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リスティアーナ女王国編
18 悪役主従の夜
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いつも読んでくださってありがとうございます!
すみません!1話前に「明日はレツィオーネに行く」ていうセリフを足しました。
――――――――――
「あの……ケイト……その、えっと??」
幸せな気持ちで夕飯を食べ終わったのに、僕は今、冷や汗をかいていた。
荷馬車の荷台に座ったケイトの下腹の上に座らされた僕は、尋問を受けている最中である。それもこれも、満腹になった僕がうっかり「旅人が通りかかった」と口を滑らせてしまったせいだった。
どうやら湿地帯の近くまでケイトが荷馬車を移動させていたらしく、荷台で寝床を準備していたケイトがピクッと震え、僕のことを中へと呼んだ。
寝床の準備ができたのかなと思いながら、のこのこと荷台へと僕が上がると、流れるように誘導されケイトの股の上に座らされたのだ。
ケイトは元から僕に野宿をさせることを嫌うので、こうして寝床をつくってくれてはいるが僕が眠ってしまったら、荷馬車を近くの町まで移動させる気でいるのだろう。
屋根から吊るされた魔導灯が、薄暗く僕とケイトのことを照らしていた。
下から伸びてきたケイトの右手が、僕の垂れた髪をすりっと撫でる。シャツの裾からするりと中に入ってきた左手が、僕の背中を這う。荷台のはじっこにもたれかかっているケイトの夜の顔を見下ろしながら、僕はほうっと熱い息を吐いた。
僕の背中を撫でながら、ケイトがゆっくりと話し出す。
「今日、髪型少し変わるだけでめちゃくちゃかわいいって思いました」
「…………ん、ケイト……」
「でも、この白いうなじを誰かにも見せたってことですか」
「ぁっ……ま、て」
ケイトの綺麗な指先にうなじをつーっと撫でられ、首が敏感な僕はビクビクと震えてしまった。
手つきこそ優しいが僕を見上げてくるケイトの目は冷たくて、僕はようやくケイトが怒っていることに気がついた。ケイトの様子を見て、その旅人に剣を教えてもらっただなんて絶対に言えない……と僕は思った。
そうでなくても本音を言えば、特訓していることは秘密にして驚かせたかったから、言うつもりはあまりなかった。
大体ケイトの言い方は身勝手だ。
「そんなこと言ったら、僕は他の髪型にできないじゃないか。ケイトだって好きだったんだろう?」
「………そうですけど……そうなんですけど。オレだけが見たいんです……」
「んっ……それは、無理だろ」
そう言った僕の首をゆっくりと引き寄せ、ケイトに両頬を挟まれる。世界一愛しい人を見るみたいに、ケイトの目を柔らかく細められた。さっきも外で聞いた言葉をケイトが口にする。
僕はだんだん、それがケイトの愛の言葉なんだと気がついた。
「綺麗です……エマ様……」
「……僕も、好きだよ。ケイト」
ちゅ、と重ねられた唇を、何度も何度も角度を変えてケイトの唇がついばむ。
ケイトの唇は僕の唇よりも厚くて、口も大きいから、次第に食べられてるみたいに深くなっていく。濡れた音が響く中、ケイトの伏せられた黒いまつ毛がたまに上がっては僕の様子を窺うのが恥ずかしくて、体が燃えるように熱くなった。
キスを交わしながらケイトの片方の手が僕の胸元に伸び、するするとボタンを外していくのが見えて、ビクッとあからさまに震えてしまった。唇が濡れているのを感じながらも、焦った僕はケイトに尋ねた。
「こ、ここで……?」
「――どう思います?」
意地悪そうに目を細めたケイトにそう訊かれて、僕は震えながら小さく頭を横に振った。
いくらここが森の中で誰もいなくて、荷台は外からなにも見えないとはいえ、いつモンスターが出てくるかわからない場所でケイトがそんなことをするとは思なかった。僕に野宿をさせないくらい過保護でいるのだ。きっと、ちょっとふざけただけだろうと思う。
