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出産準備
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「いらっしゃい、曖流さん」
「すいません,お忙しいところをお邪魔してしまいまして」
竹脇を伴ってたかやまいいん皧流は、奈緒に頭を下げた。
「叔母さん
色々と聞いておきたい事がありまして。」
「和哉さん
ワタシにわかる事なら何でもお話しするけど、どういったこと?」
「ご存知のように、皧流のお腹の中には僕との間にできた赤ちゃんがいます。」
「そうね。」
「でも、正規の方法で性転換していないがために、皧流が戸籍の性別変更をする事は不可能だと思うんです。
それよりももっと深刻なのが、法的に男でありながら妊娠し、出産しようとしているという事です。」
「そうなるわね。
たしかに…」
「国が認めていない以上、皧流は母子手帳をもらう事ができますか?
助成が受けられますか?
生まれてきた子の戸籍はどうなりますか?
考えただけでも憂鬱なことばかりで。」
「現状でいうと、全てにおいて判断しかねる状況にあるわね。
法的にムリなら、人道的な面で訴えていくしかないという、そんな状況でもある事は間違いないわね。」
「ええ。
叔母さんと叔父さんに相談したいのはそこなんです。
ただでさえ、男から女になってわからないことばかりなのに、女性でも精神的にも肉体的にもキツイ出産を控えている皧流の気持ちを考えると、何とかしてやりたいって…
そう思ってしまうんです。」
「わかったわ。
主人も診察が終わり次第ここに来るから、色々と考えてみましょう。」
奈緒は、優しげな表情で、向かい側に並んで座る竹脇と皧流に言った。
「すいません,お忙しいところをお邪魔してしまいまして」
竹脇を伴ってたかやまいいん皧流は、奈緒に頭を下げた。
「叔母さん
色々と聞いておきたい事がありまして。」
「和哉さん
ワタシにわかる事なら何でもお話しするけど、どういったこと?」
「ご存知のように、皧流のお腹の中には僕との間にできた赤ちゃんがいます。」
「そうね。」
「でも、正規の方法で性転換していないがために、皧流が戸籍の性別変更をする事は不可能だと思うんです。
それよりももっと深刻なのが、法的に男でありながら妊娠し、出産しようとしているという事です。」
「そうなるわね。
たしかに…」
「国が認めていない以上、皧流は母子手帳をもらう事ができますか?
助成が受けられますか?
生まれてきた子の戸籍はどうなりますか?
考えただけでも憂鬱なことばかりで。」
「現状でいうと、全てにおいて判断しかねる状況にあるわね。
法的にムリなら、人道的な面で訴えていくしかないという、そんな状況でもある事は間違いないわね。」
「ええ。
叔母さんと叔父さんに相談したいのはそこなんです。
ただでさえ、男から女になってわからないことばかりなのに、女性でも精神的にも肉体的にもキツイ出産を控えている皧流の気持ちを考えると、何とかしてやりたいって…
そう思ってしまうんです。」
「わかったわ。
主人も診察が終わり次第ここに来るから、色々と考えてみましょう。」
奈緒は、優しげな表情で、向かい側に並んで座る竹脇と皧流に言った。
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