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第174話 肉断骨砕
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ちゅいん、ちゅいん!
黒い球体から撃ち出される光が、クレハを襲う。
常識外れの速度を持つ視界外からの攻撃に、クレハは為す術なくその身を晒すことになった。
腕が、足が光に貫かれて、真っ赤に染まっていく。
「ウィンドスラッシュ」
その間も、シャーリーンからの魔術攻撃は続いている。
魔術の直撃は何とかかわしているクレハだが、時間を追う毎に増えていく傷が、彼の動きを少しずつ鈍らせていく。
このままでは、魔術の直撃を食らうのは時間の問題だった。
ばちっ!
僕は壁に手を付いて、魔力を流した。
天井が錬金術の力で変形し、大量の槍を生やす。
それは雨のようにシャーリーンに降り注ぎ、彼女の動きを阻害した!
「アイシクルランス!」
石槍の雨で動きが止まったシャーリーンの頭を狙ってキクが氷の槍を放つ。
シャーリーンは鬱陶しそうに石槍を腕で防御しながら、氷の槍を素手で叩き落とした。
「しぃ!」
そこに右ストレートを打ち込むクレハ。
カタールの刃がシャーリーンの頬を掠める。
惜しい!
「まだ動きますか。しぶといですね」
「格闘家の自慢は体力があることや。ちびっと怪我したくらいじゃ止まらんで!」
「……その口を今すぐ塞いで差し上げましょう」
シャーリーンの表情から色がすっと抜け落ちる。
彼女は右手をさっと振るった。
「シャドウファング」
彼女の足下の影が、不自然に大きく歪む。
一瞬にして竜の頭の形になった影は、顎を大きく開いてクレハに襲いかかった!
「何の……」
食いつかれる瞬間、クレハは床を蹴ってシャーリーンとの距離を開ける。
ちゅいん!
着地する瞬間、黒い球体から撃ち出された光がクレハの足を穿った!
「!」
クレハは体勢を崩し、その場に膝をついた。
その体に、竜の頭が正面から食らいつく!
ぐしゃ、と嫌な音と共に牙がクレハの全身に食い込む。
それまでどんなに傷を負っても余裕の表情を崩さなかったクレハが、初めてその表情を歪めた。
「っあ!」
「兄さん!」
兄の悲鳴を聞いたキクがその場を駆け出そうとする。
それを、クレハは制止した。
「キク! 来たらあかん!」
「まだそのようなことを言う余裕がありますか」
彼を冷たく見つめるシャーリーン。
「頭を吹き飛ばさなければ静かになりませんか? 貴方は」
影に念を込めながら、右手を台座の水晶に翳す。
黒い球体の中心が、紅く光った。
まずい!
僕は咄嗟に魔術を撃った。
「バーストフレア!」
ばんっ!
茜色の光が、竜の頭を吹き飛ばす。
体の自由を取り戻したクレハは、よろけながらもその場を駆け出した。
シャーリーンの襟首を掴み、浮遊する足場から彼女を引き摺り下ろす。
「!?」
まさか影を吹き飛ばされるとは思ってなかったのだろう。彼女の反応が一瞬遅れた。
そのまま縺れるように床に倒れた二人を、黒い球体が放った光が貫いた!
シャーリーンは胸の中心を、クレハは鳩尾を穿たれて。
ごろりと足場の上に転がり、クレハは哄笑した。
「あっはははは、やられてしもたなぁ!」
「…………」
ごほっ、と口から僅かに血を吐いて、シャーリーンは身じろぎした。
「……やられましたね。まさか私の影を破るほどの魔力があるとは」
彼女は震える左手で右手の人差し指に填まっている指輪を掴んだ。
それを力任せに引き抜き、台座の水晶めがけて投げつける。
かつん、と指輪は水晶に当たり、そのまま床へと落ちていった。
「しかし、私の術は破れても天空神殿の力は決して破れない……束の間の勝利に酔い痴れなさい、愚かな下級文明の申し子たち」
彼女はふふっと笑って、目を閉じた。
「私は一足先に冥府に赴き、貴方たちが来るのを待っていますよ……」
黒い球体から撃ち出される光が、クレハを襲う。
常識外れの速度を持つ視界外からの攻撃に、クレハは為す術なくその身を晒すことになった。
腕が、足が光に貫かれて、真っ赤に染まっていく。
「ウィンドスラッシュ」
その間も、シャーリーンからの魔術攻撃は続いている。
魔術の直撃は何とかかわしているクレハだが、時間を追う毎に増えていく傷が、彼の動きを少しずつ鈍らせていく。
このままでは、魔術の直撃を食らうのは時間の問題だった。
ばちっ!