だけど――
「ぇ? ……ひっ……け、ケイト? ゎあッ」
「この態勢だと、乳首いじりやすくていいですね」
「んッ……あぁっ……や」
シャツを割って入ってきた大きな手に両胸をいじられて、僕は声を上げてしまった。ゆらめいてしまう腰の振動は、ケイトにそのまま伝わってしまう。
両方の親指で胸の先端をつぶされながら、僕は涙目で尋ねた。
「んっ……ま、まだ、怒ってるのか」
「……どう思いますか?」
「でも、あッんん……僕は別になにも……悪いことは」
剣を教えてもらったことは黙っているつもりなので、本当は悪いことをしてるといえばしている状況にあった。それでも、旅人が通りかかって……としか言っていないのに、ここまで怒られる筋合いはない。
いくら僕のうなじを見せたくなかったとはいえ、それでは僕は暑いときに髪を上げることもできなくなってしまう。
ケイトだって本当は言いがかりをつけてることくらいわかっているはずだ。僕の顔はきっと赤くなってしまっているだろうが、僕は精一杯の不本意を伝えるべく、ムッとした顔でケイトを見下ろした。
だけど、同様に不貞腐れたような顔のケイトが僕のことを見上げながら言った。
「キスしてください」
「えっ」
「……それくらい、いいでしょ」
「…………けい、っておい」
ケイトは眉間に皺を寄せたまま、目を閉じてしまった。
キスしてほしいと言っているのに不機嫌そうな顔のままで、僕は困ってしまう。いつだって余裕しゃくしゃくでいるケイトが、子どもみたいに見える。
あまり自分からしたことはなくて、どきどきと胸が高鳴るのを感じながら、ちゅ、と唇を重ねる。
僕のとは違って弾力のあるケイトの唇は、男らしくて色っぽい。笑うと大きくひらくところも、かっこいいって思ってる。
(僕の、――恋人……)
そんなことを思うだけで、きゅうっと胸が締めつけられた。
だけど、「ちゃんとしてください」と見上げられて、僕は目を瞬かせた。おずおずと舌を差し入れると、すぐに絡め取られてしまった。ちゅくと濡れた音が響く。僕の背中にまわった大きな手に、掻き抱くように強く引き寄せられて、甘い息が洩れた。
口の中を這う濡れた熱に、頭がじんと痺れた。愛しさだけを伝えるものではなく、僕の官能を呼び起こすためにされているキスに、体の中心に熱が集まる。
ケイトがぼそっと低い声で言った。
「誰にも踏み荒らされてない雪原みたいで」
「……んぅ、はぁ」
「オレだけのものって思っていたいんです……」
激しいキスで息があがっている僕とは違って、ケイトがキスの合間に淡々とそんなことを口にした。
僕はケイトだけのものだよって思っているのに、ケイトはなにが不安なんだろう。旅人が通りかかっただけで、一体どんなことが起きてしまうと思っているんだろう。
ケイトの綺麗な指が僕の下穿きにかかり、ゆっくりとベルトを外していく。カチャカチャという音が響いて、ようやく気がついた僕は目を丸くした。
「け、ケイト??」
「妖精王はなにか言ってましたか?」
「――い、いや、でも悪い旅人だとは言ってなかった。って、おい……」
ここではしないと思っていたけど、ケイトの器用な指先はあっという間に僕の中心に触れた。止めようとして伸ばした両手は一纏めに捉えられて、ケイトの右手がゆっくりと下着越しに僕の中心を撫でた。逃げようとして、僕の後ろで立てられていたケイトの脚に背をつけてのけぞったら、逆に腰を差し出してしまうような格好になってしまい、羞恥が胸を差し抜いた。
「ひ……ぁッ、ま、待っ」
「魔王だって名乗れば、エマ様がオレのものだって世界に伝えられるのかな」
「ぁ……んっ、け、けいッ……っ……は」
じわっと先端からにじみでた液体が染みを作っていく。
