19 / 53
第ニ章 運命との戦い
第十九話 名も無き遺跡
しおりを挟む
時は少し進み、レイドとエレーヌはバイセン領に広がる森の内部まで来ていた。
ここはアミアン大森林と呼ばれる森で、様々な生物が生息している。
アミアンの狩人たちは、ここで生計を立てているわけだ。
「さて、結構奥地まで来ましたね・・・」
エレーヌがそうつぶやく。
「え、もう奥地なのか?」
辺りは一面木、木、木・・・ ずっと変わらない光景が続いていた。しまいには、自分がどこから入ってきたのか分からない始末だ。
「まあ、もう1時間もすれば山脈にあたりますからね、実質森の終着点みたいな感じです」
「この森にはよく入るのか?」
「そうですね・・・ 数日に一度奥地に入って、脅威になるような魔獣を間引くので」
「間引くって・・・」
あのドラゴンみたいなやつでも障害にはならないのか・・・? レイドは再びバイセン家の実力に驚愕するのだった。
「おっと、話をしている間に魔獣がこちらに近づいてきましたね。私たちのことを気付いたみたいです」
「え、近づいてきているのか? どこから?」
レイドは辺りを見回すが、何も見つからないし気配も感じない。
「なあ、やっぱり何もいないじゃない・・・」
「レイド! 後ろです!!」
エレーヌは杖を構える。その姿を見たレイドも即座に振り返り、魔剣インテグリーを抜刀する。
「グオオオオオ!!!」
「うわああああ!!」
飛び出してきたのは巨大な熊。その巨体から爪が振り下ろされるが、なんとか反応が間に合い、剣で受け止めた。
(お、重い!)
「ぐ・・・ぅ・・・!」
エレーヌのおかげで初動は耐えることはできたが、長くは持たないだろう・・・
「レイド! 大丈夫ですか!」
エレーヌは即座に魔法で反撃をした。複数の炎魔術が魔獣めがけて発射される。
「グオォ・・!」
魔獣に魔法が命中し、体勢が崩れる。その隙をのがさず、レイドは攻撃を振り払った。
エレーヌが近づいてきた。
「レイド、あれはジャイアントベアです! ものすごくタフな奴ですが・・・ 今回は貴方の実力を見るために、後ろで観察しておきます。いいですね!」
「ああ、分かった・・・」
レイドは再び剣を構える。
「グオオ・・・」
ジャイアントベアにまともな物理攻撃は通じなそうだ・・・
(どうする? エレーヌの魔法は使えない・・・ 急所を狙おうにも目は・・・ あ、そうだ・・・)
何か思いついたようだ。レイドはジャイアントベアに突撃する。
「グオオオオ!!!」
爪を振り下ろしてきたが、レイドはそれを避けて懐に入っていく。
「レイド! 何をする気ですか!」
本来ならば、懐に入るのは自殺行為だ。攻撃が通じず殺されるだけだろう。本来ならば・・・ の話だが。
(攻撃の隙が出来てる。やっぱりこいつはオスだよなあ!)
レイドの剣がグサッと何かに刺さる。
「あっ」
そう、レイドが刺したのはジャイアントベアの・・・ 睾丸だ。
「ヴ・・・ ァ・・・」
そのままジャイアントベアは悶絶して倒れてしまった。
なんか口から泡をふかしているぞ・・・
「レイド! まさか倒せるとは・・・! しかし・・・ 私は男性ではないから分かりませんが、その・・・ やっていることがかなり鬼畜ではありませんか?」
エレーヌが再び近づいてきて話しかけてきた。
「ははは・・・」
いけない。こっちも股が寒くなってきたぞ・・・
「まあ・・・ 貴方の判断の速さには感激しますが、敵の存在を確認するのが遅いです。殺気くらい感じれるようにしといてください」
「分かったよ・・・」
レイドはそう言うと、剣を収めた。
「それはそうとも、今回はごちそうですよ! ジャイアントベアの肉はおいしいんです!」
エレーヌがウキウキしている。
「さ、それを持って帰りましょう!」
「え、持って帰るって、どうやって・・・?」
「こう持ち上げれば、いいんです!」
すると、エレーヌは何やら魔術を唱え始めた。これは、浮遊魔術だ!