僕は壁に手を付いて、魔力を流した。
天井が錬金術の力で変形し、大量の槍を生やす。
それは雨のようにシャーリーンに降り注ぎ、彼女の動きを阻害した!
「アイシクルランス!」
石槍の雨で動きが止まったシャーリーンの頭を狙ってキクが氷の槍を放つ。
シャーリーンは鬱陶しそうに石槍を腕で防御しながら、氷の槍を素手で叩き落とした。
「しぃ!」
そこに右ストレートを打ち込むクレハ。
カタールの刃がシャーリーンの頬を掠める。
惜しい!
「まだ動きますか。しぶといですね」
「格闘家の自慢は体力があることや。ちびっと怪我したくらいじゃ止まらんで!」
「……その口を今すぐ塞いで差し上げましょう」
シャーリーンの表情から色がすっと抜け落ちる。
彼女は右手をさっと振るった。
「シャドウファング」
彼女の足下の影が、不自然に大きく歪む。
一瞬にして竜の頭の形になった影は、顎を大きく開いてクレハに襲いかかった!
「何の……」
食いつかれる瞬間、クレハは床を蹴ってシャーリーンとの距離を開ける。
ちゅいん!
着地する瞬間、黒い球体から撃ち出された光がクレハの足を穿った!
「!」
クレハは体勢を崩し、その場に膝をついた。
その体に、竜の頭が正面から食らいつく!
ぐしゃ、と嫌な音と共に牙がクレハの全身に食い込む。
それまでどんなに傷を負っても余裕の表情を崩さなかったクレハが、初めてその表情を歪めた。
「っあ!」
「兄さん!」
兄の悲鳴を聞いたキクがその場を駆け出そうとする。
それを、クレハは制止した。
「キク! 来たらあかん!」
「まだそのようなことを言う余裕がありますか」
彼を冷たく見つめるシャーリーン。
「頭を吹き飛ばさなければ静かになりませんか? 貴方は」
影に念を込めながら、右手を台座の水晶に翳す。
黒い球体の中心が、紅く光った。
まずい!
僕は咄嗟に魔術を撃った。
「バーストフレア!」
ばんっ!
茜色の光が、竜の頭を吹き飛ばす。
体の自由を取り戻したクレハは、よろけながらもその場を駆け出した。
シャーリーンの襟首を掴み、浮遊する足場から彼女を引き摺り下ろす。
「!?」
まさか影を吹き飛ばされるとは思ってなかったのだろう。彼女の反応が一瞬遅れた。
そのまま縺れるように床に倒れた二人を、黒い球体が放った光が貫いた!
シャーリーンは胸の中心を、クレハは鳩尾を穿たれて。
ごろりと足場の上に転がり、クレハは哄笑した。
「あっはははは、やられてしもたなぁ!」
「…………」
ごほっ、と口から僅かに血を吐いて、シャーリーンは身じろぎした。
「……やられましたね。まさか私の影を破るほどの魔力があるとは」
彼女は震える左手で右手の人差し指に填まっている指輪を掴んだ。
それを力任せに引き抜き、台座の水晶めがけて投げつける。
かつん、と指輪は水晶に当たり、そのまま床へと落ちていった。
「しかし、私の術は破れても天空神殿の力は決して破れない……束の間の勝利に酔い痴れなさい、愚かな下級文明の申し子たち」
彼女はふふっと笑って、目を閉じた。
「私は一足先に冥府に赴き、貴方たちが来るのを待っていますよ……」
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