ケイトの手は止まらなくて、布ごしにペニスをしごかれて自然と腰が揺れてしまう。ケイトの腹の上で一人で乱れている自分が恥ずかしくて、僕は涙目になった。僕はケイトのものだよって伝えたいのに、快楽に流されてそれすらもできない。
掴まれていた手をケイトの肩に誘導され、ぎゅっとしがみつく。
「ぁ、やだ……け、ケイト。こんなとこで……」
「ちょっとだけ」
「ゃ……そ、それならケイトも、一緒に……」
揺らぐ視界の中、愛しい人にそう言ったら、「外だから」と困ったように笑われた。
それなら僕だって、こんなところで一人で乱されるのは恥ずかしいと思ったら、ぽろっと涙がこぼれた。
「んんッ……ぁっ、あっけ、ケイト……こんなの」
「丸見えでかわいいです。すごい……オレのものなんだって感じがして、いいです」
小さく「絶景」っていうケイトの声が聞こえて、そういうのはこういうときに使う言葉じゃないって思う。でも、ケイトの指が下着の中に入り込み、僕のペニスを直接しごきだしたので、もうそれどころではなかった。
高められていく僕の体の下に硬い熱を感じて、思わず甘い息を洩らしてしまった。自然と眉尻が下がり、きっと僕は物欲しそうな顔をしてるだろうなと思う。でも押し当てられた熱がほしくて、触れた場所から意識が侵されていく。ケイトの与えてくれる快感を奥の奥まで教え込まれてしまった僕の体は、この熱に体の中を埋められたときの痺れを思い出してふるふると震えた。
僕がなにを想像して震えているかが伝わってしまったようで、ケイトの目が嬉しそうに細まった。
「これ、中に欲しいですか? ……すごいかわいい。おねだりしてくれてもいいですよ」
なにも知らなかった僕の体にあんなにも凶悪な快楽を教え込んでおいて、どうしてそんな意地悪なことが言えるんだろう。ケイトに中を侵されるだけで、僕がどれだけ変になってしまうのかを知っていながら、一人で乱れろだなんて。でも、尻に当たっている熱を感じている僕は、ケイトだって僕と同じ気持ちでいてくれていることくらい、わかる。
涙目のまま、ケイトに震えるまつ毛を向けながら言った。
「これ、ほしい……ケイトの」
「!」
そのままぐりぐりと腰を動かすと、驚いていたケイトの頬に朱が差した。夢見てるような顔で熱い息を洩らしたケイトが、誘うようにすりっと僕の鼻に自分の鼻を寄せた。ちゅ、ちゅ、と軽く唇をついばみながら、ケイトがはあっとため息をついて言った。
「そんなやらしい誘い方、どこで覚えたんですか?」
「僕にやらしいことを教えてるのは、ケイトだけだ……」
本当に言うとは思わなかったと言いながらも、ケイトから喜びみたいなものが溢れている。
するすると長い指に絡みつくようにペニスを撫で上げられ、僕はビクビクと震えた。唇で乳首を挟まれ、舌でねぶられて、どうしても高い声が洩れてしまう。抱えられたまそんなことをされて、楽器にでもなった気分だった。
最後までケイトの指と唇で高められ、ケイトの脚を背に、僕は最後には腰を突き出して絶頂を迎えてしまったのだった。
先ほどまでの戦闘の疲れも相まって、まぶたを閉じたまま、夢の中へ旅立とうとしていると、ケイトが小さくつぶやくのが聞こえた。
「困ったな……」
そのつぶやきにピクッと体が小さく跳ねる。
「エマ様が他の人と関わらなければいいだなんて……そんなの、せっかく外の世界に出られたエマ様のためにならないのに」
旅人が通りかかったと言っただけでケイトはそんな風に思うんだな……と思ったら、ちくっと胸が痛んだ。もしも僕が本当に魔王に囚われた姫でもあれば、魔王城にある一室で大人しく待っているのであれば、ケイトは安心なのだろうか。
強くなりたいと、対等な立場で隣にいたいと、思う僕の心は迷惑だろうか。
死んでケイトのことを深く傷つけてしまった僕には、どうやったらこの気持ちがケイトに伝わるのかがわからなかった。自分の意識がだんだんと夢の中へと潜り、荷馬車がガタゴトと動き出すのを感じながら、僕は思った。