さっき狩ったジャイアントベアが、プカプカと浮かび始めた。
「さあ、帰りましょう」
(あの巨体を持ち運べるのか・・・)
レイドはエレーヌの実力に驚かされるばかりだ。
しかし、今回はそれが良くなかったらしい。突如として、地面が揺れ始めたのだ。
「ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・!!」
「な、なんですか!?」
なんと地面が徐々に崩落し始めたのだ。
「まさか、下に空洞が? しまった! 衝撃を加えすぎてしまったか!」
後悔してももう遅い。そのままレイドとエレーヌは、崩落していく地面と共に落ちていくのだった・・・
「いたたたた・・・ レイド、大丈夫ですか・・・」
「ああ、なんとか・・・」
エレーヌの浮遊魔術で助かった・・・
ほっとしているのもつかの間。レイドとエレーヌは辺りを見渡した。
辺り一面、大理石で作られたであろう古びた柱が並んでいる。
「すみません・・・ 私の落ち度です。ここは・・・ 何かの神殿ですか?」
「分からないが、長い間使われていなさそうだな・・・」
不気味な雰囲気だ。明かりは上にある穴からの日差しのみで、全く奥が見えない。
「浮遊魔法を使おうにも・・・ 今は使えませんね、何かの力によって阻害されています・・・」
エレーヌが困ったようにそう言った。どうやら歩いてここから脱出するしかないようだ。
「しかたない・・・ 別の出口を探すか・・・ ん?」
レイドが暗闇の中に、小さな赤い光がともっているのに気が付いた。
それが1つ、2つ、3つと・・・ だんだんと増えている!
「侵入者・・・ ハッケン・・・ 侵入者! ハッケン!」
「きゃあああ!」
「なんだ・・・!?」
何かが近づいてきている!
ここはアミアン大森林と呼ばれる森で、様々な生物が生息している。
アミアンの狩人たちは、ここで生計を立てているわけだ。
「さて、結構奥地まで来ましたね・・・」
エレーヌがそうつぶやく。
「え、もう奥地なのか?」
辺りは一面木、木、木・・・ ずっと変わらない光景が続いていた。しまいには、自分がどこから入ってきたのか分からない始末だ。
「まあ、もう1時間もすれば山脈にあたりますからね、実質森の終着点みたいな感じです」
「この森にはよく入るのか?」
「そうですね・・・ 数日に一度奥地に入って、脅威になるような魔獣を間引くので」
「間引くって・・・」
あのドラゴンみたいなやつでも障害にはならないのか・・・? レイドは再びバイセン家の実力に驚愕するのだった。
「おっと、話をしている間に魔獣がこちらに近づいてきましたね。私たちのことを気付いたみたいです」
「え、近づいてきているのか? どこから?」
レイドは辺りを見回すが、何も見つからないし気配も感じない。
「なあ、やっぱり何もいないじゃない・・・」
「レイド! 後ろです!!」
エレーヌは杖を構える。その姿を見たレイドも即座に振り返り、魔剣インテグリーを抜刀する。
「グオオオオオ!!!」
「うわああああ!!」
飛び出してきたのは巨大な熊。その巨体から爪が振り下ろされるが、なんとか反応が間に合い、剣で受け止めた。
(お、重い!)
