噂の補佐君

さっすん

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side保健委員長



僕たちのチームは第三ステージの会場である三階に向かっていた。チームには僕と青野くん以外に二人いて、その二人はなにやら楽しそうに話している。青野くんは先頭を歩いていた。斜め後ろにいる僕は青野くんの顔を見て、さっきのことをふと思い出した。
苛立っていたが愛しさは隠せてなくて。どうしようもないこいつが心底好きだって。晴くんが好きだということがひしひしと伝わってきた。多分…というか絶対、青野くんと付き合ったら晴くんは幸せになれる。

「それが嫌だなんて……」
「何か言いましたか?」

僕を振り返る青野くんにドキッとする。これはときめきではなくヒヤリとしたものだ。なんでもないよ、と急いで笑って言う。青野くんはそうですか、と少し気にしながらも、また前を向いた。
危ない。思ったことが口に出てしまった。
晴くんを幸せにするのは僕の手であってほしいだなんて考えている自分が確かにいる。可愛くて優しくて、一生懸命で。あんなにも愛しい人間ってなかなかいない。そんな晴くんに僕が似合うのだろうか。そもそも僕は晴くんに良くても頼れる先輩、くらいにしか思われていないだろう。

「青野くんって晴くんに告白したんだよね。関係が壊れるとか思ったりした?」
「えっ?……ずいぶんと唐突ですね……」
「あ、ごめん」

そうだ、僕の中では話が繋がってるけど、青野くんからすれば突然なに言ってるんだ、だよね。

「そうですね。最初は思ってましたよ。そもそも俺が晴を好きになったのは入学してすぐで、今年まで我慢出来ていたから俺って忍耐力強いんだと思ってました。でも、二年になって俺とも深く関わるようになったけど、同じように晴は他の人とも仲良くなっていった。それで我慢出来なくなって、後先考えずに行動しちゃったって感じです」
「そうなの?青野くんって考えて行動するタイプだと思ってた」

そう驚いてみせると青野くんはふっと小さく笑った。

「こんなになってしまうのは晴限定ですからね」

うわあ……。なんて魅力的な顔をするんだろう。青野くんにこんな顔をさせるなんて晴くんってすごい。
敵いっこないような気がする。……でも、負けないよ。

「青野くんはイケメンさんだね」
「なんですか?突然」

苦笑を浮かべる青野くんに俺はふふっと笑った。


















─────
side腐男子



青野先輩が心を乱すって、佐野先輩は一体何をしたんだろう~!めっちゃ気になる!!
というか、その時絶対「俺以外の男に触られてんじゃねーよ」的なこと言ってるに決まってる!!俺もう佐野先輩の部屋の壁になりたい!

「萌えるわ~!」

あとあと、中村先輩も絶対佐野先輩のこと好きだよねぇぇ!!中村先輩はあんまり自分に自信が持てないタイプだけど、佐野先輩は譲れないみたいなのは最高!!!!天国かよ!!!!
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