(僕は生贄じゃないよ……ケイト)
すみません!1話前に「明日はレツィオーネに行く」ていうセリフを足しました。
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「あの……ケイト……その、えっと??」
幸せな気持ちで夕飯を食べ終わったのに、僕は今、冷や汗をかいていた。
荷馬車の荷台に座ったケイトの下腹の上に座らされた僕は、尋問を受けている最中である。それもこれも、満腹になった僕がうっかり「旅人が通りかかった」と口を滑らせてしまったせいだった。
どうやら湿地帯の近くまでケイトが荷馬車を移動させていたらしく、荷台で寝床を準備していたケイトがピクッと震え、僕のことを中へと呼んだ。
寝床の準備ができたのかなと思いながら、のこのこと荷台へと僕が上がると、流れるように誘導されケイトの股の上に座らされたのだ。
ケイトは元から僕に野宿をさせることを嫌うので、こうして寝床をつくってくれてはいるが僕が眠ってしまったら、荷馬車を近くの町まで移動させる気でいるのだろう。
屋根から吊るされた魔導灯が、薄暗く僕とケイトのことを照らしていた。
下から伸びてきたケイトの右手が、僕の垂れた髪をすりっと撫でる。シャツの裾からするりと中に入ってきた左手が、僕の背中を這う。荷台のはじっこにもたれかかっているケイトの夜の顔を見下ろしながら、僕はほうっと熱い息を吐いた。
僕の背中を撫でながら、ケイトがゆっくりと話し出す。
「今日、髪型少し変わるだけでめちゃくちゃかわいいって思いました」
「…………ん、ケイト……」
「でも、この白いうなじを誰かにも見せたってことですか」
「ぁっ……ま、て」
ケイトの綺麗な指先にうなじをつーっと撫でられ、首が敏感な僕はビクビクと震えてしまった。
手つきこそ優しいが僕を見上げてくるケイトの目は冷たくて、僕はようやくケイトが怒っていることに気がついた。ケイトの様子を見て、その旅人に剣を教えてもらっただなんて絶対に言えない……と僕は思った。
そうでなくても本音を言えば、特訓していることは秘密にして驚かせたかったから、言うつもりはあまりなかった。
大体ケイトの言い方は身勝手だ。
「そんなこと言ったら、僕は他の髪型にできないじゃないか。ケイトだって好きだったんだろう?」
「………そうですけど……そうなんですけど。オレだけが見たいんです……」
「んっ……それは、無理だろ」
そう言った僕の首をゆっくりと引き寄せ、ケイトに両頬を挟まれる。世界一愛しい人を見るみたいに、ケイトの目を柔らかく細められた。さっきも外で聞いた言葉をケイトが口にする。
僕はだんだん、それがケイトの愛の言葉なんだと気がついた。
「綺麗です……エマ様……」
「……僕も、好きだよ。ケイト」
ちゅ、と重ねられた唇を、何度も何度も角度を変えてケイトの唇がついばむ。
ケイトの唇は僕の唇よりも厚くて、口も大きいから、次第に食べられてるみたいに深くなっていく。濡れた音が響く中、ケイトの伏せられた黒いまつ毛がたまに上がっては僕の様子を窺うのが恥ずかしくて、体が燃えるように熱くなった。
キスを交わしながらケイトの片方の手が僕の胸元に伸び、するするとボタンを外していくのが見えて、ビクッとあからさまに震えてしまった。唇が濡れているのを感じながらも、焦った僕はケイトに尋ねた。
「こ、ここで……?」
「――どう思います?」
意地悪そうに目を細めたケイトにそう訊かれて、僕は震えながら小さく頭を横に振った。
いくらここが森の中で誰もいなくて、荷台は外からなにも見えないとはいえ、いつモンスターが出てくるかわからない場所でケイトがそんなことをするとは思なかった。僕に野宿をさせないくらい過保護でいるのだ。きっと、ちょっとふざけただけだろうと思う。
だけど――
「ぇ? ……ひっ……け、ケイト? ゎあッ」