「ぐ・・・ぅ・・・!」
エレーヌのおかげで初動は耐えることはできたが、長くは持たないだろう・・・
「レイド! 大丈夫ですか!」
エレーヌは即座に魔法で反撃をした。複数の炎魔術が魔獣めがけて発射される。
「グオォ・・!」
魔獣に魔法が命中し、体勢が崩れる。その隙をのがさず、レイドは攻撃を振り払った。
エレーヌが近づいてきた。
「レイド、あれはジャイアントベアです! ものすごくタフな奴ですが・・・ 今回は貴方の実力を見るために、後ろで観察しておきます。いいですね!」
「ああ、分かった・・・」
レイドは再び剣を構える。
「グオオ・・・」
ジャイアントベアにまともな物理攻撃は通じなそうだ・・・
(どうする? エレーヌの魔法は使えない・・・ 急所を狙おうにも目は・・・ あ、そうだ・・・)
何か思いついたようだ。レイドはジャイアントベアに突撃する。
「グオオオオ!!!」
爪を振り下ろしてきたが、レイドはそれを避けて懐に入っていく。
「レイド! 何をする気ですか!」
本来ならば、懐に入るのは自殺行為だ。攻撃が通じず殺されるだけだろう。本来ならば・・・ の話だが。
(攻撃の隙が出来てる。やっぱりこいつはオスだよなあ!)
レイドの剣がグサッと何かに刺さる。
「あっ」
そう、レイドが刺したのはジャイアントベアの・・・ 睾丸だ。
「ヴ・・・ ァ・・・」
そのままジャイアントベアは悶絶して倒れてしまった。
なんか口から泡をふかしているぞ・・・
「レイド! まさか倒せるとは・・・! しかし・・・ 私は男性ではないから分かりませんが、その・・・ やっていることがかなり鬼畜ではありませんか?」
エレーヌが再び近づいてきて話しかけてきた。
「ははは・・・」
いけない。こっちも股が寒くなってきたぞ・・・
「まあ・・・ 貴方の判断の速さには感激しますが、敵の存在を確認するのが遅いです。殺気くらい感じれるようにしといてください」
「分かったよ・・・」
レイドはそう言うと、剣を収めた。
「それはそうとも、今回はごちそうですよ! ジャイアントベアの肉はおいしいんです!」
エレーヌがウキウキしている。
「さ、それを持って帰りましょう!」
「え、持って帰るって、どうやって・・・?」
「こう持ち上げれば、いいんです!」
すると、エレーヌは何やら魔術を唱え始めた。これは、浮遊魔術だ!
さっき狩ったジャイアントベアが、プカプカと浮かび始めた。
「さあ、帰りましょう」
(あの巨体を持ち運べるのか・・・)
レイドはエレーヌの実力に驚かされるばかりだ。
しかし、今回はそれが良くなかったらしい。突如として、地面が揺れ始めたのだ。
「ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・!!」
「な、なんですか!?」
なんと地面が徐々に崩落し始めたのだ。
「まさか、下に空洞が? しまった! 衝撃を加えすぎてしまったか!」
後悔してももう遅い。そのままレイドとエレーヌは、崩落していく地面と共に落ちていくのだった・・・
「いたたたた・・・ レイド、大丈夫ですか・・・」
「ああ、なんとか・・・」
エレーヌの浮遊魔術で助かった・・・
ほっとしているのもつかの間。レイドとエレーヌは辺りを見渡した。
辺り一面、大理石で作られたであろう古びた柱が並んでいる。
「すみません・・・ 私の落ち度です。ここは・・・ 何かの神殿ですか?」
「分からないが、長い間使われていなさそうだな・・・」
不気味な雰囲気だ。明かりは上にある穴からの日差しのみで、全く奥が見えない。
「浮遊魔法を使おうにも・・・ 今は使えませんね、何かの力によって阻害されています・・・」
エレーヌが困ったようにそう言った。どうやら歩いてここから脱出するしかないようだ。
「しかたない・・・ 別の出口を探すか・・・ ん?」
レイドが暗闇の中に、小さな赤い光がともっているのに気が付いた。
それが1つ、2つ、3つと・・・ だんだんと増えている!
「侵入者・・・ ハッケン・・・ 侵入者! ハッケン!」
「きゃあああ!」
「なんだ・・・!?」
何かが近づいてきている!
応援ありがとうございます!
22
お気に入りに追加
62
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる