フィロス

フロイライン

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頭痛のタネ

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妊娠が発覚した皧流は、竹脇を伴って高山夫妻に会うために病院に向かっていた。


「ごめんなさい。

竹脇さん。

お仕事なのに、付き合わせてしまって。」



「そんな事を言わないで下さい。

僕も当事者なので…」



「はい…」


皧流は、顔を赤くして頷いた。

だが、少ししてから、ハッとしたような顔になり、運転席の竹脇を見つめて言った。


「あの、竹脇さん」



「えっ、なんですか?」



「ワタシ達、結婚するんですよね?」



「は、はい。

そうですけど、何か?」



「あの、敬語やめません?」



「えっ」



「ワタシ、性転換した最初のうちは敬語使ってなかったと思うんですけど、竹脇さんがずっと敬語使うもんだから、ワタシもいつの間にか敬語になっちゃって…」


「あ、そうでしたね。

でも、作家の先生と編集者という関係でしたので…

でも、皧流さんの言うことはよくわかります。

すいません。」



「それ、それよ。

その言い方がダメなの。


堅苦しいもん。」



「あ、すいま…


ごめん


気をつける」



「そうそう。

それでいいの。」


竹脇は、バツの悪そうな顔をして

「フウッ」


と、息を吐いた。



「高山先生に妊娠のご報告をするのと、奈緒先生に色々と相談したいのよね。」



「うん。

男性から性転換して、妊娠、出産をしたのってウチの叔母と皧流さんだけだからね。」


「あっ

その皧流さんてのもやめて。

よそよそしいし。」



「えーっ

自分だって竹脇さんて呼んでんじゃん。

それはよそよそしくないの?」



「ごめん


じゃあ…


和哉さん…」



「まだ、なんか壁を感じるなあ。

さんは要らないよ。」



「和哉?」


「あー、いいね。」



「ワタシも呼んでよ。」



「えっ…


あ、皧流…」


まだまだぎこちなく、どう接していいかわからなくなる二人だった。




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