「この態勢だと、乳首いじりやすくていいですね」
「んッ……あぁっ……や」
シャツを割って入ってきた大きな手に両胸をいじられて、僕は声を上げてしまった。ゆらめいてしまう腰の振動は、ケイトにそのまま伝わってしまう。
両方の親指で胸の先端をつぶされながら、僕は涙目で尋ねた。
「んっ……ま、まだ、怒ってるのか」
「……どう思いますか?」
「でも、あッんん……僕は別になにも……悪いことは」
剣を教えてもらったことは黙っているつもりなので、本当は悪いことをしてるといえばしている状況にあった。それでも、旅人が通りかかって……としか言っていないのに、ここまで怒られる筋合いはない。
いくら僕のうなじを見せたくなかったとはいえ、それでは僕は暑いときに髪を上げることもできなくなってしまう。
ケイトだって本当は言いがかりをつけてることくらいわかっているはずだ。僕の顔はきっと赤くなってしまっているだろうが、僕は精一杯の不本意を伝えるべく、ムッとした顔でケイトを見下ろした。
だけど、同様に不貞腐れたような顔のケイトが僕のことを見上げながら言った。
「キスしてください」
「えっ」
「……それくらい、いいでしょ」
「…………けい、っておい」
ケイトは眉間に皺を寄せたまま、目を閉じてしまった。
キスしてほしいと言っているのに不機嫌そうな顔のままで、僕は困ってしまう。いつだって余裕しゃくしゃくでいるケイトが、子どもみたいに見える。
あまり自分からしたことはなくて、どきどきと胸が高鳴るのを感じながら、ちゅ、と唇を重ねる。
僕のとは違って弾力のあるケイトの唇は、男らしくて色っぽい。笑うと大きくひらくところも、かっこいいって思ってる。
(僕の、――恋人……)
そんなことを思うだけで、きゅうっと胸が締めつけられた。
だけど、「ちゃんとしてください」と見上げられて、僕は目を瞬かせた。おずおずと舌を差し入れると、すぐに絡め取られてしまった。ちゅくと濡れた音が響く。僕の背中にまわった大きな手に、掻き抱くように強く引き寄せられて、甘い息が洩れた。
口の中を這う濡れた熱に、頭がじんと痺れた。愛しさだけを伝えるものではなく、僕の官能を呼び起こすためにされているキスに、体の中心に熱が集まる。
ケイトがぼそっと低い声で言った。
「誰にも踏み荒らされてない雪原みたいで」
「……んぅ、はぁ」
「オレだけのものって思っていたいんです……」
激しいキスで息があがっている僕とは違って、ケイトがキスの合間に淡々とそんなことを口にした。
僕はケイトだけのものだよって思っているのに、ケイトはなにが不安なんだろう。旅人が通りかかっただけで、一体どんなことが起きてしまうと思っているんだろう。
ケイトの綺麗な指が僕の下穿きにかかり、ゆっくりとベルトを外していく。カチャカチャという音が響いて、ようやく気がついた僕は目を丸くした。
「け、ケイト??」
「妖精王はなにか言ってましたか?」
「――い、いや、でも悪い旅人だとは言ってなかった。って、おい……」
ここではしないと思っていたけど、ケイトの器用な指先はあっという間に僕の中心に触れた。止めようとして伸ばした両手は一纏めに捉えられて、ケイトの右手がゆっくりと下着越しに僕の中心を撫でた。逃げようとして、僕の後ろで立てられていたケイトの脚に背をつけてのけぞったら、逆に腰を差し出してしまうような格好になってしまい、羞恥が胸を差し抜いた。
「ひ……ぁッ、ま、待っ」
「魔王だって名乗れば、エマ様がオレのものだって世界に伝えられるのかな」
「ぁ……んっ、け、けいッ……っ……は」
じわっと先端からにじみでた液体が染みを作っていく。
ケイトの手は止まらなくて、布ごしにペニスをしごかれて自然と腰が揺れてしまう。ケイトの腹の上で一人で乱れている自分が恥ずかしくて、僕は涙目になった。僕はケイトのものだよって伝えたいのに、快楽に流されてそれすらもできない。
