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前編
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「フィリア、残念だよ。俺は君との婚約を破棄する」
ー作者(かみ)様、小説のファンとして大変申し訳ございません。でもこれ以上、推しのぬいとして黙って見ていられません!
✳︎
物語をこよなく愛する皆様、初めまして。どうかしばしお付き合いを。
私は花子と申します。書類の記載例に載るようなメジャーな名前でありながら昨今のキラキラネームに押され少なくなりつつある古風(?)な響きの平凡な大学生でした。
天涯孤独の私は教師を目指していました。家族がいなくて寂しかったからか、人に関わる仕事に就きたいと思いました。加えて学校の先生が一番身近な大人であったため、自分もその道を目指そうと思ったのは自然なことでした。そして奨学金を返しながら教員免許を取得した矢先に、どうやら死んでしまったらしいのです。
ああ、そうだ。トラックに気付かず車道に飛び出した見知らぬ子供を助けようとして……。
あの子は助かっただろうか?無事だといいな。
そしてどうか私の事は気にしないでほしい。私が勝手にしたことだから。
身体が勝手に動いてしまった私は自業自得だとしても……なぜ、こんなことになっているのだろうか⁈
「おはよう、テディ」
そう言って私は抱き上げられ、鏡の前に座らされる。
鏡に映るのは茶色のテディベアと、世にも美しいエメラルドブルーの髪の美少女。透き通る様な髪色と同じ大きな瞳を真っ直ぐに私に向け、透けるような白磁の肌を少し桃色に染めたこの御方は、私の推しのフィリア様。そして私は彼女のお気に入りのクマのぬいぐるみ「テディ」である。
この状況はいわゆる異世界転生だろうか?
私は前世の記憶を持ったまま、推しの部屋にあるぬいぐるみ(以下、ぬい)になっていた。
ここは私が読んでいた小説『あなたを愛の力で取り戻します』の世界。そして目の前には私の最愛(推し)フィリア・ウィンベルデン伯爵令嬢が微笑んでいる。
物語は中世ヨーロッパ風の貴族社会が舞台、ヒロインである公爵令嬢エカテリーナと、この国の王太子であるロイクとの恋愛話である。
ストーリーは良くある展開だ。幼少から婚約者として交流を続けてきた2人が、貴族学園在籍中に1人の転入生と出会う。転入生男爵令嬢レベッカは魅了魔法を使い王太子を虜にし、ヒロインは王太子から避けられ周囲からも冷遇されてしまう。ついに王太子より婚約破棄を言い渡されてしまうものの最後はヒロインの愛の力で魅了魔法を打ち破り、2人は結婚して国を治めるという筋書きである。
私の推しはヒロインの親友フィリア様。
ヒロインが辛い時も苦しい時も側を離れず、彼女を励まし最後まで彼女を守る、ヒロインの唯一無二の親友である。
なおフィリア様の婚約者は王太子の側近であるため魅了魔法の影響を受ける。婚約者に冷遇される苦悩に苛まれつつも、ヒロインを健気に支え続けたフィリア様の強さに私は惹かれた。
そのフィリア様のお気に入りのぬいになれるなんて!これはフィリア様の成長を間近で見ることができるかも⁈
転生万歳‼︎
生い立ち故か何事も諦めの早い私は、この状況を前世恵まれなかった私に対するボーナスステージと思うことにした。
私はぬいなので自分の意思で体を動かせない。体はテディベアでいつもお座りしている。そのため見える範囲が限られており、時折り聞こえる話し声に耳を傾けている。
そうして分かってきたのは、今のフィリア様にとってテディが一番の友達らしいということ。
この世界の貴族令嬢は基本的に家の中で過ごす。フィリア様の歳の離れた兄は留学中で家におらず、伯爵家にいる子供はフィリア様1人。周りは大人ばかりでフィリア様の一番の話し相手がテディらしい。
フィリア様は現在10歳、幼い頃から家庭教師に指導され人前では小さな淑女として振る舞っている。前世だと小学生だかフィリア様は外で遊んだり「おもちゃ買って」と両親に強請ったりしない。大人しい内気な女の子だ。
フィリア様のご両親は穏やかで優しい人だけれど、議会だ社交だと忙しい。ウィンベルデン伯爵家は中堅企業のような位置付けらしい。ご両親は家族団欒よりも貴族としての責務を優先するようで、子供に関わる時間や場面が限定されているようだ。
フィリア様は甘えたい年頃だと思うけれど両親からはプチ大人扱いされる。これは淑女としての振る舞いを認められているからだろうが、大人の期待に応えようとするフィリア様は本音を隠して甘えられない。
侍女や使用人達の方が両親よりも長くフィリア様の側にいる。屋敷の使用人達はフィリア様に優しいけれど、立場があるから気安くはできない。
そんな環境の中フィリア様が唯一本音を言えるのが、私ことテディなのである。
部屋の中で一人、クマのぬいぐるみに話しかける健気な少女。これがフィリア様が考えた自分を守る方法なのだと思うと、私は寂しくなる。こんなにも周りに大人がいるのに誰にも言えないなんて。
小説には書いていなかったフィリア様の日常に、ここはその世界ではあるがリアルなのだと思い知る。
同時にフィリア様がまだ子供なのだと実感する。
今は他人に言いたいことも言えない内気な少女で、物分かりの良い子を演じてしまう。私も「親がいないから」とか言われない様に良い子のフリをしていたからとても親近感を感じる。
だがフィリア様は数年後にはエカテリーナを守る強い人になる。きっとたくさん努力されるのだろう。
純粋で優しくて、しかも努力家なんて……私の推しは素晴らしいすぎる!ぬいとして全力でフィリア様のお声を聞く所存です!
ぬいになって分かったのは、子供を見守るって胆力が必要なのだということ。
教師になって子供達の成長を見守ることを夢見ていたし勉強して頭では分かっていたけれど、見守るってなんだか歯がゆい。子供の思いや行動に対してその場で助言したり手助けできれば、状況がすぐに良くなる場合もあるだろう。ああしたら良いのに、こうしたら良くなるのにと、経験がある大人なら分かる。それをグッと堪えて敢えて見ているというのは……見守る方も結構しんどいものなんだなぁ。幼い頃に亡くなった私の両親もこんな気持ちだったのだろうか?
少ししょんぼりしてしまったが、今はぬいとしてフィリア様を見守るしかできない。
✳︎
ぬいとして穏やかな日々を送っていたところフィリア様に婚約者が決まった。フィリア様が12歳になったからである。
婚約者であるライナード侯爵家のセオはフィリア様と同い年で王太子の幼馴染。黒髪と灰色の瞳の、無口だが格好良い少年らしい。
「テディ、セオ様とは何を話したら良いかしら?お茶会では直ぐに会話が途切れてしまうの」
2人は初顔合わせで、なんとか名前呼びし合うところまで進んだようだ。その後は定期的に茶会をしているが、無口男子と内気女子だから会話が続かないらしい。
おいおい、しっかりしろセオ!
女性をリードするように教えられているだろう。
フィリたん(※推しとして応援する時のフィリア様の呼び名)に気を遣わせているんじゃないよ。
まあ彼の気持ちも分からなくはない。前世でいう中学生男子、早ければ思春期。同性同士なら盛り上がれるけど、異性の前では緊張して上手く話せないとかあるかも。
それでも交流を重ねる内に、2人は少しずつ打ち解けているようだ。内気なフィリア様は勇気を出して自分からセオに話しかけているみたい。
フィリたん偉いぞ!
手紙を書き、贈り物を通じて、相手を知る努力をする。フィリア様は手紙の言葉を、贈られた花の意味を考えながら、セオの気持ちを想像していた。誠実に丁寧に向き合うのだ。素敵!
フィリア様は優しくて根気強い。セオに恋をしているという感じではないけれど、相手との距離を縮めようと直向きに努力している様子だ。
フィリたん尊い!
時は経ちフィリア様は15歳になり貴族学園に入学した。毎朝セオが馬車で迎えに来て、一緒に登下校することになっている。
この頃になると、2人は何となく婚約者らしい感じになってきた。前世風に言うと彼氏による学園への送り迎え、放課後の図書館での語らい、休日は植物園デート……甘い、そして初々しい!付き合いたての高校生カップルの様だ(※私には経験ないのであくまで想像です)
2人の関係が進展しているおかげで、その日の出来事を私に語る時のフィリたんの顔が可愛すぎる!
まさに恋する乙女の様に輝いている!眩しい!
推しの幸せな顔に自分も幸せになる!供給ありがとう!
小説でフィリア様とセオは結婚する。リアルで推しの結婚式を見られるかもしれない。今からワクワクが止まらないな。ムフフ。
さらに2人の関係が進んでエスコート以外で手を繋げるようになったあたりから、フィリたんはテディを抱き締めながら恥ずかしそうに話すようになった。フィリたんの可愛らしい顔を拝めないのは残念だが、私はぬいになって一番の幸せを噛み締めていた。生きるって素晴らしい!
しかし、その幸せは長く続かなかった。
ー作者(かみ)様、小説のファンとして大変申し訳ございません。でもこれ以上、推しのぬいとして黙って見ていられません!
✳︎
物語をこよなく愛する皆様、初めまして。どうかしばしお付き合いを。
私は花子と申します。書類の記載例に載るようなメジャーな名前でありながら昨今のキラキラネームに押され少なくなりつつある古風(?)な響きの平凡な大学生でした。
天涯孤独の私は教師を目指していました。家族がいなくて寂しかったからか、人に関わる仕事に就きたいと思いました。加えて学校の先生が一番身近な大人であったため、自分もその道を目指そうと思ったのは自然なことでした。そして奨学金を返しながら教員免許を取得した矢先に、どうやら死んでしまったらしいのです。
ああ、そうだ。トラックに気付かず車道に飛び出した見知らぬ子供を助けようとして……。
あの子は助かっただろうか?無事だといいな。
そしてどうか私の事は気にしないでほしい。私が勝手にしたことだから。
身体が勝手に動いてしまった私は自業自得だとしても……なぜ、こんなことになっているのだろうか⁈
「おはよう、テディ」
そう言って私は抱き上げられ、鏡の前に座らされる。
鏡に映るのは茶色のテディベアと、世にも美しいエメラルドブルーの髪の美少女。透き通る様な髪色と同じ大きな瞳を真っ直ぐに私に向け、透けるような白磁の肌を少し桃色に染めたこの御方は、私の推しのフィリア様。そして私は彼女のお気に入りのクマのぬいぐるみ「テディ」である。
この状況はいわゆる異世界転生だろうか?
私は前世の記憶を持ったまま、推しの部屋にあるぬいぐるみ(以下、ぬい)になっていた。
ここは私が読んでいた小説『あなたを愛の力で取り戻します』の世界。そして目の前には私の最愛(推し)フィリア・ウィンベルデン伯爵令嬢が微笑んでいる。
物語は中世ヨーロッパ風の貴族社会が舞台、ヒロインである公爵令嬢エカテリーナと、この国の王太子であるロイクとの恋愛話である。
ストーリーは良くある展開だ。幼少から婚約者として交流を続けてきた2人が、貴族学園在籍中に1人の転入生と出会う。転入生男爵令嬢レベッカは魅了魔法を使い王太子を虜にし、ヒロインは王太子から避けられ周囲からも冷遇されてしまう。ついに王太子より婚約破棄を言い渡されてしまうものの最後はヒロインの愛の力で魅了魔法を打ち破り、2人は結婚して国を治めるという筋書きである。
私の推しはヒロインの親友フィリア様。
ヒロインが辛い時も苦しい時も側を離れず、彼女を励まし最後まで彼女を守る、ヒロインの唯一無二の親友である。
なおフィリア様の婚約者は王太子の側近であるため魅了魔法の影響を受ける。婚約者に冷遇される苦悩に苛まれつつも、ヒロインを健気に支え続けたフィリア様の強さに私は惹かれた。
そのフィリア様のお気に入りのぬいになれるなんて!これはフィリア様の成長を間近で見ることができるかも⁈
転生万歳‼︎
生い立ち故か何事も諦めの早い私は、この状況を前世恵まれなかった私に対するボーナスステージと思うことにした。
私はぬいなので自分の意思で体を動かせない。体はテディベアでいつもお座りしている。そのため見える範囲が限られており、時折り聞こえる話し声に耳を傾けている。
そうして分かってきたのは、今のフィリア様にとってテディが一番の友達らしいということ。
この世界の貴族令嬢は基本的に家の中で過ごす。フィリア様の歳の離れた兄は留学中で家におらず、伯爵家にいる子供はフィリア様1人。周りは大人ばかりでフィリア様の一番の話し相手がテディらしい。
フィリア様は現在10歳、幼い頃から家庭教師に指導され人前では小さな淑女として振る舞っている。前世だと小学生だかフィリア様は外で遊んだり「おもちゃ買って」と両親に強請ったりしない。大人しい内気な女の子だ。
フィリア様のご両親は穏やかで優しい人だけれど、議会だ社交だと忙しい。ウィンベルデン伯爵家は中堅企業のような位置付けらしい。ご両親は家族団欒よりも貴族としての責務を優先するようで、子供に関わる時間や場面が限定されているようだ。
フィリア様は甘えたい年頃だと思うけれど両親からはプチ大人扱いされる。これは淑女としての振る舞いを認められているからだろうが、大人の期待に応えようとするフィリア様は本音を隠して甘えられない。
侍女や使用人達の方が両親よりも長くフィリア様の側にいる。屋敷の使用人達はフィリア様に優しいけれど、立場があるから気安くはできない。
そんな環境の中フィリア様が唯一本音を言えるのが、私ことテディなのである。
部屋の中で一人、クマのぬいぐるみに話しかける健気な少女。これがフィリア様が考えた自分を守る方法なのだと思うと、私は寂しくなる。こんなにも周りに大人がいるのに誰にも言えないなんて。
小説には書いていなかったフィリア様の日常に、ここはその世界ではあるがリアルなのだと思い知る。
同時にフィリア様がまだ子供なのだと実感する。
今は他人に言いたいことも言えない内気な少女で、物分かりの良い子を演じてしまう。私も「親がいないから」とか言われない様に良い子のフリをしていたからとても親近感を感じる。
だがフィリア様は数年後にはエカテリーナを守る強い人になる。きっとたくさん努力されるのだろう。
純粋で優しくて、しかも努力家なんて……私の推しは素晴らしいすぎる!ぬいとして全力でフィリア様のお声を聞く所存です!
ぬいになって分かったのは、子供を見守るって胆力が必要なのだということ。
教師になって子供達の成長を見守ることを夢見ていたし勉強して頭では分かっていたけれど、見守るってなんだか歯がゆい。子供の思いや行動に対してその場で助言したり手助けできれば、状況がすぐに良くなる場合もあるだろう。ああしたら良いのに、こうしたら良くなるのにと、経験がある大人なら分かる。それをグッと堪えて敢えて見ているというのは……見守る方も結構しんどいものなんだなぁ。幼い頃に亡くなった私の両親もこんな気持ちだったのだろうか?
少ししょんぼりしてしまったが、今はぬいとしてフィリア様を見守るしかできない。
✳︎
ぬいとして穏やかな日々を送っていたところフィリア様に婚約者が決まった。フィリア様が12歳になったからである。
婚約者であるライナード侯爵家のセオはフィリア様と同い年で王太子の幼馴染。黒髪と灰色の瞳の、無口だが格好良い少年らしい。
「テディ、セオ様とは何を話したら良いかしら?お茶会では直ぐに会話が途切れてしまうの」
2人は初顔合わせで、なんとか名前呼びし合うところまで進んだようだ。その後は定期的に茶会をしているが、無口男子と内気女子だから会話が続かないらしい。
おいおい、しっかりしろセオ!
女性をリードするように教えられているだろう。
フィリたん(※推しとして応援する時のフィリア様の呼び名)に気を遣わせているんじゃないよ。
まあ彼の気持ちも分からなくはない。前世でいう中学生男子、早ければ思春期。同性同士なら盛り上がれるけど、異性の前では緊張して上手く話せないとかあるかも。
それでも交流を重ねる内に、2人は少しずつ打ち解けているようだ。内気なフィリア様は勇気を出して自分からセオに話しかけているみたい。
フィリたん偉いぞ!
手紙を書き、贈り物を通じて、相手を知る努力をする。フィリア様は手紙の言葉を、贈られた花の意味を考えながら、セオの気持ちを想像していた。誠実に丁寧に向き合うのだ。素敵!
フィリア様は優しくて根気強い。セオに恋をしているという感じではないけれど、相手との距離を縮めようと直向きに努力している様子だ。
フィリたん尊い!
時は経ちフィリア様は15歳になり貴族学園に入学した。毎朝セオが馬車で迎えに来て、一緒に登下校することになっている。
この頃になると、2人は何となく婚約者らしい感じになってきた。前世風に言うと彼氏による学園への送り迎え、放課後の図書館での語らい、休日は植物園デート……甘い、そして初々しい!付き合いたての高校生カップルの様だ(※私には経験ないのであくまで想像です)
2人の関係が進展しているおかげで、その日の出来事を私に語る時のフィリたんの顔が可愛すぎる!
まさに恋する乙女の様に輝いている!眩しい!
推しの幸せな顔に自分も幸せになる!供給ありがとう!
小説でフィリア様とセオは結婚する。リアルで推しの結婚式を見られるかもしれない。今からワクワクが止まらないな。ムフフ。
さらに2人の関係が進んでエスコート以外で手を繋げるようになったあたりから、フィリたんはテディを抱き締めながら恥ずかしそうに話すようになった。フィリたんの可愛らしい顔を拝めないのは残念だが、私はぬいになって一番の幸せを噛み締めていた。生きるって素晴らしい!
しかし、その幸せは長く続かなかった。
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