを点した。
僕はこくりと喉を鳴らした。
僕たちは、セイルさんを先頭にダンジョンの中に足を踏み入れた。
内部は、土を直接掘り下げたような作りをしていた。
剥き出しの土のトンネルに、あちこちから木の根と思わしき植物が生えている。
まるで土の中を掘り進むモグラにでもなったような気分だ。
湿度がそれなりにあり、鼻に感じるのは土の匂い。
この分だと、中に生息している魔物は土の中を好む生き物が多そうだ。
「……む」
セイルさんが立ち止まる。
それに倣って足を止める僕たち。
ソフィアさんが前方に向けて明かりを点した短剣を翳す。
明かりに照らされて、それがびっくりしたようにこちらを見た。
体長五十センチくらいの、丸っこい体をした、前足の爪が鋭い生き物だ。
あれは……グランドモールだ。
グランドモールとはその名の通りモグラの魔物で、穴を掘って出てきたミミズなんかを食べながら生活している生き物である。
あまり好戦的な魔物ではないが、そこかしこに穴を掘って地面を目茶苦茶にしてしまうので人からは嫌われている存在なのだ。
このダンジョンは穴倉のような構造をしているから、この環境が気に入って棲みついたのだろう。
「グランドモールか」
セイルさんが剣を抜く。
グランドモールはびくっと体を震わせると、見た目からは想像も付かないような猛スピードで通路の奥に走り去っていった。
「行っちゃった」
「今のはあまり凶暴な魔物じゃないからね」
小首を傾げるラフィナに僕は言う。
剣を納めて、セイルさんが僅かにこちらに振り向いてくる。
「奥に行けば行くほど魔物が多く生息しているはずだ。もしも後ろから来た場合は言ってほしい」
「……分かった」
「行こう」
僕たちは止めていた歩みを再開した。
男の方がセイルさん。藍色の髪を後ろで束ね、灰色の鎧を身に着け腰に細身の剣を差した剣士だ。
女の方がソフィアさん。肩くらいの長さの銀髪を三つ編みに結い、革鎧を身に着け腰のベルトに何本もの短剣を差した斥候だ。
二人とも多少の魔術が使えるそうで、状況に応じて魔術師を兼任しているそうだ。
僕たちは互いに自己紹介をして、アメミヤの森に向けて出発した。
うっすらと霧が掛かった森は、見通しが悪く歩くのに多少難儀した。
霧が出ているとウィル・オ・ウィスプが湧くことがある。気を付けないと。
ウィル・オ・ウィスプとは人魂のような魔物の一種で、霧の出る朝方に時折見かけることがある。幻想的な見た目に反して生き物に対して攻撃的なので注意が必要だ。
僕は先行する冒険者二人の後に付いて、黙々と歩いた。
ラフィナも口元を引き締めて、僕の隣を離れないように歩いている。
霧が出ているから魔物も棲み処で大人しくしているのか、ダンジョンに到着するまで魔物に出会うことはなかった。
ダンジョンは、森の奥深く──木々が密集している中に、ひっそりと存在していた。
地面が捲れたような大穴があり、そこがダンジョンの入口になっていた。
入口の前に立つと、ひやりとした空気の流れを感じた。
「……此処が、ダンジョンの入口だ」
セイルさんは僕たちの方に振り返りながら言った。
「我々も、此処に入るのは初めてだ。だからダンジョンの中に何があるのかは分からない。気を付けて探索しよう」
「貴方たちは前に出ないようにしてね」
ソフィアさんが短剣を一本鞘から抜いて、松明のように持つ。
魔術を唱え、刃の先端に魔光の明かりを点した。
僕はこくりと喉を鳴らした。
僕たちは、セイルさんを先頭にダンジョンの中に足を踏み入れた。
内部は、土を直接掘り下げたような作りをしていた。
剥き出しの土のトンネルに、あちこちから木の根と思わしき植物が生えている。
まるで土の中を掘り進むモグラにでもなったような気分だ。
湿度がそれなりにあり、鼻に感じるのは土の匂い。
この分だと、中に生息している魔物は土の中を好む生き物が多そうだ。
「……む」
セイルさんが立ち止まる。
それに倣って足を止める僕たち。
ソフィアさんが前方に向けて明かりを点した短剣を翳す。
明かりに照らされて、それがびっくりしたようにこちらを見た。
体長五十センチくらいの、丸っこい体をした、前足の爪が鋭い生き物だ。
あれは……グランドモールだ。
グランドモールとはその名の通りモグラの魔物で、穴を掘って出てきたミミズなんかを食べながら生活している生き物である。
あまり好戦的な魔物ではないが、そこかしこに穴を掘って地面を目茶苦茶にしてしまうので人からは嫌われている存在なのだ。
このダンジョンは穴倉のような構造をしているから、この環境が気に入って棲みついたのだろう。
「グランドモールか」
セイルさんが剣を抜く。
グランドモールはびくっと体を震わせると、見た目からは想像も付かないような猛スピードで通路の奥に走り去っていった。
「行っちゃった」
「今のはあまり凶暴な魔物じゃないからね」
小首を傾げるラフィナに僕は言う。
剣を納めて、セイルさんが僅かにこちらに振り向いてくる。
「奥に行けば行くほど魔物が多く生息しているはずだ。もしも後ろから来た場合は言ってほしい」
「……分かった」
「行こう」
僕たちは止めていた歩みを再開した。
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