掴まれていた手をケイトの肩に誘導され、ぎゅっとしがみつく。
「ぁ、やだ……け、ケイト。こんなとこで……」
「ちょっとだけ」
「ゃ……そ、それならケイトも、一緒に……」
揺らぐ視界の中、愛しい人にそう言ったら、「外だから」と困ったように笑われた。
それなら僕だって、こんなところで一人で乱されるのは恥ずかしいと思ったら、ぽろっと涙がこぼれた。
「んんッ……ぁっ、あっけ、ケイト……こんなの」
「丸見えでかわいいです。すごい……オレのものなんだって感じがして、いいです」
小さく「絶景」っていうケイトの声が聞こえて、そういうのはこういうときに使う言葉じゃないって思う。でも、ケイトの指が下着の中に入り込み、僕のペニスを直接しごきだしたので、もうそれどころではなかった。
高められていく僕の体の下に硬い熱を感じて、思わず甘い息を洩らしてしまった。自然と眉尻が下がり、きっと僕は物欲しそうな顔をしてるだろうなと思う。でも押し当てられた熱がほしくて、触れた場所から意識が侵されていく。ケイトの与えてくれる快感を奥の奥まで教え込まれてしまった僕の体は、この熱に体の中を埋められたときの痺れを思い出してふるふると震えた。
僕がなにを想像して震えているかが伝わってしまったようで、ケイトの目が嬉しそうに細まった。
「これ、中に欲しいですか? ……すごいかわいい。おねだりしてくれてもいいですよ」
なにも知らなかった僕の体にあんなにも凶悪な快楽を教え込んでおいて、どうしてそんな意地悪なことが言えるんだろう。ケイトに中を侵されるだけで、僕がどれだけ変になってしまうのかを知っていながら、一人で乱れろだなんて。でも、尻に当たっている熱を感じている僕は、ケイトだって僕と同じ気持ちでいてくれていることくらい、わかる。
涙目のまま、ケイトに震えるまつ毛を向けながら言った。
「これ、ほしい……ケイトの」
「!」
そのままぐりぐりと腰を動かすと、驚いていたケイトの頬に朱が差した。夢見てるような顔で熱い息を洩らしたケイトが、誘うようにすりっと僕の鼻に自分の鼻を寄せた。ちゅ、ちゅ、と軽く唇をついばみながら、ケイトがはあっとため息をついて言った。
「そんなやらしい誘い方、どこで覚えたんですか?」
「僕にやらしいことを教えてるのは、ケイトだけだ……」
本当に言うとは思わなかったと言いながらも、ケイトから喜びみたいなものが溢れている。
するすると長い指に絡みつくようにペニスを撫で上げられ、僕はビクビクと震えた。唇で乳首を挟まれ、舌でねぶられて、どうしても高い声が洩れてしまう。抱えられたまそんなことをされて、楽器にでもなった気分だった。
最後までケイトの指と唇で高められ、ケイトの脚を背に、僕は最後には腰を突き出して絶頂を迎えてしまったのだった。
先ほどまでの戦闘の疲れも相まって、まぶたを閉じたまま、夢の中へ旅立とうとしていると、ケイトが小さくつぶやくのが聞こえた。
「困ったな……」
そのつぶやきにピクッと体が小さく跳ねる。
「エマ様が他の人と関わらなければいいだなんて……そんなの、せっかく外の世界に出られたエマ様のためにならないのに」
旅人が通りかかったと言っただけでケイトはそんな風に思うんだな……と思ったら、ちくっと胸が痛んだ。もしも僕が本当に魔王に囚われた姫でもあれば、魔王城にある一室で大人しく待っているのであれば、ケイトは安心なのだろうか。
強くなりたいと、対等な立場で隣にいたいと、思う僕の心は迷惑だろうか。
死んでケイトのことを深く傷つけてしまった僕には、どうやったらこの気持ちがケイトに伝わるのかがわからなかった。自分の意識がだんだんと夢の中へと潜り、荷馬車がガタゴトと動き出すのを感じながら、僕は思った。
(僕は生贄じゃないよ……ケイト)
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